NISSAN MID4

1985年(昭和60)、世界3大モーターショーの1つであるフランクフルトモーターショーで、日産自動車から「MID4」と命名された1台のコンセプトカー発表された。

このコンセプトカーは、エンジンの車両への搭載方法がミッドシップ(midship)、駆動方式が4WDである事から「MID4」と命名されている。

また、同じく1985年(昭和60年)に開催された第26回 東京モーターショーでも発表され、多くの人々に注目される事になりました。


エンジンは、後にレパード(F31型)やフェアレディZ(Z32型)等に搭載される事となるVG30DE型(230PS)を搭載し、駆動方式にはフルタイム4WDを選択。

それに加えて、スカイライン(R31型)にも採用されたHICAS機能(4WS)を搭載している。

WRC(世界ラリー選手権)を始めとしたラリーの世界では、4WDの優位性が証明されていました。

また、1985年(昭和60年)と言えば、4WDスーパースポーツの代名詞 ポルシェ959の発売が開始された年でもあります。

2シーター ベルリネッタボディー、そしてミドシップ+4WDと言うコンセプトを持つこの「MID4」は、現在でこそ実際には発売されなかった夢のコンセプトカーとなってしまっていますが、1985年(昭和60年)の発表当時には、いつ発売されるのか? そう思わせるコンセプトカーでした。

1985年(昭和60)年発表当時、実際に発売されれば1500万円と言われていました。

NISSAN MID4

NISSAN MID4 リヤビュー

NISSA MID4 インテリア

NISSAN MID4-U インテリア

NISSAN MID4-U リヤビュー

NISSAN MID4-U

コンセプトカーとして発表された「MID4」だが、実際に市販化されるのではないかと言う期待に更に拍車がかかる出来事が起こる。

それは、「MID4」が発表された1985年(昭和60年)から2年の時を経て1987年(昭和62年)に起きた。

1987年(昭和62年)に開催された第27回 東京モーターショーに於いて更に進化した「MID4-II」が登場したのである。

1985年(昭和60年)に発表された初代「MID4」と比較すると、全体的に丸みを帯びたデザインとなり、全長、全幅共に拡大された。

ただ、初代「MID4」と同じ様に、エンジンの車両への搭載方法はミッドシップ(midship)、駆動方式も4WDである事に変わりは無く、また2シーターベルリネッタボディー、そしてリトラクタブルライトといった基本デザインに変更はなく、初代「MID4」と変わらずスーパーカーとしても様相を呈していた。

初代「MID4」から、この「MID4-U」にマイナーチェンジを受けた時点での特筆すべき点はパワーユニット&パワートレーンの進化だろう。

初代「MID4」と同様、ミドシップ+4WDというコンセプトはそのままに、エンジンをツインターボ化し、インタークーラー付きとしている。

このインタ−クーラー付きツインターボユニット「VG30DETT」は、後に発売されるフェアレディーZ(Z32型に)搭載され、その後 2004年まで続いた国産自動車メーカーが製造する自動車の「280馬力規制」の発端となったエンジンでもある。

「MID4-II」が発表された時の「VG30DETT」エンジンが発生する馬力は、330PSとされていたから、当時の運輸省の指導により、国産自動車メーカーに自主規制する様に圧力が掛かったのかもしれない。

また、「MID4」では横置きとされていたエンジン&トランスミッションが、「MID4-U」では縦置きへ変更された事が大幅な変更点として挙げられる。

エンジン&トランスミッション搭載方向の転換は、ミドシップスポーツカーの性能向上や進化の過程で必ず訪れると言っても良いものである。

従って、この「MID4」シリーズにもその例には漏れていなかったという訳となる。

サスペンション形式は、4輪ストラットからフロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンクへ変更され、HICASもHICAS-IIへと進化している。

 

MID4-IMSA

NISSAN MID4 NISSAN MID4-U
車名型式 ニッサン ニッサン
グレード
発表年 1985年(昭和60年) 1987年(昭和62年)
エンジン型式 VG30DE VG30DETT
トランスミッション
ボディー形状 2シーターベルリネッタ 2シーターベルリネッタ
○寸法
全長X全幅X全高(mm) 4150X1770X1200
室内寸法 長X幅X高(mm)
ホイールベース(mm) 2435
トレッド(mm)  Fr. 1470
Rr. 1540
最低地上高(mm)
○重量・定員
車両重量(kg) 1230
乗車定員 2 2
車両総重量(kg) 1340
○性能
最小回転半径(m)
燃料消費率 (km/l)
○諸装置
駆動方式 フルタイム4WD フルタイム4WD
ステアリング形式 ラック&ピニオン
及び HICAS
ラック&ピニオン
及び HICAS-U
サスペンション形式 Fr. ストラット
Rr. ストラット
Fr. ダブルウィッシュボーン
Rr. マルチリンク
主ブレーキ Fr. ベンチレーテッドディスク
Rr. ベンチレーテッドディスク
Fr. ベンチレーテッドディスク
Rr. ベンチレーテッドディスク
駐車ブレーキ
タイヤ Fr. 205/60VR15
Rr. 205/60VR15
Fr. 235/55ZR16
Rr. 255/50ZR16

NISSAN MID4  主要緒元

NISSA MID4 エンジン主要緒元

NISSAN MID4 NISSAN MID4-U
型式 VG30DE VG30DETT
種類・シリンダー数 DOHC
V型6気筒
DOHC
V型6気筒
インタークーラーツインターボ
シリンダー 内径X工程(mm)
総排気量(l) 2.960 2.960
圧縮比
最高出力(ps/rpm) 230/6000 330/6800
最大トルク(kg・m/rpm) 28.5/4000 39.0/3200
燃料供給装置 ニッサンEGI(ECCS) ニッサンEGI(ECCS)
使用燃料・タンク容量(l)

NISSAN MID4 変速比・最終減速比

NISSAN MID4 NISSAN MID4-U
トランスミッション 5速マニュアル 5速マニュアル
変速比 第1速
変速比 第2速
変速比 第3速
変速比 第4速
変速比 第5速
変速比 後退
最終減速比

市販化へ向けて、設計を大きく見直しマイナーチェンジも遂げた「NISSAN MID4」・・・。

いよいよ発売か?と囁かれる中、色んなイベントに登場している。

しかし時代は1980年代末から1990年代へ・・・。

バブルに湧いた好景気も終わり、平成の不況へと流れて行きました。

そんな時代背景が原因となり、「NISSAN MID4」はコンセプトカーの域を脱する事が出来ないまま研究・開発が終了する事となってしまいました。


現在、「NISSAN MID4-U」が日産自動車 座間工場跡地にある記念庫に保管されています。