平成11年(1999年)10月22日〜11月3日の期間、幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催された”The 33rd. TOKYO MOTOR SHOW 1999”にコンセプトカー「XVL」として発表された。
日産自動車ブースを訪れた入場者には、好評を博している。
平成6年(1994年)から平成7年(1995年)頃に掛け、次世代FRパッケージングの検討を開始する。
1998年1月・・・、
検討中の次世代FRパッケージングの流れを汲む、新たなコンセプトカーの開発を開始。
これは、NISSAN SKYLINE R34型が発売される前の時期であった。
開発当初、このコンセプトモデルはINFINITIブランド向けの完全な新規モデルとして、日産自動車のFRパッケージングを革新する布石となり、世界に通用する高級セダンを目指して開発された。
NISSAN XVL Concept, 1999 | |
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全長(mm) | 4680 |
全幅(mm( | 1750 |
全高(mm) | 1480 |
ホイールベース(mm) | 2850 |
トレッド(mm) | Fr. 1500 Rr. 1500 |
定員 | 5 |
エンジン型式 | NEO Di ガソリンエンジン (VQ30DD) |
トランスミッション | EXTROID CVT |
サスペンション | Fr. マルチリンク式 Rr. マルチリンク式 |
タイヤ | 225/55R17 |
駆動方式 | 2WD (FR) |
XVL Concept
The 33rd. TOKYO MOTOR SHOW 1999
XVL Concept
The 33rd. TOKYO MOTOR SHOW 1999
XVL Concept (INFINITI)
XVL Concept (INFINITI)
NISSAN XVL Concept, 1999
XVL Concept
(1) 概要
「XVL」はこれからの時代の上級セダンとして提案するコンセプトカーであり、「分別」にも「合理」にも縛られず、自分らしく生きることに価値を見出すような、新しい時代の中心となる人をターゲットとしている。 新たに設計した「新世代FR-Lクラスプラットフォーム」により、クルマの基本性能をトータルで向上させた。 ゆったりとくつろげる心地良い上質な空間、操縦安定性や静粛性、安全性に至るまでこのプラットフォームの採用が大きく貢献し、さらに、美しく強い主張を持つスタイリングも実現している。 また、V型6気筒「NEO
Di VQ30DD」直噴ガソリンエンジン、大排気量FR車用無段変速機「EXTROID CVT」などの最新技術が、高速道路から山道にいたるまで、余裕としっかりとした滑らかな走りを提供する。
(2) クラスの基本性能をトータルで向上させる「新世代FR-Lクラスプラットフォーム」
「新世代FR-Lクラスプラットフォーム」は、コンパクトなV型6気筒用エンジン専用とすることで、エンジンルームを小さくすることが可能となり、その結果、広い室内とトランクを実現することができた。 具体的には4.7m以下とした5ナンバーサイズの扱いやすい全長にもかかわらず、2,850mmというLLLクラスに匹敵するロングホイールベースとし、1,480mmの高い車高としながらも、アンダーボディとキャビンのバランスのとれたプロポーションとすることで、長距離ドライブでも大人4人がゆったりとくつろげる広い居住空間と、470リットル(VDA方式)という大容量のトランクを確保することができた。 さらに、フロントミッドシップのエンジンレイアウトとロングホイールベースにより理想的な重量配分を実現し、また、”接地性の高さ”と”乗り心地の良さ”という従来のタイヤでは相反する性能を両立させた大径タイヤにより、「操縦安定性」、「乗り心地」、「安全性」といったクルマの基本性能を他の性能とトレードオフすることなく革新的に向上することができた。 空力特性についても、エンジンルーム・キャビン・トランクの基本配置の最適化と大径タイヤにより、Cd値0.28、フロントリフト0という優れた値を実現した。
(3) 力強くしなやかなスタイリング
「XVL」は、「新世代FR-Lクラスプラットフォーム」がもたらす、ロングホイールベースと前後のショートオーバーハング、大径タイヤなどにより、スポーティでかつ踏ん張り感のあるアンダーボディと高さとゆとりあるキャビンがバランス良いシルエットを実現し、走りへの期待とゆったりとした広さを感じさせるプロポーションとしている。 流れるようなフォルムとしっかりとしたアンダーボディにより、シンプルでありながらも強い主張を持ち、これからの時代を生きる大人達に選び取られる新しさを備えている。 一つひとつのカタチが意味と機能を持ちこのクルマの明確な個性を形成し、さらにこのクルマを選択するオーナーの価値観を象徴するが如く、凛とした強い存在感を周囲に伝播していくスタイリングである。
(4) くつろぎをもたらす上質なインテリア
インテリアデザインは、機能性とシンプルさを追及し、大胆なテーマをハイコントラストで明るいコーディネーションでまとめて、心地良い上質な空間を表現した。 チルトメーターやスライドアップディスプレイは運転する楽しさへの期待感を提供し、ドアハンドルやATフィニッシャーに配した金属素材やシフトノブへの木目の採用などの細部へのこだわりにより、自分自身のモノの見る目を大切にするオーナーの期待に応えている。 機能面では、広い室内空間を確保したうえで、乗降性、視認性、操作性、疲労回避の全てに優れた「ベストツーリングポジション」の考え方を採用した。 具体的には、車高・クッション高・フロア地上高を最適化することにより、優れた乗降性のみならず、高いアイポイントと着座姿勢を可能とし、視認性も向上させている。 また、ステアリングと連動するチルトメーターおよびワイドシートリフターの採用により、乗る人の体型にあったベストなドライビングポジションを可能としている。 その他にもキセノンヘッドランプ、サイサポート付ドライバーズシートなど、長時間運転時の疲労軽減にも配慮した。 また、運転席以外の席についても同じように「インディビジュアル空間」という考え方を取り入れ、同乗者を含めた乗員全員が気兼ねなく、空調や着座姿勢を自分の好みで選択できる機構としている。
(5) 楽しさと余裕の走り
「新世代FR-Lクラスプラットフォーム」の採用により実現した52:48という理想的な前後重量配分は、旋回時やレーンチェンジ時の車両挙動の安定と高い限界性能をもたらすとともに、操舵時の自然な運転感覚、4輪を有効に使った理想的なブレーキ性能を提供する。 新たに連続可変バルブタイミングコントロールを採用したV型6気筒「NEO
Di VQ30DD」直噴ガソリンエンジン、および大排気量FR車用無段変速機「EXTROID CVT」により、低速から高速にいたる全域で滑らかで気持ち良い走りをもたらすとともに、低燃費も実現している。 加えて、新しい4輪マルチリンクサスペンションの採用、各部の徹底した軽量化、静粛性への配慮、高剛性ボディ等が高速道路から山道にいたるまで、「Private
Premium セダン」にふさわしい余裕と、しっかりとした走りを提供する。
〜〜〜 ISSN 0385-9266 より 〜〜〜
NISSAN SKYLINEは、R32型の成功以降、販売台数が右肩下がりに減少・・・、
加えて、日産自動車の経営状況の悪化の為、R34型の後継車の開発の凍結が決定していた。
”The 33rd. TOKYO MOTOR SHOW 1999”に出品し好評を博したコンセプトカー「XVL」が、NISSAN SKYLINEの根源的な理念と重複する部分も多かった為に「XVL」が次期型SKYLINEとなることが決定された。
V35型以前のNISSAN SKYLINEは、それまでのSKYLINE歴代モデルの固定観念にとらわれ、プラットフォームを大幅に変更する事も許されずにいた。
NISSAN SKYLINEが9代目のR33型であった時、次期型SKYLINEでプラットフォームを大幅に変更する事が計画されていた。
しかし、この構想は実現せず、次期型SKYLINE R34型はR33型からのキープコンセプトとなり、その次期型SKYLINE V35型にモデルチェンジするに当たってようやく新たなパッケージングを採用し、大幅な改変を行う事に成功した。