取材車両 PM12-141717
入庫日 2007年03月25日
走行距離 49239km
リヤロードホイールを外しました
リヤドラムブレーキ
8mmのボルト 2本を用意します
ドラムのネジ穴に8mmのボルトを挿入します
8mmのボルトを締め込んで行きます
ドラムが外れてきました
ドラムを外しました
ドラムの摩耗、損傷を点検します
バックプレートに取り付けられているブレーキシュー等
最上部に取り付けられているホイールシリンダー
継続検査と24か月定期点検整備の為に入庫してきた車両。
24か月定期点検整備を行い、点検作業を進めて行く内に、年式、総走行距離から勘案しリヤドラムブレーキのホイールシリンダーをオーバーホールし、カップキットの交換を行った方が良い事が判明しました。
ホイールシリンダーのカップキットから、ブレーキフルードの漏れはありませんでしたが、予防整備の一貫として作業を行う旨、ユーザーに予め了承を得てから作業を行いました。
車両をリフトアップし、4輪全てのロードホイールを取り外します。
フロント側はディスクブレーキ、リヤ側がドラムブレーキとなっています。
8mmのボルト 2本を用意し、リヤドラムブレーキのブレーキドラムのネジ穴 2箇所に、この8mmのボルトを挿入します。
ハブとドラムの境部に、ルーセン等を吹き付けておきます。
8mmのボルト 2本を均等に締め込んで行きます。
8mmのボルト 2本を均等に締め付けて行っているにもかかわらず、ドラムが外れてこない場合には、ドラムの角部を銅ハンマー等で軽く叩き衝撃を与えます。
ドラムが外れてきました。
ドラムを完全に取り外します。
ドラムを取り外すと、ドラムブレーキ内部からブレーキダストが出て来ますので、周辺に飛散しない様に注意が必要です。
ホイールシリンダーのダストブーツを指で押し、ブレーキフルードが漏れ出て来ない事を確認します。
この時に、ブレーキフルードが漏れ出てきたり、あるいは何もしていないのに既にブレーキフルードが漏れている場合には、ホイールシリンダーのカップからブレーキフルードが漏れている事が考えられ、ホイールシリンダーのオーバーホールを必ず行い、カップキットを交換、もしくはホイールシリンダーアッセンブリーを交換する事とします。
ホイールシリンダーのダストブーツをドライバー等で捲って内部を確認する行為は、異常が全く無いホイールシリンダーのダストブーツ内部に異物を入れてしまう原因となります。
取り外したドラムの、ブレーキシュー接触部を中心に摩耗度合い、損傷、変形等を点検します。
ブレーキシューの残量を点検します
シューホールドピンツール
スプリングを押し縮めながら90度回転させます
L側シューのシューホールドピンが外れました
取り外したシューホールドピン、スプリング、シート
バックプレートからブレーキシューが浮きました
シューホールドピンの先端は平らになっています
シートの中央にはスリットが設けられています
ブレーキシューの残量を点検します。
リーディングシュー、トレーリングシュー共に全周に渡って点検し、一番摩耗している箇所の残量が規定値内にあるかどうかを確認します。
また、ホイールシリンダーからブレーキフルードが漏れていて、ブレーキシューにブレーキフルードが付着している場合には、ブレーキシューを交換する事を推奨いたします。
ブレーキシュー等の取り外しを行いますが、まず初めにリーディングシューから取り外して行きます。
特殊工具 シューホールドピンツールを用意します。
プライヤー等で代用する事も可能ですが、部品を押さえ切れず、途中で滑り部品が飛んで行ってしまう可能性がありますので、充分に注意しながら作業を行う必要があります。
バックプレート側からシューホールドピンを指で押さえながら、シューホールドピンツールをシューホールドアッパーシートに当て、シューホールドスプリングを押し縮めながらシューホールドアッパーシートを90度回転させます。
シューホールドアッパーシート、シューホールドスプリングを外し、バックプレート側からシューホールドピンを抜き取ります。
シューホールドピン等の仕組みを簡単に説明します。
シューホールドピンは、バックプレートの裏側からバックプレートに開けられている穴から差し込まれています。
バックプレートの外側にブレーキシューが取り付けられますが、ブレーキシューに開けられている穴から、このシューホールドピンが出て来ています。
シューホールドピンを中心にして、ブレーキシューの外側にシューホールドスプリングが取り付けられ、このシューホールドスプリングを押し縮める様にしてシューホールドアッパーシートが取り付けられています。
シューホールドスプリングの力で、ブレーキシューをバックプレートに押し付けている訳です。
シューホールドピンのブレーキシュー側先端部は、平らに加工されています。
シューホールドアッパーシートは、シューホールドピンのブレーキシュー側先端部の形状に合わせたスリットが設けられています。
このスリットから90度回転させた位置に、シューホールドピンのブレーキシュー側先端部の形状に合わせた凹みが設けられており、ブレーキシュー取り付け時には、この凹みにシューホールドピンのブレーキシュー側先端部の平らな部分が入り込み、無闇に回転し外れてしまわないようになっています。
シューホールドスプリングは、このシューホールドアッパーシートを外側へ押しやる様に取り付けられてもいる事から、シューホールドアッパーシートが遊んでしまい、ガタついてシューホールドピンとの取り付けが外れてしまわない様にする役割も担っています。
リーディングシュー、トレーリングシューを接続する様に取り付けられているブレーキシューリターンスプリングロアを、はめ込まれているブレーキシューアンカーの外側へドライバー等を使用し出します。
トレーリングシューをブレーキシューアンカーからドライバー等を使用し出し、ブレーキシューリターンスプリングを外します。
リターンスプリングロア
アンカーの手前にスプリングを移動します
シューをアンカーから外しスプリングを外します
T側シューのホールドピン等を外します
T側シューのホールドピン等が外れました
リターンスプリングアッパーとアジャスター
L側シューを手前に引く様にして外します
L側シューが外れました
外したL側シュー及び付属品
T側シューも外れました
サイドワイヤーに接続されています
サイドブレーキレバーからサイドワイヤーを外しました
サイドワイヤー
取り外したT側シューとリターンスプリング
ホイールシリンダー
PITWORK ホイールシリンダーカップキット
リーディングシューのシューホールドピン等を外した時と同じ様に、トレーリングシューをバックプレートに固定していますシューホールドピン、シューホールドアッパーシート、シューホールドスプリングを外します。
これで、リーディングシュー、トレーリングシュー共にバックプレートから外れ、少し動かす事が可能となりました。
リーディングシュー、トレーリングシュー共にホイールシリンダーのブレーキシュー取り付け部(ピストン両端の凹部)から手前に外します。
リーディングシューを、ブレーキシューリターンスプリングアッパー取り付け部を支点として下側を持ち上げる様にしながら手前に倒す様にし、ブレーキシューリターンスプリングアッパー、ブレーキアジャスターを取り外します。
これで、リーディングシューを完全に外す事が出来ました。
ブレーキシューリターンスプリングアッパー、ブレーキアジャスターをリーディングシューから外しておきます。
トレーリングシューが、トレーリングシューに取り付けられているサイドブレーキレバーに接続されていますサイドブレーキワイヤーに引っ掛かる形となり、ぶら下がる様になります。
サイドブレーキワイヤーに取り付けられていますスプリングを押し縮めながら、トレーリングシューに取り付けられていますサイドブレーキレバーからサイドブレーキワイヤーを取り外します。
これで、トレーリングシューも完全に取り外す事が出来ました。
バックプレートには、下側にブレーキシューアンカーがリベットで固定、サイドワイヤーが裏側から挿入、上部にホイールシリンダーが取り付けられているもにとなりました。
この様な状態となりましたら、ホイールシリンダーをバックプレートに取り付けられているままで分解し、カップキットの交換を行ってゆきます。
今回 使用するホイールシリンダーのカップキットは、PITWORK製品といたしました。
また、ホイールシリンダーカップキット組み付け用としてPITWORK シリコングリースを用意しました。
PITWORK シリコングリース
ダストブーツが外れ難い場合にはマイナスドライバー等で・・・
ダストブートを外します
ピストンを抜いて行くと・・・
ブレーキフルードが出て来ました
T側のピストンが外れました
L側のピストンも外れました
ホイールシリンダーからピストンを抜き取りますが、この時にブレーキフルードが出て来ますので、トレー等を準備しホイールシリンダーの下側へ置いておきます。
またホイールシリンダー周辺のバックプレートを中心にブレーキダストをブレーキ&パーツクリーナーで取り除いておきます。
ダストブーツをホイールシリンダーから捲る様に外して行きます。
この時に、ダストブーツが捲れ難い場合には細いマイナスドライバー等を挿入しダストブーツを捲ります。
細いマイナスドライバー等を使用する場合には、ホイールシリンダー、ピストンに傷等を付けてしまわない様に注意する事が必要です。
ダストブーツが捲れましたら、このダストブーツを少しずつ引っ張る様にし、ホイールシリンダーからピストンを抜いて行きます。
ホイールシリンダーからピストンの組みつけられていますカップが抜け出た瞬間にブレーキフルードがホイールシリンダーから出て来ました。
T側ピストンをホイールシリンダーから完全に抜き出します。 このT側ピストンには、ピストンスプリングが取り付けられています。 同様に、L側ピストンもホイールシリンダーから抜き出します。
抜き出したピストン
ピストンが抜けたホイールシリンダー
シリンダーポリッシャーを用意します
ホイールシリンダー内部を清掃します
抜き出したピストンに傷、亀裂等が無い事を確認しておきます。
ピストンが抜けましたら、ホイールシリンダーの内部を点検します。
目視により内部を点検し、傷、亀裂等が無い事を確認しておきます。
次に綺麗に洗った指をホイールシリンダー内部に挿し込み、ホイールシリンダー内部に爪を当て移動させた時に、爪に引っ掛かりが無い事を確認しておきます。
軽度に爪の引っ掛かりがある場合には、#1000以上の細かさの耐水ペーパーで研磨し、爪の引っ掛かりが無い様に修正しておきます。
但し、#1000以上の細かさの耐水ペーパーで簡単に取り除く事が出来ない傷がある場合、ホイールシリンダーアッセンブリーを交換する事を推奨いたします。
また、#1000以上の細かさのサンドペーパーで研磨する場合、ホイールシリンダーの長さ方向にサンドペーパーを動かすとブレーキフルードが漏れる原因となりますので、必ずホイールシリンダーの円周方向にサンドペーパーを動かし研磨する様にします。
シリンダーポリッシャーを用意し、エアドリル等に装着の上、ホイールシリンダー内部の清掃を行います。
シリンダーポリッシャーは常に清潔に保管し、埃、異物等が付着しない様に保管された物を使用します。
保管状態の悪いシリンダーポリッシャーを使用すると、ホイールシリンダー内部に傷等を付けてしまう原因となります。
この後、ホイールシリンダー内部をブレーキ&パーツクリーナーで綺麗に清掃しておきます。
続いてピストンに取り付けられていますカップ、ダストブーツの交換を行います。
片側のピストンにはピストンスプリングが取り付けられています。
このピストンスプリングがテーパー状となっており、小さい径側がピストンの内側に設けてある突起部に嵌め込まれています。
このピストンスプリングは、取り付けられていたピストンとは別のピストンも同形状な事から、最初にピストンスプリングが取り付けられていなかったピストンにも取り付ける事が可能です。
また、最初はトレーリング側のピストンに取り付けられていましたが取り付け側が逆となり、リーディング側のピストンに取り付けても問題はありません。
但し、このピストンスプリングはホイールシリンダー内に組み込まれるピストンを、外側へ押しやる様に働く役目を担っている事から、必ずホイールシリンダー1個に付き このピストンスプリング1本をリーディング側、トレーリング側いずれかに取り付けておく必要があります。
ピストンスプリングを外します
ピストンスプリングが外れました
ダストブーツを外します
ダストブーツが外れました
細いマイナスドライバーを挿入し・・・
カップを外します
カップが外れました
分解が出来たピストン構成部品
ピストンにカップを・・・
ドライバー等を使用せずに取り付けます
カップを取り付けました
ダストブーツも取り付けます
ダストブーツの取り付けが出来ました
組み付けが出来たピストン
取り付け準備が出来たピストン
カップにシリコングリースを塗り・・・
満遍なく全周に塗り広げます
ホイールシリンダーにピストンを挿入し・・・
ダストブーツをホイールシリンダーの溝に嵌め込みます
T側のピストンが挿入出来ました
L側のピストンも挿入出来ました
バックプレートには古いグリースが付着しています
古いグリース等を綺麗に拭き取りました
ブレーキ&パーツクリーナー等で洗浄しました
ブレーキシューが当たる部分にグリースを塗布します
サイドワイヤーの擦れる箇所にもグリースを塗布します
11箇所、グリースを塗布しました
ピストンに取り付けられていますダストブーツを取り外します。
外れ難い場合には、細いマイナスドライバー等を使用し外しても構いませんが、ピストンに傷等を付けない様に注意する事が必要です。
引き続きカップを取り外します。
これは細いマイナスドライバーをピストンとカップに間に挿入し、カップを広げて、テコの原理を応用する形でカップを取り外します。
この時にも、マイナスドライバー等でピストンに傷等が付かない様に注意する事が必要です。
ピストンからダストブーツ、カップが外れましたら、ピストンに傷、損傷等が無い事を確認します。
小さな傷が付いている様ならば、#1000以上の細かさのサンドペーパーで傷等を取り除きますが、この#1000以上の細かさのサンドペーパーで簡単に取り除く事が出来ない傷等がある場合には、ホイールシリンダーアッセンブリーで交換する事を推奨いたします。
ピストンのみとなりましたら、ブレーキ&パーツクリーナー等で綺麗に清掃しておきます。
灯油等の鉱物油等では洗浄しない様に注意する事が必要です。
新品のカップにシリコングリースを薄く塗ります。
ピストンにカップを取り付けますが、ドライバー等は一切使用せず、手だけで取り付ける様にします。
ドライバー等を使用しカップを取り付けた際には、カップ等に傷等が付いていなくてもブレーキフルードが漏れる可能性がある為、新たな新品のカップを用意し、交換する必要があります。
なお、ピストンにカップを挿入する際、作業が困難な場合に為に自動車整備工具メーカーよりピストンカップツール等も発売されています。
カップを取り付けたピストンにダストブーツを取り付けます。
ダストブーツのピストン接触部にシリコングリースを薄く塗布します。
基本的には手のみで取り付けますが、難しい場合には細いマイナスドライバー等を使用する事も可能です。
この場合にはピストン等に傷等つけない様に注意する事、カップにはこの細いドライバー等を一切接触させない事が非常に重要となってきます。
ピストンにカップ、ダストブーツの取り付けが出来ました。
カップには取り付け方向がありますので、画像の様な方向に取り付けが出来ているかを再確認します。
カップを反対に組み付けた場合にはブレーキ作動時にブレーキフルードが漏れますので、新たに新品のカップキットを用意し再度交換する事が必要です。
ダストブーツも正しく取り付けられているかを確認しておきます。 取り付けが不適切な場合には、ブレーキダストがホイールシリンダーとピストンの間に入り込み、ブレーキフルードが漏れる原因となります。
片側のピストンにピストンスプリングを取り付けます。 このピストンスプリングの取り付けが不確実な場合には、ホイールシリンダー内部等に傷等が付き、ブレーキフルードが漏れる可能性があります。
ピストンに組み付けたカップにシリコングリースを塗布し、カップ全周にシリコングリースを行き渡らせます。
ピストンをホイールシリンダーに挿入します。
ホイールシリンダーにピストンのカップ取り付け部が挿入出来ましたら、ブレーキ&パーツクリーナーでホイールシリンダーにピストン挿入口を清掃しペーパーウェスでブレーキフルードを拭き取っておきます。
ピストンをホイールシリンダーの奥まで挿入し、ダストブーツをホイールシリンダー端部の溝に確実に嵌め込みます。
この時にも細いマイナスドライバー等を使用する事は可能ですが、ホイールシリンダー内部、ピストン等に傷等を付けない様に充分注意する事が必要です。
また、このダストブーツの取り付けが不確実な場合には、ブレーキダストがホイールシリンダー、ピストンの間に入り込みブレーキフルードが漏れる原因となります。
T側のピストンに続き、L側のピストンもホイールシリンダーに同様に取り付けます。
ホイールシリンダーにピストンの組み付けが終わりましたら、バックプレートのブレーキシュー接触部等に付着しています古いグリース等を綺麗に拭き取ります。
バックプレート、ハブには、ホイールシリンダーのカップキットを交換する際にホイールシリンダーから出て来ましたブレーキフルードが垂れて付着していますので、このブレーキフルードをブレーキ&パーツクリーナーで綺麗に洗い流し洗浄しておきます。
バックプレート等が綺麗になりましたら、バックプレートのリーディングシュー接触部 3箇所、トレーリングシューの接触部 3箇所、ホイールシリンダーピストン両端のブレーキシュー取り付け部 2箇所、ブレーキシューアンカーのブレーキシュー取り付け部 2箇所、サイドワイヤー接触部、合計11箇所にブレーキシューグリースを薄く塗布します。
このブレーキシューグリースの塗布量が多過ぎると、このブレーキシューグリースがブレーキシュー摩擦部等に付着し、制動力が不足する等の問題となる可能性があります。
バックプレートに挿入されているサイドワイヤー
リターンスプリングを挿入します
T側ブレーキシューのサイドレバーに・・・
サイドワイヤーを取り付けます
リターンスプリングを・・・
バックプレートのホルダーに挿入します
別の角度から見ます
ブレーキシュー及び付属品の取り付けに入ります。
サイドブレーキに挿入されているサイドワイヤーにサイドレバーリターンスピリングを挿入します。
サイドワイヤーの先端部を、トレーリングシューに取り付けられているサイドレバーに取り付けます。
サイドワイヤーリターンスプリングをバックプレートのホルダーに収めます。
ホルダーに確実に収めていない場合、リターンスプリングが遊んでしまい、サイドブレーキ解除時にサイドブレーキが戻り切らない場合があります。
裏側からシューホールドピンを挿入し・・・
バックプレートの穴に・・・
T側のシューを取り付けます
T側のシューの取り付けが出来ました
トレーリングシューをバックプレートに取り付けます。
バックプレートに開けられている穴に、バックプレートの裏側からシューホールドピンを挿入します。
バックプレートにトレーリングシューをセットし、トレーリングシューに開けられている穴にもシューホールドピンを通します。
トレーリングシューの手前側にシューホールドスプリングをセットし、シューホールドアッパーシートをシューホールドピンツール等で取り付け、シューホールドアッパーシートの凹部にシューホールドピンの平らな部分を確実に入れておきます。
アジャスター
アジャスターのネジ部を分解・清掃し給油しておきます
アジャスターを取り付けました
トレーリングシューは、この時点でバックプレートに確実に取り付けた状態とします。
アジャスターを清掃します。
特にネジ部は分解し、清掃した上で給油し、軽く回る事を確認しておきます。
また、アジャスターのネジ部は元通りの位置よりも、少し縮めた位置まで締め込んでおきます。
アジャスターを、バックプレートに取り付けたトレーリングシュー、及びトレーリングシューに取り付けられているサイドブレーキレバーの取り付け部に確実に嵌め込みます。
ブレーキシューリターンスプリングアッパーをトレーリングシューの取り付け穴に確実に挿入し、取り付けておきます。
この時点で、ブレーキシューリターンスプリングの取り付けが不確実な場合には、リーディングシュー取り付け時に外れる等で後の作業の妨げとなります。
リターンスプリングを穴に挿入し・・・
確実に取り付けました
リーディングシューにリターンスプリングを取り付けて・・・
ホイールシリンダーのピストン凹部に取り付け・・・
アジャスターを嵌め込みました
リーディングシューの仮付けが出来ました
リーディングシューを、正規の取り付け位置から約45度手前に起こした所へ持って来て、ブレーキシューリターンスプリングアッパーを取り付け穴に挿入します。
リーディングシューを正規の取り付け位置に動かしながら、ホイールシリンダーのピストン凹部に嵌め込みます。
更にリーディングシューを正規の取り付け位置に動かしながらアジャスターを、リーディングシューの取り付け部に嵌め込みます。
これで、リーディングシューの仮付けが出来ました。
T側シューにリターンスプリングロアを取り付けて・・・
引き寄せたL側シューにも取り付けます
リターンスプリングロアの取り付けが出来ました
トレーリングシューに、ブレーキシューリターンスプリングロアを取り付けます。
リーディングシューの下側を、ブレーキシューアンカーの手前側に移動させ、更にトレーリングシュー側に寄せて来て、ブレーキシューリターンスプリングロアをリーディングシューにも取り付けます。
リーディングシューを、マイナスドライバー等を使用しブレーキシューアンカーの正規な取り付け位置に戻します。
リーディングシューを、トレーリングシューと同様にシューホールドピン、シューホールドスプリング、シューホールドアッパーシートで確実に取り付けます。
L側シューも、裏側からシューホールドピンを挿入し・・・
シューホールドアッパーシートを回転させ取り付けます
ブレーキシューリターンスプリングロアもブレーキシューアンカーの手前側にありますので、ブレーキシューアンカーの内側(向こう側)の正規の取り付け位置に移動させておきます。
リターンスプリングロアが手前に出ています
マイナスドライバー等を使用し・・・
アンカーの内側へ移動しました
ブレーキシュー及び付属品の組み付けが出来ました
以上で、ブレーキシュー及び付属品の取り付けが出来ました。
ブレーキシューをバックプレートに中心となる様に微調整しながら移動させます。
ブレーキシューがシューホールドピン、シューホールドスプリング、シューホールドアッパーシートで確実に取り付けられている事を再確認しておきます。
ブレーキシューが、ホイールシリンダーのピストン取り付け部、ブレーキシューアンカーの取り付け部に確実に嵌め込まれている事を再確認しておきます。
ブレーキシューリターンスプリング、アジャスターの取り付けが確実に出来ている事を再確認しておきます。
バックプレートに塗布したシューグリースの余分な分は、ブレーキシューに付着しない様に注意しながら拭き取っておきます。
ブレーキドラムを取り付けます。
ブレーキドラムが用意に外れない様に、ハブナット等を仮締めし取り付けておきます。
ホイールナットが袋状等でブレーキドラムを仮締めし取り付け出来ない場合には、ロードホイールを仮付けしておきます。
ブレーキドラムを取り付けました
裏側から見たバックプレート
ホールプラグが取り付けられています
ホールプラグを外しました
外したホールプラグ
ブレーキアジャストツール
アジャスターを回し調整します
車両をリフトで上昇させ、バックプレートを裏側から見ます。
ホイールシリンダー取り付け位置に近くにホールプラグが取り付けられています。
このホールプラグを外します。
ホールプラグを外した穴から、アジャスターのネジ部付近が見えています。
この穴からブレーキアジャストツールを挿入し、アジャスターのカムを回転させドラムブレーキを調整します。
ドラムブレーキを調整する時には、ブレーキドラムをゆっくりと回転させながらアジャスターのカムを回転させます。
ブレーキシューとブレーキドラムが擦れ合う音がしましたら、車両室内からサイドブレーキレバーを操作し、ブレーキシューをバックプレートの中心位置に来る様にします。
サイドブレーキを数回操作しても、ブレーキシューとブレーキドラムが擦れ合う音が出たままとなりましたら、ドラムブレーキの調整は完了です。
アジャスターのカムを回転させ過ぎると、反対方向に回転させ戻す事は出来ず、再度ブレーキドラムを外す等でアジャスターのカムを逆回転させ縮める事が必要となります。
また、サイドブレーキレバーの引き代が基準値以下の場合、サイドブレーキワイヤーを伸ばしてからドラムブレーキの調整を行う必要があります。
サイドブレーキワイヤーが突っ張ったままドラムブレーキを調整すると、ブレーキシューとブレーキドラムの隙き間が、規定値通りにに調整が出来ません。
ブレーキフルードの液面が低下しています
エアブリーダーキャップを外します
ブレーキのエア抜き作業を行います
リザーバータンクの液量を調整しておきます
ブレーキのエア抜き作業を行います。
当該車両は、ブレーキ配管がクロス配管となっている為、ブレーキのエア抜き作業は、左後輪、右前輪、右後輪、左前輪の順に行います。
ブレーキマスターシリンダーのリザーバータンクの液量は、全ての作業に取り掛かる前の位置まで補充する様にしておきます。
このリザーバータンクの液量でディスクパッド等の残量を確認する目安となりますので、リザーバータンクの液量をMAXレベルまで補充すると、ディスクパッド等の残量が把握出来なくなります。
最後にロードホイールを取り付け、ハブナットをトルクレンチを使用し規定トルクで締め付けます。
今回の作業は、道路運送車両法で定める重要保安部品に該当します。
国土交通省 各地方運輸局長が認める認証工場で作業を行い、整備主任者が中間検査、完成検査を実施しなければならないとされています。
完成検査実施時には、ブレーキテスター等を使用し、制動力が保安基準に適合しているか、またブレーキに引きずり等が無い事を確認する事を推奨いたします。
制動装置の整備を実施する場合、充分な知識と経験を有する者が行う様にします。
知識、経験が不足している者が作業を実施した場合、作業の些細なミス等が発生すると、制動時に確実な制動力が得られなくなる可能性があるばかりではなく、制動不良により重大な事故を誘発する可能性があります。
また走行中にブレーキ部品が脱落し、回転部分に巻き込まれ、運転者の操作によらない車輪のロック等が発生する可能性がある為、重大な事故を誘発する可能性があります。
ブレーキ部品が走行中に脱落した場合、後続車に当たり重大な事故に繋がる可能性もあります。
完成検査を実施しない、あるいはブレーキテスターを使用しないで完成検査を行った場合には、ブレーキの片効きが発生している場合があり、特にウェット路面でも制動時にハンドルのブレ等で影響が出る可能性があります。
ブレーキドラムが外れ難い場合には、銅ハンマー等で軽く衝撃を与え外す様にしますが、この時にスチールハンマー等で衝撃を与えたり、銅ハンマーを使用してでも強い衝撃を与えると、ブレーキドラムを損傷等させる事がありますので注意が必要です。
また銅ハンマー等で軽く衝撃を与える場合には、ブレーキドラムの肉厚が厚い箇所、もしくは角部に衝撃を与える様にします。
肉厚の薄い箇所を銅ハンマーで衝撃を与えると、ブレーキドラムが損傷等する事にもなりかねません。
今回紹介しました作業手順の中で、ホイールシリンダーのカップキットを交換する際、プラスチックグローブを手に嵌め作業を行っていますが、素手で行うのが一般的です。
軍手等を使用しホイールシリンダーのカップキットを交換した場合には、軍手に付着しています糸くず等がピストンカップ等に付着し、ホイールシリンダーとピストン、カップの間に挟まり、ブレーキフルードが漏れる原因となります。
当該作業で使用するウェスは、全てペーパーウェス等とし、布製ウェスは糸くずがカップ等に付着する可能性がある為、使用する事は避ける事を推奨いたします。
ホイールシリンダー内部を洗浄する場合には、鉱物系の洗浄油は使用しないで下さい。
カップ等のゴム部品を早期に疲労させ、ブレーキフルードが漏れる原因となります。
ホイールシリンダーのカップを組み付ける時に使用するグリースは、カップグリース、シリコングリース等のみを使用する様にします。
鉱物油系のグリースを使用すると、カップ等のゴム部品を早期に疲労させ、ブレーキフルードが漏れる原因となります。
ブレーキフルードは非常に吸湿性が高いフルードです。
特に取り扱いには注意し、吸湿させない様にする事が大切です。
ブレーキフルードは、塗装面を犯す性質の物質が含有しています。
ボディー等の塗装面には付着しない様、注意する事が必要です。
ホイールシリンダーのカップキットは、今回の作業でも左右輪共に交換しております。
片側輪のみの交換は、ブレーキの片効きの原因となりますので、必ず左右輪を同時に交換する事を推奨いたします。
ドラムブレーキのブレーキシュー等の分解は、確実に組み付け方が覚え切れない場合には、片輪ずつ分解し組み付け、組み付け方が解らなくなれば反対側の輪の組み付け方を見ながら組み付けられる様にしておく事も必要です。
シューリターンスプリングの取り付けが不確実な場合には、ブレーキシューが引きずりを起こし、最悪の場合には車両火災となる事がある事を認知しておく事も必要です。
ドラムブレーキの調整(ブレーキシューとブレーキドラムの隙き間の調整)は、ブレーキドラムを手で回転させた時に少し摺れた音がする位とし、この少し摺れた音がしている状態でも引っ掛かりがなく軽く回転する状態である事を確認しておきます。
ブレーキドラムを手で回転させた時に、引っ掛かりがある場合には、ブレーキドラム等に歪が発生している可能性がありますので、改めてブレーキドラム等の部品を点検する必要があります。
ブレーキドラムを手で回転させた時に、軽く回転しない場合にはブレーキシューとブレーキドラムの隙き間が狭過ぎる(調整し過ぎ)ので、改めてブレーキドラムを外し、アジャスターを少し戻してから再調整を行う必要があります。
経験の薄い者が、興味本位で制動装置の整備を実施する事は、事故を招く恐れが高い確率である事から、自粛していただく様にお願いいたします。