取材車両 S15-500990
入庫日 2008年04月26日
走行距離 85392km
運転席のドアが、外からは(アウトサイドハンドルでは)開く事が出来るが、内側から(インサイドハンドルでは)開く事が出来ない時があると言った症状の修理依頼で車両が入庫して来ました。
早速に現車を確認する事にします。
症状を確認すると、ユーザーの言う通りで、アウトサイドハンドルではD席ドアはスムーズに開く事が出来るが、インサイドハンドルではスムーズに開く事もあるが、引っ掛かった様な感じで2〜3回短時間に連続してインサイドハンドルを引離を繰り返すと開くと言った感じとなっていました。
防水用シートをドアパネルに貼り付けます。
防水用シートが損傷等している場合には、補修あるいは交換する必要があります。
防水用シートは、ドアパネルに付着しているブチルラバーが硬化、欠落等している場合には新たに接着し、防水用シートの周囲を確実にドアパネルに接着する様にします。
防水用シートの接着が悪い場合には、降雨時、洗車時等にドアガラスとガラスモールの隙き間からドアパネル内部に侵入した水が、ドアフィニッシャー、ドアスピーカー等に掛かり、損傷、漏電等の原因となります。
ドアロックを車両に取り付けた状態での作動確認を行います。
ドアロックの作動確認を行い、確実に作動出来ているようであれば引き続きドアパネルより取り外した部品の復元作業を行って行きます。
吸音材となる発泡スチロールをドアパネルへ取り付けます。
アウトサイドハンドル用コントロールロッドをドアロックに挿入しながら、ドアロックをドアパネル内の規定の位置へと移動させます。
ドアロック側で取り外しておりました、インサイドロック用コントロールロッド、インサイドハンドル用コントロールロッドをドアロックへ・・・。
キーシリンダー裏側で取り外しておりましたアウトサイドロック用コントロールロッドをキーシリンダー裏側へ、それぞれ元通りに接続してから、取り付けビス、取り付けボルト 合計4本を仮付けした後に取り付けビスより本締めし、ドアロックをドアパネルに固定します。
ドアロック本体の不良であると言った結論に達し、予め用意しておりました新品のドアロックへ交換する事になりました。
車両から取り外したドアロックに付属しておりますセキュリティー用ドアロックカバー、集中ドアロックアクチュエーター、キーシリンダーへ接続されるコントロールロッド等を取り外します。
用意しておりました新品のドアロックに、これら上記の部品を取り付けます。
ドアロックをドアパネル内へと挿入し、集中ドアロックアクチュエーターにカプラーを接続します。
ドアフィニッシャーを取り付けました
ドアフィニッシャーのガラスモール部を下側へ押し込む用に挿入
コントロールロッドを全て取り付けます
カプラーを接続し、ドアロックをドアパネルへ・・・
用意した新品のドアロック
ドアロックを取り外し、単品で作動を確認して行きます。
Ass'yで組み立てられているドアロックを分解する事は困難ですが、作動を確認して行くとインサイドハンドル用コントロールロッドが取り付けられているアーム部のガタが大きくなっている様に思われました。
ここで予め手配していました新品のドアロックと、形状等と共に作動状態を確認してみる事にします。
確認すると、形状は同一の様ですが、作動状態は車両から取り外した方のガタが、明らかに大きいと感じられました。
吸音材となっている発泡スチロールをドアパネルから取り外し、ドアロックをドアパネルのフロント側へと少し引き出します。
ドアロック本体に組み込まれている集中ドアロックアクチュエーターに差し込まれているカプラーを外します。
この作業が完了すると、ドアロックをドアパネルから外へ取り出す事が出来ました。
ドアロック本体を外す事は完了しましたが、ドアパネル内側には吸音材となっている発泡スチロールが取り付けられています。
ドアロックをドアパネルより取り出す際、この吸音材となっている発泡スチロールが障害となりますので、吸音材となっている発泡スチロールをドアパネルから取り外し、取り出しておきます。
吸音材となっている発泡スチロールは、ドアパネルに2個のクリップで固定されています。
ドアロックが外れました (ドアパネル内側より)
ドアロックが外れました
カプラーを外し、ドアロックを取り出します
集中ドアロックモーターにカプラーが接続されています
ドアロックを引き出します
取り外した吸音材の発泡スチロール
やはり、ドアロック本体に故障の原因があるようです。 ドアロック本体を、ドアパネルから取り外してみる事にします。
ドアパネルのドアロック取り付け部付近にあるドアフィニッシャーで隠される部分に取り付けボルトが1本。 ドアパネルのドアロック取り付け部 ピラー側にある取り付けビス 3本。 合計 4本の取り付けボルト、ビスを外しました。
ドアロック側で、インサイドロック用コントロールロッド、インサイドハンドル用コントロールロッドを外します。
アウトサイドロック用コントロールロッドは、キーシリンダー裏側で取り外す事にしました。
これよりドアロック本体の点検を開始する事にします。 インサードハンドルからドアロックへと繋がるコントロールロッドを、インサイドハンドル側で外します。
ドアを閉めた状態にし、室内側 D席より、このインサードハンドル用コントロールロッドを手で動かした時にドアロックが正常に作動するかどうかを点検しました。
結果は、インサイドハンドル側で外しているインサイドハンドル用コントロールロッドは、手で動かした際には十分なストロークを持つ事が出来ていますが、それでもドアロックが正常に開く事もありましたが、やはり引っ掛かって2〜3回短時間に連続してインサイドハンドルを引離を繰り返すと開くと言った感じに動かさないとドアを開ける事が出来ないと言った症状は残ったままとなっています。
ドアロック取り付けボルトを外します
ドアロック取り付けボルト
インサイドロック用 (上側)、インサイドハンドル用 (下側)
ドアパネルよりドアフィニッシャーが外れましたら、ドアフィニッシャー、ドアスピーカー等を雨水等から防ぐ為にドアパネルに貼り付けられている防水用シートを剥がして行きます。
今回は、この防水用シートを全て剥がすのではなく、ドアロック等を点検するのに必要な部位のみドアパネルから剥がす事にしました。
防水用シートは、破れ易く変形し易いですので、ドアパネルから剥がす際には慎重に少しずつ剥がす様にします。
ドアパネルには防水用シートが貼り付けられています
ドアフィニッシャーの下側、前側、後側に取り付けられている全てのクリップピンがドアパネルのクリップグロメットから外せましたら、ドアパネルからドアフィニッシャーの下側を少し浮かせる様に保持した状態のまま、ドアフィニッシャーのガラスモールをドアパネルから外す様に、上側へと持ち上げる様に取り外します。
ドアフィニッシャーのガラスモールがドアパネルから外れましたら、ドアガラスが開いている場合にはドアガラスを全閉状態にしてから、ドアフィニッシャーに取り付けられているパワーウィンドゥスイッチ、ドアミラースイッチに接続されているカプラーを外します。
これで、ドアパネルよろドアフィニッシャーを取り外す事が出来ました。
ドアフィニッシャーのガラスモール部を上側へずらします
アームレストポケット、インサイドハンドルエスカッションが外れましたら、ドアフィニッシャーを取り外して行きます。 ドアフィニッシャー前端部の上下 2箇所、後端部の上下 2箇所に取り付けられているクリップ 4個を外します。 ドアフィニッシャー下端部のビス 4本を取り外します。
ドアフィニッシャーをドアパネルに取り付けているクリップ、ビスが外れましたら、ドアフィニッシャーの下側より、ドアパネルからドアフィニッシャーを引き剥がす様に、ドアフィニッシャーに取り付けられているクリップピンをドアパネルのクリップグロメットから外して行きます。
○ 凸爪
○ 凹爪
○
○
○
○
○
○
続いて、インサイドハンドルエスカッションを取り外します。
ドアフィニッシャーの溝部に、インサイドハンドルエスカッションの4箇所の凸爪が嵌まり込んでいます。
インサードハンドルのバックプレート部に設けられた凸爪部に、インサイドハンドルエスカションの4箇所の凹爪が嵌まり込んでいます。
上記8箇所の爪を外し、インサイドハンドルエスカッションをドアパネルに対しリヤ側へと少し移動させると、インサイドハンドルエスカッションの後端部に設けられた引っ掛けがドアフィニッシャーから外れ、インサイドハンドルエスカッションを取り外す事が出来ます。
D席ドア内部に組み込まれているドアロック、ドアロックコントロールロッド、インサイドハンドル等の状態を確認する為に、D席ドアのフィニッシャーを取り外して見る事にしました。
D席ドア フィニッシャーの一部となっているアームレストの、上部に取り付けられているポケットを取り外します。
アームレストポケットの中央にあるキャップを外し、見えて来る取り付けビスを外します。
アームレストポケットを、上部に持ち上げる様にするとアームレストポケットを取り外す事が出来ました。
D席ドア アームレストポケット
S15型車 D席ドア
防水用シートを元通りに貼り付けました
ドアロックをボルトで固定しました
形状等と共に作動を確認中
ドアロック取り付けビスを外します
ドアロック取り付けビス
アウトサイドロック用 (中央縦)
アウトサイドハンドル用 (左奥側)
クリップが外れました
↑ 引っ掛け
○
○
○
ドアロックを交換する事により、ドアの閉まり具合が変化する場合があります。
この場合には、ピラーに取り付けられているストライカーを移動させ、ドアの閉まり具合を調整する必要があります。
ドアロックの作動が重たい等の障害を抱えていた場合、ドアロックコントロールロッド等に歪等が発生している場合があり、ドアロックコントロールロッド等を交換、修正する必要があります。
ドアフィニッシャーをドアパネルから脱着する場合、ドアガラスは全開状態で作業を行う事を推奨致します。
ドアパネルからドアフィニッシャーを取り外す際 (ドアパネルに取り付けられているクリップグロメットから、ドアフィニッシャーに取り付けられているクリップピンを取り外す際)、クリップクランプツール等を使用し、慎重に順序良く取り外す様にします。
ドアフィニッシャーを一気に引っ張る様な作業を行った場合には、ドアフィニッシャーを大きく損傷してしまう可能性があります。
ドアフィニッシャーをドアパネルに取り付ける際 (ドアパネルに取り付けられているクリップグロメットから、ドアフィニッシャーに取り付けられているクリップピンを取り付ける際)、ドアフィニッシャーに取り付けられているクリップピンの頭部が、ドアパネルに取り付けられているクリップグロメットに全数確実に挿入された事を十分に確認した後、嵌め込む様に押し込みます。
ドアフィニッシャーに取り付けられているクリップピンの頭部が、ドアパネルに取り付けられているクリップグロメットに挿入されていない状態で押し込んでしまった場合には、ドアフィニッシャーに取り付けられているクリップピンが折損等するだけだはなく、ドアフィニッシャーが損傷、破損等する場合があります。
ドアパネルとドアガラスの間に、ドアフィニッシャーのガラスモールが挟まり、ドアフィニッシャーのガラスモール部が変形、損傷等する場合があります。
ドアロックに取り付けられている集中ドアロックアクチュエーターに接続されているカプラーから伸びる配線は、取り回しには十分な配慮が必要です。
パワーウィンドゥ作動時、ドアガラスが降下して来た際等に、ドアガラス、ガラスレール等に挟まり巻き込まれる状態となれば、配線が短絡し集中ドアロックが作動しなくなるばかりではなく、同一ヒューズから電源を供給される電気装置が作動しなくなります。
また、この様な状態となった場合には、最悪の場合には車両火災に至る可能性もあります。
ドアロックをドアパネルから取り出す際、ガラスレール、ガラスランラバーを変形等させない様に注意する事が必要です。
ガラスレールを変形させたり、ガラスランラバーがガラスレールから外れた状態としてしまい、この状態を気付かずにパワーウィンドゥを作動させドアガラスを昇降させた場合には、パワーウィンドゥレギュレーター、パワーウィンドゥモーター等に無理な力が作用し、パワーウィンドゥレギュレーター、パワーウィンドゥモーター等が損傷等したり、ドアガラスが損傷する場合があります。
作業が完了です
吸音材の発泡スチロールを取り付けました
ドアロックを規定の位置へと移動させます
アウトサイドハンドル用コントロールロッドを挿入しながら・・・
付属する部品を、新品のドアロックに組み付けました
ドアロックに付属する部品を組み替えます
取り外したドアロック
吸音材の発泡スチロールが外れました
吸音材の発泡スチロールを取り外します
キーシリンダー裏側よりコントロールロッドを外しました
ドアロックを確認するに必要な分だけを剥がしました
破れたり変形させない様に少しずつ剥がします
外れたドアフィニッシャー
ドアフィニッシャーが外れました
ドアフィニッシャー P/Wスイッチ、ドアミラースイッチの裏側
P/Wスイッチ、ドアミラースイッチのカプラーが外れました
P/Wスイッチ、ドアミラースイッチのカプラーを外します
ドアフィニッシャー下側から、ドアパネルより浮かして行き・・・
ビスが外れました
ドアフィニッシャー下端部に取り付けられているクリップ (後側)
ドアフィニッシャー下端部に取り付けられているクリップ (前側)
ドアフィニッシャー後端部に取り付けられているクリップ
クリップが外れました
ドアフィニッシャー前端部に取り付けられているクリップ
○
○
○
インサイドハンドルエスカッション 裏側の爪
インサイドハンドルエスカッションが外れました
インサイドハンドルエスカッション
上側へ持ち上げる様にし、ポケットを外しました
取り付けビスを外しました
キャップが外れ、取り付けビスが見えて来ました
中央にあるキャップを外します
D席ドア ドアロック
D席ドア インサイドハンドル
P/Wスイッチ、ドアミラースイッチのカプラーを接続しました
ドアロックをビスで固定しました