取材車両 S14-104992
入庫日 2006年01月21日
走行距離 65059km
右フロントフェンダーを板金します
約200m/m×150m/mの面積が凹んでいます
板金部位周辺の部品を取り外しました
歪が発生している部位を確認します
結構凹んでいます
右フロントフェンダーが約200m/m×150m/mの面積凹んでしまった車両が入庫して来ましたので、これから板金・塗装の様子を順を追いながらレポートして行きます。
表面上では、凹んでいるのは外板パネルだけですが、フロントバンパー、右ヘッドライト、右フロントクリアランスランプを取り外し、他の部位に歪が生じていないかを確認します。
今回は、他の部位には歪が生じていない事が判明しました。
早速、板金に取り掛かります。
歪が発生している部分の塗装を剥ぎます
凹んでいるパネルを板金ハンマーとドリー(オンドリー、オフドリー)で板金して行きます。
今回は、凹んでいるパネルを裏側から手で押しただけで、凹みがほぼ出てしまいましたので板金ハンマーとドリーの出番はありませんでした・・・。
でも、小さな歪が残っていますので板金を進めて行きます。
塗装面を角度を変えながら良く見ると、歪んでいる箇所が確認出来ます。
歪が出ている箇所の塗装を、シングルアクションに60〜80番のディスクロールを付け剥いで行きます。
シングルアクション
スタッドマチックを使用して小さな歪を引き出します
スタッドマチック
スタッドマチックでの引き出しが終了しました
板金パテを塗ります
歪んでいる箇所の塗装が剥がせましたら、スタッドマチックを使用して小さな歪を引き出して行きます。
スタッドマチックは、修理中の車両ボディーにアースケーブルを接続し、銅チップを挟み込んだプラス側端子を歪んである箇所に接触、通電させ銅チップを溶接します。
この銅チップにスライディングハンマーを掛け、軽く衝撃を与えながら歪んでいる箇所を引き出す様になっています。
この銅チップを溶接する箇所は、時にして数十箇所にも及ぶ事があります。
なお、画像のマスキングテープはプレスラインの位置を表した物です。
板金パテを削ります
中間パテを塗ります
中間パテを削ります
ボデイー鋼板の大まかな歪が取れましたら、パテを塗布しボディー鋼板の表面を仕上げて行きます。
パテには色々な種類が有りますが、自動車板金用パテは板金パテ、中間パテ、ポリパテ、グレージングパテの順番に使用しボディー鋼板の表面を仕上げて行きます。
パテを塗り削る時には、ボディーラインを崩す事なく、またプレスライン等に注意をしながら作業を行う必要があります。
それぞれのパテを削る時にはダブルアクションを使用します。
中間パテの作業が完了しました
ポリパテの作業が完了しました
ダブルアクション
大まかにパテを削る時には別途荒削り用の工具を使用しますが、ダブルアクションを使用すると回転しながら上下運動をする事から、パテ表面を綺麗に仕上げながら効率よく作業を行う事が出来ます。
パテの作業が全て完了しましたら、塗装面残しマスキングします。
この時に、少しでも隙間が出来ると不必要な箇所にも塗料が付着してしまいますので注意が必要です。
プライマーサーフェーサー(HBサーフェーサー)を塗装します。
マスキングが完了しました
プライマーサーフェーサーを塗装します
プライマーサーフェーサーの塗装が完了しました
ラッカーパテで最終補修を行います
再びプライマーサーフェーサーを塗装します
プラーマーサーフェーサーを塗装し乾燥しましたら、表面の仕上がり具合を確認します。
表面のブツ、プレスラインを確認します。
微細な異常が認められましたらラッカーパテで最終補修を行います。
再びマスキングしてから、プライマーサーフェーサーを塗装します。
表面の仕上がりが完璧な状態となる迄この一連の作業を繰り返します。
取り外した部品を全て組み付けます
綺麗に仕上がりました
余白
マスキングを取り除きました
塗装が完了しました
ベースを塗装中
マスキングします
塗装する部分を除き全てマスキングします
足付け洗剤と足付けスポンジ
塗装する部分の足付け作業を行います。
この作業を確実に行わないと、将来的に塗装面が剥がれて来る原因となります。
足付けの手順は、1番目に600番耐水ペーパーを使用、2番目に800番耐水ペーパーを使用、3番目にTolexを使用、4番目に足付け洗剤と足付けスポンジを使用し足付けを行い、最後に洗浄します。
足付けの作業が完了しましたら、塗装ブースに車両を入れてマスキングをして行きます。
塗装する部位を除き、全てをマスキングで覆います。
マスキングをする際には、少しでも隙間が有ると、この隙間から塗料が不必要な箇所に付着してしまいますので、簡単な作業ですが注意が必要です。
マスキングが完了しましたら、いよいよ塗装を行います。
まず、プレソルにて塗装する面を脱脂します。
続いて、エアブローしながらタッククロスで表面に付着している微細な異物も除去します。
この車両の場合、3コートパール塗装(カラー番号 WK0)ですので、順番に3層を塗装して行きます。
ベースを塗装し、パールを塗装・・・。
最後にクリアを塗装します。
塗装が完了し、指等で塗装面を触った時に指等に塗料が付かなくなる位迄乾きましたら、マスキング材を剥がして行きます。
塗装面が完全に乾燥してからマスキング材を取り除こうと思うと、なかなか剥がせないばかりではなく、塗装面を割ったり傷付ける事にもなりかねません。
マスキング材を剥がし終わりましたら、塗装面が完全に硬化する迄待ちます。
塗装面が完全に硬化しましやら、取り外しておりました部品を元通りに組み付けます。
続いて、塗装した部分を磨いて行きます。
もし、塗装した面にブツが発生している様であれば、耐水ペーパー、もしくはBuflexを使用しブツ取りを行います。
この後に1500番のコンパウンドを付けたバフで塗装した部位を磨いて行きます。
以上で一連の板金・塗装作業が完了しました。
車両もご覧の様に、どこを板金・塗装したか解らない程に修理が出来ています。