DATSUN SPORTS S211型としての2作目のプロトタイプは、基本的なシルエットを1957年型から踏襲するものの、実用性を確保するための改良が施されましたた。
中でも乗車定員を2名から4名とする為に室内空間を拡大し、、エンジンを水冷式直列4気筒サイドバルブ、860ccのB型エンジンから、水冷式直列4気筒OHV、988ccのC型エンジンへの変更する等、速度への拘りも感じられます。
諸元表によると、最高速度も115km/hへと大幅に向上しました。
このプロトタイプの製作には初代DATSUN SPORTS DC-3型の設計者 太田祐一氏が大いに手腕を発揮しています。
太田祐一氏は、日産自動車専属の試作工場として、1958年(昭和33年)に現在の南品川にアルファー・モータースを設立し、その工場でDATSUN SPORTS S211型 1958年(昭和33年)発表のプロトタイプを製作しています。
発表されたボディーはホワイトとレッドに塗り分けられ、細かい部分に意匠変更が加わえられていました。
ターンシグナルランプの位置、テールランプ形状、フォグランプの追加等で、まさに市販に向けた秒読みが始まった様な仕上がりを感じさせるものでした。
そして、遂に1958年(昭和33年)のプロトタイプ発表から8カ月。
1959年(昭和34年)6月4日、DATSUN SPORTS S211型は発売を開始しました。
DATSUN SPORTS S211型 諸元表
DATSUN SPORTS DC-3の登場から5年。
そのクラシカルなスタイルを持った初代DATSUN SPORTS DC-3型から、一気にモダンなエクステリアを与えられたDATSUN SPORTSの試作車が登場したのは1957年(昭和32年)11月1日の事だった。
日本橋三越デパートの屋上で開催された「ダットサン展示会」を舞台に発表された新型DATSUN SPORTSの話題は多くの観客を呼び込んだ。
この「ダットサン展示会」は3日間開催のの予定だったが、何と一週間も期間を延期するほどの盛況となった。
二代目DATSUN SPORTSは、同年10月にデビューしたDATSUN 210型のシャーシをベースに、滑らかな2シーターオープンボディーを被せた、均整の取れたプロポーションを持つ、当時としてはまさに夢の車の誕生だったに違いない。
余白
DATSUN SPORTS S211型 | |
---|---|
全長(mm) | 3985 |
全幅(mm( | 1455 |
全高(mm) | 1350 |
ホイールベース(mm) | 2220 |
トレッド(mm) | Fr. 1170 Rr. 1180 |
最低地上高(mm) | 156 |
車両重量(kg) | 810 |
定員 | 4 |
装備重量(kg) | 1030 |
最高速度(km/h) | 115 |
登坂能力(Sin.) | 0.388 |
最小回転半径(m) | 5 |
エンジン型式・種類 | C型 水冷頭上弁式(O.H.V.)直列4気筒 |
排気量(cc) | 988 |
内径X行程(mm) | 73X59 |
圧縮比 | 7.0 |
最高出力(ps/rpm) | 34/4400 |
最大トルク(kg・m/rpm) | 6.6/2400 |
ジェネレーター出力 | 13V-200W |
セル・モーター出力 | 12V-1.0kW(1.4HP) |
バッテリー容量 | 12V-40Ah |
変速装置 | 前進4速 後退1速 第2、3、4速シンクロメッシュ |
変速比 | 第1速 3.945 第2速 2.402 第3速 1.490 第4速 1.000 後退 5.159 |
変速レバー | 直接式 |
駆動歯車 | ハイポイドギヤ |
減速比 | 4.875 |
クラッチ型式 | 乾式単板 |
ブレーキ型式 | 足ブレーキ 油圧式全4輪制動 手ブレーキ 機械式後2輪制動 |
ステアリング型式 | ウォーム&ローラー式 |
フロント・アクスル | I字型断面 逆エリオット型 |
リヤ・アクスル | 半浮動式 |
スプリング | 平行半楕円式 前輪スタビライザー |
スプリングサイズ 長X幅X(肉厚X枚数) (mm) |
Fr 950X45X(4.76X2枚+5X3枚) Rr. 1100X45X(5X2枚+6X3枚) |
ショックアブソーバー | 油圧式筒型(前後共) |
タイヤ | 5.20-14 4プライ |
ガソリンタンク容量(l) | 32.5 |
市販を前提としたDATSUN SPORTSの試作車は、1958年(昭和33年)10月に、1959年モデルとして第5回 日本自動車ショーで発表されました。 後楽園球場で開催された第5回 日本自動車ショーでも注目を集めたのは言うまでももありません。 この年は、日本国有鉄道の東海道本線に、ノーズの伸びた特徴的なスタイルを持つ特急こだまの運行が始まった事もあり、生活の中にスピードと言う物がが浸透し始めた時期でもありました。 |
FRP製のエンジンフードの中に収められたエンジンは、初代DATSUN SPORTS DC-3型と同様、水冷式直列4気筒サイドバルブ、860ccのB型エンジンが搭載されている。
ただ、初代DATSUN SPORTS DC-3型に搭載されているB型エンジンは20psだったのに対し、25psに強化されている。
前進4段のトランスミッションには2、3、4速にシンクロ機構が与えられ、サスペンションは前後ともリーフスプリングを採用したリジット懸架を採用。
牽牛性に富む構成になっている。
緒元表には最高速度85km/hと記されていた。
DATSUN SPORTS S211型のボディーはグラスファイバーとプラスティック樹脂を用いた強化プラスティック(以下FRP)製で、その製作は日東化学が担当しました。
フロントフェンダー、ドア、リアフェンダーの各パネルが面一化され、初代DATSUN SPORTS DC-3型との時差がたった5年とは思えない程の近代化が見て取れます。
ラジエターグリル、ヘッドライトリング、バンパーなどにあしらったクロームパーツ。
タイヤは初代DATSUN SPORTS DC-3型の15インチから14インチに小径化され、ホワイトリボン付きの物を採用しています。
プレス成形のスチールロードホイールにはホイールキャップも装着されました。
現在、世界的に見られるライトウエイトスポーツカーの考え方としては、絶対的なパワーよりも人間の感性にフィットするスポーツカー・・・。
そんなライトウェイトスポーツカー的なコンセプトが、まさにこのDATSUN SPORTSのコンセプトそのものと言う事が出来ます。
日本橋三越デパートで開催中の「ダットサン展示会」
日本橋三越デパートで開催中の「ダットサン展示会」
DATSUN SPORTS (S211型)
DATSUN SPORTS S211型
DATSUN SPORTS S211型 インストルメントパネル
直列水冷サイドバルブ4気筒860ccのB型エンジン
DATSUN SPORTS S211型 エンジンルーム
日本橋三越デパートで開催中の「ダットサン展示会」
「ついに完成」