1996年(平成8年)8月28日、米国向300ZX(日本名・FAIRLADY Z)の最終オフライン車をロサンゼルスのピーターソン自動車博物館に贈呈する記念式典が開催されました。
米国向"Z" は1969年(昭和44年)の初代240Z発売開始以来、人々に”Zカー”の愛称で親しまれ、26年間累計で百万台を越える販売を記録しましたが、スポーツカー市場の冷え込みを背景に、本年7月で生産打ち切りとなりました。
しかしながら、ニッサンのイメージリーダーとして、また米国市場を代表するスポーツカーとして常に時代をリードし続け、計り知れない功績を残してきた同モデルだけに、その「引退」は多くの人々に惜しまれ続けています。
贈呈式の会場では、一世を風靡したそのZの栄光を祝すべく歴代モデルすべてが展示され、過去のテレビ・コマーシャルや日産車体株式会社の協力を得て制作された最終オフライン車の製造風景等も上映されました。
当日はマスコミ関係者、米国Zファンクラブ会員、歴代Zオーナー、地元関係者ら総勢約800人が見守る中、最終オフライン車(シリアル番号"300番")が地元ディーラーから同博物館に寄贈されました。
なお、同式典の模様はCNNを始め、内外の主要メディアで紹介され、大きな反響がありました。
NISSAN FAIRLADY Z Z32型 (300ZX) |
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全長(mm) | 4310 |
全幅(mm) | 1790 |
全高(mm) | 1250(標準ルーフ:1245) |
ホイールベース(mm) | 2450 |
トレッド(mm) | Fr. 1495 Rr. 1535 |
最低地上高(mm) | 130 |
車両重量(kg) | 標準ルーフ 5MT:1430kg (1510kg) 標準ルーフ AT:1430kg (1520kg) T-BARルーフ 5MT:1440kg (1520kg) T-BARルーフ AT:1450kg (1530kg) |
定員 | 2名 |
車両総重量(kg) | 標準ルーフ 5MT:1540kg (1620kg) 標準ルーフ AT:1540kg (1630kg) T-BARルーフ 5MT:1550kg (1630kg) T-BARルーフ AT:1560kg (1640kg) |
最高速度(km/h) | |
最小回転半径(m) | 5.4 |
エンジン型式・種類 | VG30DE型 水冷式V型6気筒 DOHC 4バルブ (VG30DETT型 水冷式V型6気筒 DOHC 4バルブ ツインターボ) |
排気量(cc) | 2960 |
内径X行程(mm) | 87.0X83.0 |
圧縮比 | 10.5(8.5) |
最高出力(ps/rpm) | 230/6400 (280/6400) |
最大トルク(kg・m/rpm) | 27.8/4800 (39.6/3600) |
変速装置 | 前進5速 後退1速 |
変速比 | 第1速 5MT:3.214 AT:2.785 (AT:2.784) 第2速 5MT:1.925 AT:1.545 (AT:1.544) 第3速 5MT:1.302 AT:1.000 第4速 5MT:1.000 AT:0.694 第5速 5MT:0.752 後退 5MT:3.369 AT:2.272 (AT:2.275) |
終減速比 | 5MT/AT:4.083 (5MT/AT:3.692) |
クラッチ型式 | 乾式単板 |
フロントブレーキ型式 | ベンチレーテッドディスク |
リヤブレーキ型式 | ベンチレーテッドディスク |
ステアリング歯車比 | |
フロント・サスペンション | マルチリンク式 |
リヤ・サスペンション | マルチリンク式 |
タイヤ | 225/50R-16 |
ガソリンタンク容量(l) | 72(無鉛ハイオクガソリン) |
そして、翌1994年(平成6年)10月。
全車にSRSエアバッグが標準装備化され、新色の追加など実質面での改良が施された。
また、メカニカルな部分ではアルミ製だったブレーキキャリパーを鋳鉄性に変更。
ピストン数は従来どおり、フロント対向4ピストン、リア対向2ピストンと形式は踏襲。
キャリパーの剛性もアップし、ブレーキフィールの向上に一役買っている。
また、スーパーファインハードコートの塗装面をもつグレードも設置された。
そして300ZXに加え、装備面に変更を加えたVersion Sを追加。
2シーターは全てVersion S仕様となる。
また、2by2ではレカロシートをフロントに採用したVersion Sレカロもラインナップ。300ZX、Version Sレカロ、Version Sの3タイプを選択可能とした。
同様にコンバーチブルでも300ZXとVersion Sが選べるようになった。
この変更時でコンバーチブルから5MTが姿を消している。
また、2シーターVersion Sはマニュアルトランスミッションのみが用意される。
オプショナルパーツの中にはBBS社製の鍛造メッシュアルミホイールも含まれ、上質感とスポーティーさを好むユーザーに支持された。
NISSAN FAIRLADY Z Z32型に加えられたモディファイで最も最近のニュースが、1997年(平成9年)1月に送り出されたVersion
Rの追加だ。
レカロ製シート、レザーステアリング等を与えられたこのモデルが加えられた。
300ZXをトップとしてVersion Sとの中間に位置する事になるのがこのVersion Rだ。
NISSAN FAIRLADY Z S130型から、T-BARルーフで新たなオープンモータリングを提唱して来たNISSAN FAIRLADY Zに二つ目の空が加わった事になるのだ。
ベースとなったのは2シーターボディーである。
この事は、左リアフェンダーの前側にあるフューエルリッドを見れば、"Z"ファンなら承知の通りだろう。
組み合わされるエンジンはVG30DE型。
ターボモデルは用意されていない。
コンバーチブルに与えられたボディーは、モノコックボディーをベースにコンバーチブル化した為、強度面でも各部に見直しを受けている。
フロントクロスメンバー、フロントサスペンションのストラットハウジングのガセットによる強化、リアクロスメンバー、リアセンタークロスメンバー、そしてボックス構造であるトランクが採用されたのも、剛性面で有利に働いている事は言うまでもない。
例えば、サイドシルなどはベースモデルに比較して2倍以上の肉厚のパネルにする等、その徹底ぶりがうかがえる。
剛性確保は走り全般に及ぼす影響が大きい為 慎重に行われている。
こうした結果、適切な剛性を確保しつつ補強による重量の増加は、T-BARルーフモデルと比較しても +40kgほどに重量増加が抑えられたのも特徴と言えるろう。
また、トップの開閉を手動とした事も、大きく重量の増加を招かなかった要因と言えるだろう。
コンバーチブルの特徴でもあるトップは室内にあるロックを外し、トランクリッドの前部にあるストレージリッドを開けて、そこにガバッと上げたトップをしまい込むというオープンモデルの標準的な作業でこなす事が出来る。
ストレージリッドを閉めるとノーズからリアエンドに掛けてフラットなラインが強調され、傾斜角のきついスクリーンとサイドウインドウのサポートバーがその線上に残るだけとなる。
コンバーチブルの室内はボディーカラーによってオフホワイト、オフブラック、いずれかレザーシートが組み合わされる事になる。
また、ステアリングは、SRSエアバッグ付皮巻き4本スポークの物が与えられた。
ブラウングラファイトパールという、コンバーチブル専用色が用意されたのも特徴だろう。
オープンモデルで気になる走行時の風の後ろからの巻きこみに対しても、デフレクターを装備するなど快適性に対する配慮にも抜かりがない。
また、トランクルームの容量は2by2と2シーターの中間の大きさで、2人分の小旅行には充分なキャパシティーを持つと言って良いだろう。
トランクリッドの開口部は広く、リンクを使って容量を確保するヒンジ等、各部までコンバーチブルを楽しむ為のフォローが成されている点にも注目だ。
NISSAN FAIRLADY Z Z32型のデビューから3年・・・。
1992年(平成4年)に行われた変更では、SRSエアバッグのオプション設定、サイドドアインパクトビームの採用、コーナリングランプの採用、ヒーター付電動格納ドアミラーの標準化、助手席電動シートの採用、フッ素樹脂塗装の採用などの追加によって、魅力を増したNISSAN FAIRLADY Z。
2by2モデルでは後席にもELR付3点式シートベルトの採用も併せて行われている。
こうした安全面の拡充に加えてコンバーチブルモデルが登場したのもこの時だ。
NISSAN FAIRLADY Z Z32型のコンバーチブルが初めてお目見えしたのは1991年(平成3年)秋、晴海から幕張に場所を移して2度目の第29回 東京モーターショウでの事だ。
このショーでお披露目したNISSAN FAIRLADY Z コンバーチブルは、DATSUN FAIRLADY SR系からモデルチェンジ以後、一貫してクローズドボディースタイルを採ってきたNISSAN FAIRLADY
Zにとって、久々の本格的なオープンスタイルのNISSAN FAIRLADY Zの登場と言う事になる。
また、ツインターボユニットであるVG30DETT型エンジンは、国産自動車メーカーが製造するモデルとしては初めて運輸省の最高出力280PS自主規制適用となる国内最強の280PS/6400rpm、39.6kg・m/3600rpmと、NISSAN FAIRLADY
Zの最強記録をあっさりと塗り替える事になります。
圧縮比はVG30DE型エンジンが10.5、VG30DETT型エンジンが8.5と比較的高めの設定となり、アクセルレスポンスにたいしてリニアさが重視された。
無論、両エンジンとも無鉛ハイオク仕様である。
特に、60度のバンク角をもっているV6型エンジンをインテーク、エクゾースト系を全く左右で別々とした事で、吸排気系のレイアウトを最適化しつつ、全高が低くコンパクトなエンジンルーム内でも無理のないレイアウトを具現化したことも、特筆すべきポイントとなる。
これは、スロットルチャンバー、触媒、マフラーに至るまで左右でセパレート化されているからでもある。
もちろん、エンジン内部の進化や、ツインインテーク、ツインエクゾーストのシステムはターボモデルも同様である。
ターボチャージャー、インタークーラーも左右のバンク毎に備わっている。
これにより、シングルターボよりもターボからのパイピングなどにも自由度が生まれ、レスポンス重視に向けた最適化も成されている。
ターボモデルでは過給特性もAT、5MTで変更するなど、ドライバビリティーの向上は細部に渡っている。
NISSAN FAIRLADY Z (Z32型)
また、マニュアルミッションのレバーをリモコン式として、ドライバーズポジション重視の設定としてあることも細かいながらNISSAN FAIRLADY
Z Z32型を語るときに忘れられないエピソードの一つだろう。
シートもよりホールド感と張りをもち、ロングドライブの疲労も軽減してくれる事は確実。
また、インストルメントパネルのスイッチ類の主だった物をメータークラスター脇に並べたサテライトスイッチスタイルを採り、メーターパネルもこれまでの「"Z"らしさ」から新しい意匠になり、見やすさ、使い勝手を向上させている。
スタート時点でかなり高い次元の開発テーマを掲げただけに、細部を改良しながら進化し続け、何時誰が乗ってもNISSAN FAIRLADY Zの世界を楽しめる、敷居の低いスーパースポーツへとなっていたのである。
1989年7月・・・。
スポーツカーとしてのNISSAN FAIRLADY Zを創る為に妥協をしたくない。
そんなエンジニア達の情熱を秘めたNISSAN FAIRLADY Z Z32型がデビューしました。
この頃を振り返ると、スポーツカー達が多く市場に送り込まれています。
NISSAN FAIRLADY Z S30型が登場して20年目のこの年、NISSAN SKYLINE R32型にGT-Rが復活しました。
最終オフライン車を前にあいさつをする米国日産トム・イーストウッド副社長と創生期のZ開発・拡販に尽力された元米国日産社長のミスターKこと片山豊氏。
アメリカ向け300ZX 最終オフライン車 ロサンゼルスの自動車博物館に寄贈
Version R
1993年(平成5年)9月に、新冷媒に切り替えたエアコンディショナーの採用やデザインを変更したリアウイングを採用したNISSAN FAIRLADY
Z Z32型。
ターボモデルにはシステムの軽量化が図られた電動のスーパーHICASが標準装備化され、より走りに磨きがかかる。
装備に差別化を図ったG1パッケージが2by2に登場したのは1993年(平成5年)のマイナーチェンジの時だ。
Versipn S レカロ
また、フロント4ピストン、リア2ピストンを持つ対向ピストンキャリパーと4輪ベンチレーテッドディスクの組合せはブレーキ性能も強化。
しかし、大型化したキャリパーにアルミ製のものを奢るなど軽量化を図り、先代NISSAN FAIRLADY Z Z31型に比べ大幅にバネ下重量を軽減することに成功している。
これによりマルチリンクサスペンションの機能を発揮しやすい環境を造るのと同時に、性能アップと重量増加をイコールで結ばなかったところにエンジニア達の思いも、随所に散見される。
駆け抜ける"Z"
スーパーHICASはドライバーが操作するステアリングの操舵角、操舵角速度、操舵角加速度をモニターし、フィードバックする事で後輪を同位相、逆位相を判断しステアする、というシステムであり、軽快かつ安定性という難しい課題にも高い機能を見せるのが特徴と言る。
先代のNISSAN FAIRLADY Z Z31型と同様、国産自動車メーカーが製造する自動車のトップパワーを搭載するスポーツモデルとして、それを引き出せる完成度の高いシャーシが同時に開発されたのは言うまでもない。
基礎的なボディーサイズの拡大により得られたホイールベース、トレッドの拡大。
そして前ストラット、後セミトレーリングアームから4輪マルチリンク式に一新されたサスペンションレイアウトもそうした次元の高いサスペンション開発のために欠かせない項目だった。
ツインターボモデルのリアには位相反転制御方式のスーパーHICASが標準で備わり、その潜在能力をさらに高めている点も注目される点だ。
マルチリンク式フロントサスペンション
VG30DETT型エンジン
NISSAN FAIRLADY Z Z32型となって、2リッターエンジン搭載車はなくなっている。
NAのVG30DE型エンジンについても、型式こそNISSAN FAIRLADY Z Z31型と同じながら、クランクシャフト剛性の見直し、クランクケースの軽量化、吸排気系の全面的な見直し等 徹底したNISSAN FAIRLADY Z Z32型専用のチューンを受けている。
出力もNISSAN FAIRLADY Z Z31型 300ZXのターボモデルと肩を並べる230PS/6400rpm、27.8kg・m/4800rpmと、格段にパワーアップされたのが解る。
Z32 300ZX Concept
また、ボディーの骨格部の溶接部の長さや溶接方法、プラスティック樹脂を剛性補強剤に使用する等、重量増加を抑えつつ、NISSAN FAIRLADY
Z Z31型と比べて曲げ剛性で35%、ねじり剛性で20%向上させている。
今回のモデルチェンジで、2by2にはT-BARルーフが標準装備となり、2シーターのみ標準ルーフが選択出来る事になった。
日本国内の他の自動車メーカーも、スポーツカー、ライトウェイトスポーツ、軽スポーツ・・・。
多種多様なスポーツ系自動車が送り出されています。
この時期に登場したNISSAN FAIRLADY Z Z32型にも、多くの面で新たな進化が与えられている。
スタイルこそ、"Z"と一目で解る伝統的なスタイルが与えているが、NISSAN FAIRLADY Z Z31型と並べるまでもなく、ロングノーズ
+ ショートデッキというスタイルはキャビンフォワードスタイルへと変更され、均等的なプロポーションに変革されている。
このプロポーションは、前後のオーバーハングの短縮化も効果的に作用している。
もちろん、視覚的にも225/50R-16と言うタイヤが、ディー四隅に陣取るスタイルは、まさしくロー & ワイドの安定したスポーツカーフォルムを印象づける事になる。
また、NISSAN FAIRLADY Z Z31型で使用されていたフロント ストラット、リヤ セミトレーリングアームと言うサスペンション形式から一新、4輪マルチリンク
+ HICAS(ターボモデル)型式に改められている。
ボディーが拡大されたにも関わらず、ボンネットフードやボディー下部の一部にアルミパーツを使う他、樹脂製パーツを使用する等して軽量化への配慮も抜かりはない。
300ZX バージョンR
300ZX バージョンR