ターボチャージャーを装着された新世代VG型エンジンは、既に2000cc、3000cc共にも1983年(昭和58年)6月にデビューしたNISSAN CEDRIC & GLORIA Y30型に搭載されていたが、VG30型 + ターボチャージャーはNISSAN FAIRLADY Z Z31型が初めての採用となる。

NISSAN FAIRLADY Z Z31型デビュー後しばらくの期間、NISSAN FAIRLADY Zにノンターボモデルが無くなる事となった。

挟み角60度のV型6気筒VG型エンジンには、様々なメリットと技術が注がれている。

まず、高回転での出力を得やすいオーバースクエア(ボア×ストローク(mm)はVG20ET型エンジン 78.0×69.7、VG30ET型エンジン 87.0×83)のレイアウトを採り、ビッグボア化が計られている。

また、エンジン全長がストレート6に比べて短縮化された事もあり、フロントアクスルよりも後ろ側に大部分を搭載する事が可能となった。

慣性モーメントの低減と言う点からもメリットは大きい。

メリットは他にもある。

短縮化されたエンジン全長はクランクシャフト短縮化にもつながり、クランクシャフトそのもののねじり剛性を高めることになる。

また、ピストン、コンロッドなどのムービングパーツの軽量化も図られた。

クランクケースに対してクランクシャフトを支持するベアリング数を4つと、L型エンジンに比べて省略する事も可能になり、フリクションロスの低減に大きく貢献している。

NISSAN FAIRLADY Z

今回のマイナーチェンジで、NISSAN FAIRLADY Zは車種体系にも変更が加えられた。

スポーツ指向のZRシリーズ、そしてNISSAN FAIRLADY Z Z31型のイメージリーダーでもある300ZXが2系統にされる事となり、エンジンも200ZR用DOHC4バルブ+インタークーラーターボのRB20DET、そしてA/Tのみと組み合わされる300ZX用VG30ET、そして5M/T、A/Tどちらも選択可能な、300ZR用のV6 DOHC24バルブエンジンのVG30DEの3機種構成となる。

魅力的、且つ迫力に満ちたボディーと300ZR用のフォーカムエンジンのコンビネーションは今回のマイナーのハイライトでもある。

10.0という高い圧縮比をもつ新しいV6ツインカムエンジンが、ネット表示で190PS/6000rpm、25.0kg・m/4400rpmとVG30ETの195PS/5200rpm、31.5kg-m/3600rpmという数値を見ても明らかな様に、VG30DEのパフォーマンスがかなりのレベルにある事が解る。

ロングクルージングをA/TでこなすドライバーにはZXを、そしてM/Tでスポーツドライブを楽しむドライバーにはZRを、とキャラクターの住み分けも明確になった。

また、2000シリーズはV6ターボモデルが姿を消しZRシリーズに一本化されたのも特徴である。

同様にT-BARルーフも200ZR-1以上に標準化された事で、カタログの車種名からT-BARルーフと言う文字が消えている。

また、VG20ETシリーズからRB20DET系への転換によって、ミッションは5MT、2by2ZR-2のみ4A/Tも選べる事になった。

更に1988(昭和63年)年6月には、日本国内で認可になったばかりの扁平率50%ロープロファイルタイヤ、加えてビスカスLSDをオプション採用。

また、4WASと呼ばれたABSも用意される等、多くの面でNISSAN FAIRLADY Z Z31型の進化は止まらなかった。


NISSAN FAIRLADY Z Z31型のデビューから、3年目の1986年(昭和61年)10月に施されたマイナーチェンジはで、主に直線的だったボディーシェルに曲面を多く与える事で、新たなインパクトを見る者に与えてくれた。

エンジンの総排気量、ボディーサイズ両面で規定されていた5ナンバー、3ナンバー枠は、当時ボディーサイズが1700mmを越えるとエンジンの総排気量が2000cc未満でも税率が上がっていた為、その曲線美はボディー幅により制約の少ないNISSAN FAIRLADY Z 3000シリーズの方がより強くなっていたのが特徴だ。

オーナーやファンならずとも、NISSAN FAIRLADY Z 3000シリーズのフェンダーラインの迫力には魅了されたはずである。

そのディテールを眺めても従来のスリークな面構成だったボディーサイドビューは、NISSAN FAIRLADY Zのロングノーズ、ショートデッキと言うスタイルを強調すると同時に、低さ、長さを印象づけるのに大きく貢献していた。

グレード名はZR・・・。

装備面で細かい違いはあるものの、T-BARルーフを備えるZR-2、クローズドボディーのZR-1の2機種が用意されている。

ZRのエンジンは、DOHC24バルブ6気筒 + ターボ&インタークーラーを装備しRB20DET。

これはNISSAN FAIRLADY Z Z31型に搭載される2ヶ月程前、NISSAN SKYLINE R31型(7th.
SKYLINE)と共にデビューした新しいユニットだ。

1985年(昭和60年)春から、出力の表示方法をグロスからより搭載状態に近いネット方式に改めた為、従来の15%ほど低い数値となるが、それでも180PS/6400rpm、23.0kg・m/3600rpmと魅力たっぷりのスペックが与えられている。

ZRに採用されたRB20DETに採用されたターボユニットは、タービン側インペラに軽量素材のファインセラミックを用いる事で、タービンの回転慣性モーメントを同サイズの金属製インペラに比べ約45%も軽減。

これによってレスポンスの向上はもちろん、過渡特性の優れたパワーを得た事も記さない訳にはいかない。

その他、ZRにはインタークーラーに空気を送り込むエアスクープを持つボンネットフード、300シリーズ同様の5本スタッドのアルミロードホイールも採用されている。

また、スプリング定数、ショックアブソーバーの減衰圧特性に変更を受け、LSDも標準装備とする等、専用のチューンが与えられた。

ドアを開けても、太い3本スポークのステアリングやスポーティーシートの採用等、細かい部分でスポーツ性をより高めた変更も同時に行われ、200のイメージリーダーとして大きく飛躍した。

なお、ZRシリーズは2シーター、2by2ともに用意されるが、トランスミッションにNISSAN FAIRLADY Z Z31型自慢の一つ、電子制御式フルロックアップタイプのATがラインナップは無く、5MT専用モデルとなっている。

この事も、ZRの性格をより強くアピールしていると言えるだろう。


NISSAN FAIRLADY Z Z31型は、新世代の"Z"として快適性にも多くのアプローチがされた事が伺える。

室内幅が20mm拡大された事で、まず空間そのものが拡大されたのと同時に、スペースセービングタイヤがNISSAN FAIRLADY Z S130型後期モデルから継続して採用された結果、大幅なラゲッジスペースの拡大で、基本的な使い勝手が向上されいる。

また、静かで快適な室内を具現化する為に、20項目以上の見直しにより徹底的に走行騒音の低減が図られているのもNISSAN FAIRLADY Z Z31型の特徴となった。

ダイバシティーアンテナや8スピーカー + 80Wというスーパーサウンドシステムを活かす為の空間造りにも余念がなかった訳だ。

シートの使い勝手も向上されている。

NISSAN FAIRLADY Z S130型では、2by2のみに採用されていたローバックシートが、NISSAN FAIRLADY Z Z31型では2シーターのにも採用され、快適なシート表皮も合わせて採用されている。

また、リクライニングの幅も延長され、300ZXでは8ウエイパワーシートを選ぶ事も可能となる。

また、乗降性を上げる為にメモリー付き跳ね上げ機構をもつチルトステアリングが装備されたのも、NISSAN FAIRLADY Z Z31型の特徴と言えるだろう。

総じて快適かつ高性能なクルーザーとなった"Z"。

新たな"Z"世代に向けて多くの提案をしてきた事は確かな様である。


1983年(昭和58年)9月にデビューしたNISSAN FAIRLADY Z Z31型・・・。

そのモデルライフ中、4回のマイナーチェンジが行われた。

その変遷を振り返ってみたいと思う。

テストコースでの実験走行

テストコースでの実験走行

NISSAN FAIRLADY Z Z31型のシャシも、最高速度250km/hと言う超高速域でのスタビリティーをテーマに開発をされている。

そして、完成したNISSAN FAIRLADY Z Z31型のサスペンションは、スーパーキャパシティーサスペンションと呼ばれ、高い性能が与えられていた。

サスペンションレイアウトそのものは、前・ストラット、後・セミトレーリングアームの4輪独立懸架方式とNISSAN FAIRLADY Z S130型から踏襲した事になる。

しかし、そのコンセプトを細かく確認すると、サスペンションへの思想が伝わって来るのが解る。

フロントサスペンションに採用された7度というハイキャスター、そしてフロントのキングピンをオフセットする事で詰められた16mmというキャスタートレール。

これによりコーナリング時の前輪外側の垂直接地性が大きく向上し、シャープなハンドリングと高い限界性が確保された。また、そうした運動性とともに安定性も十分に備わっているのが特徴だ。スクラブ半径も15mmと小さくする事で外乱によって発生する耐シミー性も大きく向上された事もつけ加えておきたい。

また、サスペンションにはアンチダイブジオメトリーも与えられ、ブレーキング時におこるノーズダイブによる過大な荷重移動を防ぐ役割も見逃せない。

そうしたフロント周りと共に、開発陣がスーパーキャパシティーと呼ぶに相応しいシャーシを"Z"に与えるにあたって特に重視したのがリアサスペンションの熟成だった。

最初のポイントはサスペンションアームがサブフレームに取り付けられる回転軸の中心を結んだ線と、車体センターとの角度(後退角・スイーブバック角という)を、従来の23.4度からの18度へと大幅に変更し、フルトレーリングアーム的な性格を与えた点だ。

そして、アームの下反角を0.7度、初期キャンバーを-1度10分とネガティブキャンバーをつけている。

これらの狙いは、コーナリング時、車体がロールすると安定成分をより生み出しやすいアライメントを採用している。

また、セミトレーリングアーム方式のリアサスペンションの場合、レイアウトの構造上、コーナリング時の後輪に加わる力が、後輪をコーナーの外側に向けようとする応力として作用する事になる。

ここでサスペンション取り付け部にあるラバー製のマウントブッシュやサスペンションアームそのものの剛性が低いと、このコーナリングフォースにより弾性変形による後輪の角度変化が生じる事になる訳である。

コンプライアンスステアと呼ばれるこの現象や、高速域になればなるほど、歓迎すべき現象ではない。

それだけに、NISSAN FAIRLADY Z Z31型が採用したスイーブバック角やマウントブッシュ、サスペンションアームの剛性バランスを最適化は、コンプライアンスステアの発生をほぼゼロに押さえることに貢献しているのだ。

結果的に高速域でのレーンチェンジや直進安定性の向上は計り知れないものになった。

こうした基礎的なアライメントへのアプローチの他、ハード、ミディアム、ソフトの減衰圧を3段階に調整可能な、3ウエイアジャスタブルショックアブソーバーの採用などもあり、高速安定性、スラーローム性能というどちらもスポーツカーとして欠かせないポテンシャルを手にした事になる。

NISSAN FAIRLADY Z Z31型 200ZG、300ZXには215/60R-16と言うロープロファイルタイヤが6.5インチリムと共に採用された。

また、ホイールのクリップボルトの数が200シリーズは4本、300シリーズは5本となっていたのも、マニアの間ではボンネットフードの上のパワーバルジと共に格好の識別点となっていた。

他にもエポックがあるので紹介しておきたい。まず、8インチタンデムブレーキブースターを採用したブレーキである。

これにより軽い踏力で4輪ディスクがもつ確実な制動力を発揮する設計となった。

トップモデルの300ZXには、フロントφ274mm、リアφ290mmという大径プレートが与えられ、ストッピングパワーの拡充も図られている。


NISSAN FAIRLADY Z Z31型が登場した1983年(昭和58年)・・・。

当時のスポーツカーシーンの進化は目を見張るものがあった。

特に海外のマーケットでライバルとなるスポーツカー達も軒並みポテンシャルを上げていた事を記憶するファンは少なくないのではないだろうか。

エンジンマネージメントのエレクトロニクス化はさらに洗練され、高性能エンジンの代名詞だったDO0HCや4バルブ等のマルチバルブの普及も進む。

そして高回転を許容する様になったエンジンが生み出す高出力。

それに伴うシャーシ面の進化。

タイヤの高性能化も忘れられない。

もちろん、そうした進化の過程で生まれるスポーツカーは、もはや加速力と最高速度、という絶対性能の尺度だけでは測れないほど高機能化していた。

そしてスポーツカーの命題として高出力エンジンで可能になる高速走行域でのスタビリティーの追求、そして、楽しめるハンドリングとの具現化、と言う二律背反のテーマを高次元にまとめあげる為の手法が投入されていた。



NISSAN FAIRLADY Z Z31型のスタイリングとしては、まず"Z"伝統のロングノーズボディーを見ていただきたい。

スラントマウントされたラジエターが可能にした鋭いノーズ・・・。

そして丸形ライトから大きく意匠を変えたヘッドランプ・・・。

リトラクタブル機構が与えられたライトはポピュラーなリトラクタブルライトと異なり点灯してないときもライトの存在が確認できるもので、ライトのオン、オフで大きく表情を変えてしまう事もない。

このライト、点灯時にはパラレルライジングシステムによりライトが上昇する物で、ホップアップする高さを押さえ、空力的に優れたノーズをナイトランでも維持する役目も与えられている。

また、ボンネットフードにはトップグレードとなる300ZXにはパワーバルジが装着されている。

各ウインドウもボディーに対してフラッシュサーフェイス化されている。

また、リアデッキが僅かに持ち上がるダックテールを採用した事もあり、空力的に性能の高いボディーシェルが与えられている。

エアダムと一体化されたバンパーと、こうしたボディーのつくり出す空力的洗練度は、cd値0.31という数値を見ても明らかだろう。

また、ワイパーも未使用時にはボンネットフードの下に隠れるコンシールドタイプに変更される事で空力的に洗練度に貢献すると同時に、安全性、視覚的にすっきりさせるなど一つの改良が多くのメリットを追求されているのが特徴となる。


1979年(昭和54年)12月、NISSAN CEDRIC & GLORIAで始まったターボエンジン旋風は、わずか数年で日産のラインナップの中に浸透した。

NISSAN FAIRLADY Zもその例外ではなく、S130型に加わったターボエンジンの魅力は既に紹介した通りとなった。

当時の日産自動車のラインナップを振り返っても、ターボモデルの存在率は多い。

ターボエンジン搭載車が始めて登場から3年後の1982年(昭和57年)9月には、NISSAN SUNNYni
もターボエンジンで武装する等、価格帯やクラスを越え、高性能は身近な存在になっている。

同時に、ターボパワーによる高性能化は、それ以前のスポーツカーの馬力、トルク、加速性能、最高速と言った性能の指針を一様に古典派へとしてしまう程のパフォーマンスを持ち、ターボ時代のスポーツカーへの要求も高くなった事も想像に難くない。


そんな時代に投入された新型NISSAN FAIRLADY Z Z31型も、そんな背景をうけて大幅にパフォーマンスを向上させてのデビューとなった。

エンジンはNISSAN FAIRLADY Z S130型に搭載されていた2000cc、2000ccターボ、2800ccと言う3本立てのL型エンジンから、新設計のVG型エンジン V6 2000cc、3000ccにターボを装着したエンジンを搭載。

L型エンジンの次世代を担うべく日産が送り込んだこの新型VG型エンジンは、このNISSAN FAIRLADY Z Z31型でのデビューを機にPLASMA(Powerful&econmic Lightweght Accuroto SilentMighty Engineから造られたフレーズ)エンジンと名付けられた。

気になるスペックは、2000ccが170PS、3000ccに至っては230PSと他を圧倒するパワーを発揮し、当然ながら、当時の国産スポーツの中では最高峰であり、そのパワーが生み出す加速は、ヨーロッパのスポーツカーと肩を並べるまでになった、と言っても過言ではない。

余白

300ZX

300ZX

日産自動車 栃木工場テストコースを走行中のZ31型

スタイルが一新されたZ31型

RB20DET型エンジン

200ZR

Z31型 T-BARルーフ

Z31型 パッセンジャールーム

Z31型 コックピット

Borg Warner社製5M/T

テストコースは、いずれも
日産自動車 栃木工場テストコース

リヤ セミトレーリングアーム式独立懸架

フロント マクファーソンストラット式独立懸架

300ZX T-BARルーフ

300ZX

300ZX

VG20ET型エンジン

VG30ET型エンジン

PLASMA VG30ET型エンジン

NISSAN FAIRLADY Z  (Z31型)

  NISSAN
FAIRLADY Z
Z31型
(300ZX)
NISSAN
FAIRLADY Z
Z31型
(200ZR-1)
NISSAN
FAIRLADY Z
Z31型
(200Z)
全長(mm) 4335 4335 4335
全幅(mm) 1725 1690 1690
全高(mm) 1295 1285 1285
ホイールベース(mm) 2330 2320 2320
トレッド(mm) Fr. 1415  
Rr. 1435 
Fr. 1415  
Rr. 1435 
Fr. 1415  
Rr. 1435 
最低地上高(mm) 150 150 150
車両重量(kg) 1325(1330) 1280 1160、1210、1215
定員 2名 2名 2名
車両総重量(kg) 1435(1440) 1390 1270、1320、1325
最高速度(km/h)      
最小回転半径(m) 4.9 4.9 4.9
エンジン型式・種類 VG30ET型
水冷式V型6気筒
  O.H.C.2バルブ
RB20DET型
水冷直列6気筒
  D.O.H.C.4バルブ
VG20ET型
水冷V型6気筒
  O.H.C.2バルブ
排気量(cc) 2960 1998 1998
内径X行程(mm) 87.0X83.0 78.0×69.7 78.0×69.7
圧縮比 7.8 8.5 8.0
最高出力(ps/rpm) 230/5200 180/6400 170/6000
最大トルク(kg・m/rpm) 34.0/3600 23.0/3600 22.0/4000
変速装置 前進5速
後退1速
前進5速
後退1速
前進5速
後退1速
変速比 第1速 3.350 (2.458)
第2速 2.056 (1.458)
第3速 1.376 (1.000)
第4速 1.000 (0.686)
第5速 0.779
後退  3.153 (2.182)
第1速 3.321
第2速 1.902
第3速 1.308
第4速 1.000
第5速 0.838
後退  3.382
第1速 3.592
第2速 2.057
第3速 1.361
第4速 1.000
第5速 0.813
後退  3.657
終減速比 3.545 (3.545) 4.375 4.111
クラッチ型式 乾式単板 乾式単板 乾式単板
フロントブレーキ型式 ベンチレーテッドディスク
ベンチレーテッドディスク ベンチレーテッドディスク
リヤブレーキ型式 ソリッドディスク ソリッドディスク ソリッドディスク
フロント・サスペンション 独立懸架ストラット 独立懸架ストラット 独立懸架ストラット
リヤ・サスペンション 独立懸架
  セミトレーリングアーム
独立懸架
  セミトレーリングアーム
独立懸架
  セミトレーリングアーム
タイヤ 215/60R-15 215/60R-15 195/70HR-14
215/60R-15(ZG)
ガソリンタンク容量(l) 72・レギュラーガソリン 72・レギュラーガソリン 72・レギュラーガソリン
  ( )内はA/T車    

メカニズム面でのリファインを始め、T-BARルーフ、ターボエンジンの投入等、新たな"Zらしさ"の造り込みに成功した2代目NISSAN FAIRLADY Z S130型・・・。

その後継モデルとして1983年(昭和58)9月に投入された3代目NISSAN FAIRLADY Z Z31型は、センセーショナルなパワーと一目で"Z"と解るスタイルをまとって登場した。

何より、250km/hにも達する最高速度域でのスタビリティーを確保するシャーシの開発など、"Z"は自ら国産スポーツの世界を押し上げたのである。

NISSAN FAIRLADY Z Z31型のデビューから2年が過ぎた1985年(昭和60年)10月、よりスポーツマインドを強調した新しいモデルが追加された。

その心臓部には、NISSAN FAIRLADY Z Z31型の登場以来、しばらく姿を消していた直列6気筒エンジンが搭載されたのである。

DOHC4バルブヘッドをもつこのエンジンは、"Zの"歴史上ではZ432以来のマルチバルブエンジンと言う事になる。

NISSAN FAIRLADY Z S130型の時代、Z-TにT-BARルーフの設定モデルを用意したのと同様、NISSAN FAIRLADY Z Z31型でも200ZG、そして300ZXに装着車を設定。

2シーター、2by2、どちらのボディーも選択する事が可能だった。

価格は300ZXでスタンダードルーフに比べ約20万円ほどのエクストラで、この魅力的なルーフを手に入れる事が可能になった。

新しいT-BARルーフにも、より爽快さを演出するためにグラストップ部の面積拡大と、着脱トップの軽量化が成されていた点も忘れられない。

ロック解除ノブを押し、レバーを引いてトップを取り外しても、整流効果の高いエアデフレクターが備わり、トップ装着時にも直射日光を防ぐシェイドが装備されているのは言うまでもない。

T-BARルーフの登場で、NISSAN FAIRLADY Z Z31型のラインナップは完成したと言える。


1984年(昭和59)2月・・・。

NISSAN FAIRLADY Z Z31型にT-BARルーフ装着者がラインナップされた。

モデルチェンジから5ヶ月後のラインナップを心待ちにしたファンも多かったに違いない。

また、NISSAN FAIRLADY Z Z31型 2000ccシリーズのオートマチックトランスミッションに採用された新型オーバードライブ付き4速ATは、全段でロックアップ機能を持ち、シフトスケジュールをコンピューターが管理する新世代のミッションを搭載している。


NISSAN FAIRLADY Z Z31型のパワートレーンに目を移してみよう。

NISSAN FAIRLADY Z Z31型 300ZXの5M/Tは、ボルグ・ワーナー社製のT5型を使用している。

これは、VG30ETの発揮する大出力に対応出来る適切なマニュアルトランスミッションMTが、当時の日産自動車には無かったからである。

また、全幅は2000ccモデルは1690mmとNISSAN FAIRLADY Z S130型と同じ数値の小型車枠を踏襲するが、3000ccモデルは1725mmと拡大された。

何よりも注目すべきは前後のトレッドの拡大で、フロントがNISSAN FAIRLADY Z S130型の中でもワイドタイヤを装備し最大幅を与えられていたZ-Tの1395mmから、NISSAN FAIRLADY Z Z31型では1415mmへ。

同じくリアが1390mmから1435mmと大幅に拡大されている。

これは、安定性を高い次元にまとめる為に拡大されたものだ。

そうした革新性を持ちながら、シルエット的にはNISSAN FAIRLADY Z S30型からの流れを汲み入れ、リアコンビネーションランプの形状だけを見ても誰もが"Z"と解るなど、"Z"の伝統も息づいているのがもう一つの特徴である。

サイズ的変化も興味深い。

ホイールベースは、NISSAN FAIRLADY Z S130型の2シーター 2320mm、2by2 2520mmと言う数値を踏襲。

しかし、全長は排気量、2シーター、2by2により異なるが、最大85mmの短縮化となっている。


また、60度Vの特徴として片側3気筒が120度づつのクランク回転で等間爆発するため、トルク変動の少ないスムーズな回転を身上としている。

この為にフライホイールの軽量化も可能となり、レスポンス重視のエンジンとなっている。

こうした設計思想がターボ車特有のターボラグを最小限にくい止め、ナチュラルかつパワフルなエンジンフィールを引き出す結果になることは言うまでもない。

VG型エンジンの特徴でもあるオーバースクエアのボア×ストローク・・・。

ショートストロークとする事で高回転域で有利、と解釈されるのが一般的だ。

しかし、インテークマニホールドの形状や長さ等で、低回転でも吸気流速を高く保つ為に吸気慣性を使う等してシリンダーへの充填効果を高め、低中速域でもリニアなエンジン特性を生み出している。

また、吸入経路にあって流入空気量をモニターするエアフローメーターに従来のバタフライ式から、より吸入抵抗の少ないホットワイヤー式を採用している。

こうして見ると、一部ではなく各部の集合体としてスポーツユニットとしても非常に資質の高いエンジンであることが良く解る。


NISSAN FAIRLADY Z Z31型

面を、フェンダーからタイヤの外周に沿ってカバーするリップのラインで引き締める事で、前後のウエッジジェイプもより強調されていた様に思う。

スタイルを一新されたNISSAN FAIRLADY Z Z31型では、フェンダーパネル全体にボリュームを持たせる事でより、ワイドさを基調にした意匠に変換する事に成功した事が良く分解る。


セラミックタービンホイール

GARETT製 
T03型ターボチャージャー
        (カットモデル)