取材車両 S14-104992
入庫日 2006年04月06日
走行距離 65208km
S14型車エンジンルーム全景
ブレーキフルード交換の必要な車両が入庫し、同時にクラッチフルードの交換も行う事となりましたので、クラッチフルードの交換手順を順に紹介して行きます。
今回は、バキューム式キャッチタンクを使用した1人で簡単に行える方法を紹介させていただきます。
キャッチタンク(左)とブレーキブリーダー(右)
クラッチマスターシリンダー&リザーバータンク
ブレーキブリーダーをセットします
リザ−バータンクキャップを外します
バキューム式キャッチタンクを接続しました
クラッチオペレーティングシリンダー
負圧を利用し吸引します
リザーバータンク内のレベルを確認します
リザーバータンクキャップを取り付けました
リザーバータンクキャップを取り外します。
ブレーキフルードを充填したブレーキブリーダーをリザーバータンクにセットします。
クラッチフルードの汚れが酷い場合には、予めリザーバータンク内のブレーキフルードを抜き取っておく事をお奨めいたします。
クラッチオペレーティングシリンダーに取り付けられているエアブリーダーのキャップを外します。
キャップに亀裂等が発生している場合には、必ず交換しておく必要があります。
また無くなっている場合にも、キャップを別途用意し必ず取り付けておく様にします。
クラッチオペレーティングシリンダーのエアブリーダーにバキューム式キャッチタンクのブリーダーホースを接続し、バキューム式キャッチタンクの負圧用に工場用コンプレッサーから高圧エアホースを接続します。
バキューム式キャッチタンクの負圧作動レバーを握りながらクラッチオペレーティングシリンダーのエアブリーダーを約60°緩めます。
すると、バキューム式キャッチタンク内に発生した負圧により、クラッチオペレーティングシリンダーのエアブリーダーに接続したブリーダーホースへクラッチオペレーティングシリンダー内のクラッチフルードが吸引され排出されて行きます。
クラッチオペレーティングシリンダー内のクラッチフルードが吸引排出されると、クラッチホース、クラッチパイピング、クラッチマスターシリンダー、クラッチマスターシリンダーリザーバータンクにも負圧が作用し、クラッチフルードが吸引されクラッチオペレーティングシリンダーのエアブリーダーから排出されます。
クラッチマスターシリンダーリザーバータンクのクラッチフルード量が少なくなると、ブレーキブリーダーが自動的にブレーキフルードをクラッチマスターシリンダーリザーバータンク内に補充し、クラッチ配管内にエアを混入させる事無く作業を進める事が出来ます。
ブレーキフルードは少し多目に使用し、クラッチマスターシリンダー、クラッチパイピング、クラッチホース、クラッチオペレーティングシリンダー内部の古いクラッチフルードを全て排出する様にします。
クラッチフルードの交換が終了しましたら、クラッチマスターシリンダーリザーバータンク内のクラッチフルードレベルを交換前のレベルに合わせます。
解らない場合には、MAX.レベルに合わせておきます。
リザーバータンクにキャップを取り付けます。
最後にクラッチオペレーティングシリンダーのエアブリーダーの締め付け具合を再確認します。
クラッチペダル数回踏み込み、クラッチオペレーティングシリンダーのエアブリーダー、その他クラッチ配管接続部からクラッチフルードの漏れが無い事を確認します。
今回の作業で、クラッチマスターシリンダーリザーバータンク内のクラッチフルードの汚れが酷い場合には、予めクラッチフルードを抜き取っておいた方が良いと記述していますが、この時にスポイト等の工具を使用する場合には、既にスポイト等の工具を別の目的で使用している物を使う場合、綺麗に洗浄した上で使用し、ブレーキフルード以外の油脂等がクラッチマスターシリンダーリザーバータンク内へ混入する事は絶対に避けて下さい。
また、ウェス等を使用しクラッチマスターシリンダーリザーバータンク内部を清掃する場合には、ペーパーウェスの使用を推奨しますが、布ウェスを使用する場合には糸屑等が侵入しない様に注意する事も必要です。
また、油脂等が付着したウェスを使用する事は絶対に避けて下さい。
クラッチフルードの交換作業は比較的簡単で、少しの知識があれば誰でも作業を行う事は可能です。
しかし、クラッチフルードの交換作業を誤り、車両運転時にクラッチ油圧系統が作動不良を起こすと、クラッチを断続出来ない等の事態が予測されます。
作業を行う場合には細心の注意を払いながら、慎重に作業を進められる事を推奨いたします。
また、ブレーキフルードは塗料剥離成分を含有しておりますので、車両の塗装面等にブレーキフルードが付着しますと塗装面に変色や剥離が発生する事が有りますので十分な注意が必要です。
ブレーキフルードは湿気を吸着する様に作られていますので、多湿時や雨天時等の作業は控える事をお奨めいたします。