取材車両 HG50-002239
入庫日   2005年07月07日
走行距離 111327km

入庫時点でのディスクブレーキの状態

ディスクブレーキは放熱性に優れ、現在の自動車の多くに使用されています。

ディスクブレーキ装着車はホイールと共に回転するディスクローターと、これを挟み込む様に取り付けられ回転を低下させようとする働きをするディスクキャリパー、ディスクパッド等から構成されています。

ディスクパッドは基盤となるスチール製の基台に摩擦剤を接着した構造をしています。

ディスクパッドは国産乗用車で、摩擦剤が約10mm設けられて製造されているが、使用するに従いどんどん摩耗して行きます。

今回の取材車両は、このディスクパッドの摩擦剤が完全に無くなるまで走行し、ディスクパッドのスチール製の基台とディスクローターが直接接触した状態で入庫してきたものです。

スチール材同士が圧着しながら接触したため、ディスクローターの表面が大きく荒れています。

このままディスクパッドのみを交換しても直ぐにディスクパッドが摩耗してしまい、また制動力にも大きく影響が出てしまいます。

このようにひどい状態にならなくても、使用過程において砂利等の異物をディスクローターとディスクパッドの間に噛み込んだりしてディスクローターの表面がアナログレコードの様に荒れている場合には、今回紹介するディスクローターの研磨作業をします。

一般的にディスクローターを取り外してこの研磨作業は行います。

今回使用するディスクローター研磨機はディスクローターを車両に装着したままの状態(オンザカー状態)でもディスクローターを研磨する事が出来ますが、リヤディスクローターだった為、内部にサイドブレーキ用シューが組み込まれているので、これを点検するためにあえてディスクローターを取り外します。

ディスクキャリパーを取り外し、ディスクパッドを取り外します。続いてトルクメンバーを取り外してからディスクローターを取り外します。

ディスクローターが車両から取り外せたら、ローター研磨機にセットします。

バイトをセットし、研磨する厚みを計算してスイッチをONにします。

自動的に両面を同時に研磨して行きます。

内側から研磨され、どんどん綺麗になって行きます。

ディスクローターの表面がボロボロ

ディスクローター取り外し中

ローター研磨機にセット完了!

研磨中の状態(外側)

研磨中の状態(内側)

研磨完了(外側)

研磨完了(内側)

研磨が完了したら、こんなに綺麗になりました。

研磨が完了したら、ローター研磨機から取り外し、車両に取り付けます。

車両に装着されていたディスクパッドと新品を写真に撮ってみました。

左から外側へ装着されていたディスクパッドで基台のスチール材迄摩耗しています。内側の物は辛うじて摩擦材が約0.5mm残っています。右側の2枚が新品ですが、摩擦剤が約10mm有ります。

今回、ディスクパッドはPITWORKブランドの製品を使用しました。

日産自動車が純正ブランドと並行販売するブランドで、日産自動車純正部品と同様の性能、品質を約束されている為、日常も多くの製品を愛用しています。

ディスクパッドを組み込み、ディスクキャリパーを取り付け最終チェックを行います。

確実に組み付けられていればロードホイールを取り付け、ブレーキテスターで制動力が確実に出ているか、また左右のバランスが保たれているか、今回はサイドブレーキのドラムも兼ねているディスクローターを取り外した為、サイドブレーキの効き具合もブレーキテスターで確認します。

今回の作業は、道路運送車両法の重要保安部品に該当する項目ですから、地方運輸局長認証工場で整備し整備主任者が確実に完成検査を実施しなければならないとされています。

従って、一般の方が作業する場合には特に注意する必要があります。

また、ディスクローターの研磨は、ディスクローターの材質、摩耗・変形の度合い、摩耗限度値(ミニマムライン)等の制約も有りますのでご注意ください。



この作業に関して、不明の点等がございましたら「Mail」画面からお問い合わせください♪



装着されていたディスクパッドと新品

今回使用したディスクパッド

ディスクローターとディスクパッドを組み付けた状態

ディスクローター研磨

余白