取材車両 ER34-200025
入庫日 2005年10月25日
走行距離 35043km
エンジンルーム内全景
エンジンルームに対向して左側にマスターシリンダー
エンジンルームに対向して右側にABSユニット
他の自動車修理工場(専業工場)からの依頼で、ブレーキフルードの交換作業中に誤ってブレーキマスターシリンダー内のブレーキフルードを完全に空にしてしまい、ABSユニット内部にもエアの混入が発生した様で、制動力は出る様だがブレーキペダルの踏み代が多く、ブレーキペダルを踏み込むとフロアパネル迄到達してしまう、というもの。
車両を持ち込んでいただき、早速現車を確認します。
確かにブレーキペダルを踏み込むと、フロアパネル迄到達してしまい非常に危ない状態である。
早速車両をリフトアップし、ロードホイールを外してから通常のブレーキ系統のエア抜きを行ってみます。
4輪共に繰り返し実行しましたが、ブレーキシステム内に混入しているはずのエアが出て来ません!
やはりABSユニット内部にエアが混入している様で、通常のブレーキ系統のエア抜きでは抜けない様です。
仕方がないので、車両のOBD端子にCONSALTUを接続し、ABSユニット内部のポンプを強制駆動して混入しているエアを排出する事にします。
R34型車の場合、OBD端子はステアリングコラム下のロアインストルメントドライバーパネルに取り付けられています。
OBD端子カバーを外し、OBD端子を取り出します。
車両に取り付けられた状態のABSユニット
OBD端子カバーを外します
ODB端子が出て来ました
CONSALTUを接続してアクティブテスト可能な状態にします
OBD端子にCONSALTUを接続。
エンジンを始動し、CONSALTUの電源をONにします。
CONSALTUと車両を通信させ、準備を整えます。
アクティブテストを実施し、ABSモーターリレーをON。
ABSユニット内のポンプを強制駆動します。
このまま放置すると、数秒でアクティブテストは自動的に終了します。
アクティブテストが可能な状態に有る事を確認すれば、次は4輪のディスクキャリパーのブリーダーからエアが混入したブレーキフルードを抜く準備をします。
R34型車は、ブレーキ配管がクロス配管となっている為、ブレーキフルードを抜き換える順序は、1番目 左後輪、2番目 右前輪、3番目 右後輪、4番目 左前輪となります。
1輪ずつディスクキャリパーのブリーダーにブリーダータンク等を接続してブレーキフルードの入れ替え準備をします。
ブレーキマスターシリンダーのリザーバータンクにブレーキフルードが十分に入っている事を確認。
また、ブレーキフルードの残量が少なくなって来た時にでも、直ぐにブレーキフルードを補充出来る体制を整えておきます。
ブリーダータンクをセットします(画像は右前輪)
アクティブテストを実施します
数秒後にアクティブテストが自動的に停止します
ブレーキフルードの量を確認しながら実施します
全ての準備が完了したら、CONSALTUを使用したABSユニット内ポンプのアクティブテストを開始します。
数秒でアクティブテストが自動的に停止しますが繰り返し実行し、4輪共にエアブリーダーから同じ様にブレーキフルードの排出を行います。
時々ブレーキマスターシリンダーリザーバータンク内のブレーキフルード量を確認し、少なくなって来たら新しいブレーキフルードを補充しながらアクティブテストを行います。
4輪共に少しエアが出て来ました!
やはりABSユニット内にエアの混入が有ったみたいです。
アクティブテストを繰り返す事によってエアの排出は無くなり、綺麗なブレーキフルードが出て来る様になります。
4輪共に、この様になったらアクティブテストを完了し、ブレーキペダルを踏み込んでみます。
いつもの感触が戻っています!
マスターバックの試験も同時に行いながら、エンジン停止時、エンジン作動時共にブレーキペダルを踏み込んだ時のペダル位置を測定します。
規定値になっていれば、4輪共にディスクキャリパーのエアブリーダーの締め付けが確実に行われている事を確認し、ブレーキマスターシリンダーリザーバータンク内のブレーキフルード量を点検。
全て確認しOKな状態であればホイールをトルクレンチを使用して確実に締め付けます。
ブレーキテスターを使用し、4輪共に制動力を測定します。
測定した数値的にも保安基準に合格している事が判明しました。
ブレーキテスターを使用して制動力を確認します
測定数値的にもOKです
この後、路上で試運転を行い、異常が無い事を確認の上、納車させていただきました。