取材車両 WGNC34-012139
入庫日 2007年05月15日
走行距離 161265km
エンジンルームに取り付けられているブレーキマスターシリンダー
マスターバックにブレーキフルードが垂れた跡が・・・
エンジンオイルの交換の為、入庫して来た車両・・・。
エンジンオイル交換作業が終了し、車両の各部を点検していると、ブレーキマスターシリンダーとマスターバックの取り付け部からブレーキフルードが漏れ、マスターバックにブレーキフルードが垂れた跡があるのを発見しました。
ブレーキマスターシリンダーのシリンダーとピストンの間からブレーキフルードが漏れている様です。
このブレーキフルードが垂れた跡は、比較的 乾いた状態で、埃が付着している程度・・・。
ブレーキマスターシリンダーリザーバータンク内のブレーキフルードは規定量入っており、酷くブレーキフルードが漏れている状態ではない様です。
ユーザーに確認すると、ブレーキマスターシリンダーは、これまで一度もオーバーホール、交換等を実施した事はない様です。
ブレーキフルードが漏れ、危険な状態となっている事をユーザーに伝え、車両を引き続きお預かりし、ブレーキマスターシリンダーのオーバーホールを行う事になりました。
ディスクキャリパーのエアブリーダーから・・・
ブレーキフルードを抜きます
ブレーキマスターシリンダーを車両から取り外す前に、ブレーキマスターシリンダーのリザーバータンク内、及びブレーキマスターシリンダー内のブレーキフルードを抜き取っておきます。
今回の作業では、最後のブレーキエア抜き作業を”NISSAN CONSALTU”を使用しABS本体内部に組み込まれているポンプを強制駆動させて行う事から、ディスクキャリパーのエアブリーダーにブレーキブリーダーをセットし、ブレーキペダルを操作しブレーキフルードを抜き取りました。
この”NISSAN CONSALTU”を使用出来ない状態でブレーキエア抜きを行わなければならない場合には、ABS本体内部にエアを混入させる事がない様に注意する事が必要です。
この為、ブレーキマスターシリンダーのリザーバータンク内のブレーキフルードを、専用のスポイト等で抜き取る程度にしておきます。
ブレーキフルードを抜き取りました
レベルセンサーに接続されているコネクター
コネクターを外しました
ブレーキパイプを外します
ウェス等を下側に敷いておきます
ブレーキパイプレンチ
フレアナットを緩めます
フレアナットが外れました
取り付けナットを外します
取り付けナットを外します
ブレーキマスターシリンダーが外れました
取り外したブレーキマスターシリンダー
ブレーキフルードの抜き取りが完了しましたら、ブレーキマスターシリンダーの下端付近に接続されているブレーキフルードレベルセンサーのコネクターを外しておきます。
ブレーキマスターシリンダーに接続されているブレーキパイプを取り外します。
この時には、若干のブレーキフルードがパイプ接続部から出て来ますので、ブレーキマスターシリンダーの下側にウェス等を敷き、出て来るブレーキフルードを吸着させ受け止める様にします。
専用のブレーキパイプレンチを使用し、ブレーキマスターシリンダーに接続されているブレーキパイプのフレアナットを緩めます。
フレアナットが緩みましたら、手でフレアナットを回し、フレアナット、ブレーキマスターシリンダーのフレアナット取り付け部のネジ部に引っ掛かり等が無い事を確認しておきます。
フレアナットが手で回らない場合には、スパナ等を使用し回しますが、この場合にでもネジ部に引っ掛かり等が無い事を確認しておきます。
フレアナットをブレーキマスターシリンダーから外します。
ブレーキパイプを変形等させない様に注意しながら、もブレーキマスターシリンダーから外します。
ブレーキマスターシリンダーをマスターバックに取り付けているナット2個を取り外します。
これでブレーキマスターシリンダー取り外す事が出来ました。
ブレーキパイプは変形等させない様に注意しながら、更にブレーキフルードを塗装面に付着させない様に注意しながらエンジンルームから取り出します。
ブレーキマスターシリンダーをエンジンルームから取り出しましたら、ブレーキマスターシリンダーに取り付けられていましたブレーキパイプに、異物等が侵入しない様にラップ等を巻き付けておきます。
また、取り外したブレーキマスターシリンダーは、表面に付着した汚れ等をブレーキ&パーツクリーナーで綺麗に清掃しておきます。
この時には、ブレーキマスターシリンダーのブレーキパイプ取り付け部から異物等が侵入しない様に注意する事が必要です。
左側から・・・
右側から・・・
リヤ側に取り付けられているピストンリテーナー
爪2箇所で引っ掛ける様に取り付けられています
爪を起こして・・・
ピストンリテーナーを取り外します
プライマリーピストンが抜けて来ました
プライマリーピストンを抜き取りました
奥にはセカンダリーピストンが挿入されています
セカンダリーピストンストッパーボルトを取り外します
ドライバーでボルトを緩め・・・
セカンダリーピストンをドライバー等で押さえながら・・・
ボルトを外しました
セカンダリーピストンストッパーボルトが外れると・・・
セカンダリーピストンを抜き取りました
取り外した部品群
少し汚れが溜まっているようです
ブレーキマスターシリンダーを分解して行きます。
ブレーキマスターシリンダーを取り外す際、ブレーキマスターシリンダーのリザーバータンク内に入っていましたブレーキフルードは全量抜き取ってありますが、これより先の作業では、ブレーキマスターシリンダーとピストンの間に残っている少量のブレーキフルード等が出て来ますので、塗装をされていないトレー等の中で作業する事をお奨めいたします。
最初にブレーキマスターシリンダーに組み込まれているプライマリーピストンを抜き取ります。
ブレーキマスターシリンダーのリヤ側に取り付けられているピストンリテーナーを、嵌め込まれている爪2箇所を細いマイナスドライバー等で起こし取り外します。
嵌め込まれている爪2箇所を外す際、ピストンリテーナーを手で押さえながら慎重に行います。
手で押さえず嵌め込まれている爪2箇所を外すと、勢いよくピストンリテーナーが外れ、プライマリーピストンがリターンスプリングによって一気に押し出されて来ますので、プライマリーピストンと共に少量出て来ますブレーキフルードが周囲に飛散する事にも繋がりますので慎重に行う事を推奨いたします。
また細いドライバー等を使用し、嵌め込まれている爪2箇所を起こす際、怪我等の傷害を負わない様に注意する事も必要です。
ピストンリテーナーが外れましたら、プライマリーピストンはブレーキマスターシリンダーから少し出て来ました。
ブレーキマスターシリンダーのリヤ側を下にし、少し柔らかい材質のアタッチメント(木片にペーパーウェスを巻き付けた物等)にコンコンと軽く打ち付つけ、プライマリーピストンをブレーキマスターシリンダーから抜き取ります。
プライヤー等を使用し、プライマリーピストン
を抜き取っても問題はありませんが、ブレーキマスターシリンダーの内壁には、絶対に傷等をつけない様に注意する事が必要です。
続いてブレーキマスターシリンダーに組み込まれているセカンダリーピストンを抜き取ります
ブレーキマスターシリンダー右側に取り付けられている#2 プラスビスを緩めます。
ブレーキマスターシリンダーのリヤ側を上に向け、ピストンリテーナーが取り付けられていた側からプラスドライバー等を挿入し、ブレーキマスターシリンダーに挿入されていますセカンダリーピストンを少し押します。
この時、ブレーキマスターシリンダーに挿入したプラスドライバー等で、ブレーキマスターシリンダーの内壁に傷等をつけない様に注意する事が必要です。
傷等をつけてしまう恐れがある場合には、ブレーキマスターシリンダーに挿入するプラスドライバー等にビニールチューブ等を被せ作業を行う事をお奨めいたします。
この様にしてセカンダリーピストンをプラスドライバー等で少し押しながら、先ほど緩めましたブレーキマスターシリンダーの右側に取り付けられています#2 プラスビスを手で緩め取り外します。
この時、この#2 プラスビスが引っ掛かりなく手で緩められる事を確認しておきます。
この#2 プラスビスが外れましたら、セカンダリーピストンを少し押す為にブレーキマスターシリンダーに挿入しておりましたプラスドライバー等を取り出します。
この#2 プラスビスは、セカンダリーピストンのストッパーボルトの役割を担っています。
#2 プラスビスが外れましたら、セカンダリーピストンはブレーキマスターシリンダーから少し出て来ていますが、ブレーキマスターシリンダーの奥側(フロント側)に取り付けられている為、引き続きブレーキマスターシリンダーの奥へ入ったままの状態となっています。。
ブレーキマスターシリンダーのリヤ側を下にし、少し柔らかい材質のアタッチメント(木片にペーパーウェスを巻き付けた物等)にコンコンと軽く打ち付つけ、セカンダリーピストンをブレーキマスターシリンダーから抜き取ります。
セカンダリーピストンを抜き取ったブレーキマスターシリンダーの奥側(フロント側)を目視で確認すると、古く汚れたブレーキフルードが少し残っており、ブレーキマスターシリンダー内にも汚れが付着している事が判明しました。
用意した日産純正部品
開封し、内容を確認します
PITWORK シリーコングリース
シリンダーポリッシャーで洗浄します
セカンダリーピストンストッパーボルトに取り付けられている・・・
Oリングを交換します
新品のプライマリーピストン&セカンダリーピストン
セカンダリーピストンを挿入して行きます
ピストンカップにシリコーングリースを付け・・・
均一となる様に塗り広げます
マスターシリンダーにセカンダリーピストンを挿入します
↑ ストッパーボルト挿入穴
マスターシリンダーのリヤ側を上にします
プラスドライバー等でセカンダリーピストンを奥へ押します
セカンダリーピストンストッパーボルト取り付け穴に・・・
ストッパーボルトを取り付けます
セカンダリーピストンが確実に取り付けられている事を確認し・・・
ストッパーボルトを本締めします
ブレーキマスターシリンダーをオーバーホールするに際し、日産純正部品のマスターシリンダーピストンキットを用意しました。
用意しました日産純正部品のマスターシリンダーピストンキットは、パッケージを開封し、ブレーキマスターシリンダーから抜き出した古いピストン等と同等の新品部品が梱包されている事を確認しておく必要があります。
また、ブレーキマスターシリンダーにピストンを組み付ける際に塗布するグリースとして、PITWORK シリコーングリースを別途用意しています。
ブレーキマスターシリンダーは、内部が若干なりとも汚れていますので、清潔に保管されていましたシリンダーポリッシャーでブレーキマスターシリンダーのシリンダー内壁を清掃しておきます。
清掃し綺麗になりましたら、ブレーキマスターシリンダーのシリンダー内壁を爪でなぞりながら引っ掛かり等が無い事を確認しておきます。
爪が軽く引っ掛かる様であれば、#1000以上の耐水ペーパーを使用し、シリンダー円周方向に動かしながら平滑に整えておきます。 軽く修正出来ない様な傷等がついている場合には、ブレーキマスターシリンダーをアッセンブリーで交換する事を推奨いたします。
ブレーキマスターシリンダーの組み付け作業に入ります。
セカンダリーピストンストッパーボルトに取り付けられているOリングを取り外しセカンダリーピストンストッパーボルトをブレーキ&パーツクリーナーで綺麗に清掃します。
用意したマスターシリンダーピストンキットに同梱されている新品のOリングに、シリコーングリースを薄く塗布しを取り付けておきます。
初めにセカンダリーピストンからブレーキマスターシリンダーに挿入して行きます。
用意したマスターシリンダーピストンキットに梱包されているセカンダリーピストンをパックされている袋から取り出します。
ブレーキマスターシリンダーのセカンダリーピストンストッパーボルト取り付け穴に、セカンダリーピストンの動きを規制する様にセカンダリーピストンストッパーボルトを挿入し取り付けます。
セカンダリーピストンのストッパーボルト挿入穴に、このセカンダリーピストンストッパーボルトの先端部が入り込む様な位置にセット出来る様にセカンダリーピストンをブレーキマスターシリンダーに挿入します。
新品のセカンダリーピストンのカップ部にシリコーングリースを均一に薄く塗布します。
セカンダリーピストンをブレーキマスターシリンダーに挿入します。
この時、セカンダリーピストンがブレーキマスターシリンダー内を引っ掛かり無く滑る様に挿入出来る事を確認しておきます。
また、セカンダリーピストンリターンスプリングがブレーキマスターシリンダーの奥側になりますので、挿入方向にも注意する事が必要となります。
ブレーキマスターシリンダー内にセカンダリーピストンが挿入出来ましたら、ブレーキマスターシリンダーのピストン挿入口を上側に向け、セカンダリーピストン中心部の凹部にプラスドライバー等を当て、このプラスドライバー等でセカンダリーピストンをブレーキマスターシリンダーの奥へと押し込む様にします。
この時に、プラスドライバー等をブレーキマスターシリンダー内部に挿入しますが、このプラスドライバー等をブレーキマスターシリンダー内壁に接触させてしまう事がない様、充分な注意が必要です。
このプラスドライバー等で奥へ押し込んだセカンダリーピストンを、更に奥へ押し込んだり、少し緩めたりとしながら、ブレーキマスターシリンダー内部でセカンダリーピストンが引っ掛かり等がなく滑る様に動く事を確認しておきます。
ブレーキマスターシリンダーに挿入したセカンダリーピストンを、プラスドライバーで押し込み、ブレーキマスターシリンダーのセカンダリーピストンストッパーボルト取り付け穴とセカンダリーピストンのストッパーボルト挿入穴が一致する様にし、セカンダリーピストンストッパーボルトをブレーキマシターシリンダーに取り付けます。
この時には、ドライバー等は使用せず、手だけでセカンダリーピストンストッパーボルトを一杯までねじ込んでおきます。
ブレーキマスターシリンダーのピストン挿入口から目視によりセカンダリーピストンが挿入されている状態を確認します。
セカンダリーピストンをプラスドライバー等で奥へ押し込み、プラスドライバー等を離した時のセカンダリーピストン位置と比較し、奥側に入り込んでいる事を確認します。
この後、プラスドライバー等でセカンダリーピストンを押し込んだ時、手前側に出て来ようとするセカンダリーピストンの動きが、取り付けたセカンダリーピストンストッパーボルトによって制限されている事を確認しておきます。
加えて、セカンダリーピストンストッパーボルトを取り付けた後でも、プラスドライバー等でセカンダリーピストンを押し込んだ時、引っ掛かり等がなく滑る様に動く事を確認しておきます。
セカンダリーピストンストッパーボルトを本締めします。
プライマリーピストンを挿入して行きます
ピストンカップにシリコーングリースを付け・・・
均一となる様に塗り広げます
マスターシリンダーにプライマリーピストンを挿入します
面一まで挿入出来ました
ピストンリテーナーに加工が施されている爪部
ピストンリテーナーの裏側
ピストンリテーナーをマスターシリンダーに被せます
プラスドライバー等でプライマリーピストンを奥へ押します
ピストンリテーナーを押し込み取り付けました
組み付けが完了したマスターシリンダー
反対側から・・・
マスターシリンダーのピストン挿入部から見ます
続いてプライマリーピストンをブレーキマスターシリンダーに挿入して行きます。
用意したマスターシリンダーピストンキットに梱包されているプライマリーピストンをパックされている袋から取り出します。
新品のプライマリーピストンのカップ部にシリコーングリースを均一に薄く塗布します。
プライマリーピストンをブレーキマスターシリンダーに挿入します。
この時、プライマリーピストンがブレーキマスターシリンダー内を引っ掛かり無く滑る様に挿入出来る事を確認しておきます。
また、プライマリーピストンリターンスプリングがブレーキマスターシリンダーの奥側になりますので、挿入方向にも注意する事が必要となります。
用意したマスターシリンダーピストンキットに梱包されているピストンリテーナーをパックされている袋から取り出します。
ピストンリテーナーには、ブレーキマスターシリンダーのプライマリー&セカンダリーピストン挿入口部外側に設けられている溝部に引っ掛かる様に加工された爪部が2箇所設けられています。
ピストンリテーナーの爪部に変形等が無い事を確認しておきます。
ブレーキマスターシリンダー内にプライマリーピストンが挿入出来、ピストンリテーナーの確認が出来ましたらましたら、ブレーキマスターシリンダーのプライマリー&セカンダリーピストンの挿入部にピストンリテーナーを被せる様に置きます。
ブレーキマスターシリンダーのピストン挿入口を上側に向け、プライマリーピストン中心部の凹部にプラスドライバー等を当て、このプラスドライバー等でプライマリーピストンをブレーキマスターシリンダーの奥へと押し込む様にします。
この時に、プラスドライバー等をブレーキマスターシリンダー内部に挿入しますが、このプラスドライバー等をブレーキマスターシリンダー内壁に接触させてしまう事がない様、充分な注意が必要です。
このプラスドライバー等で奥へ押し込んだプライマリーピストンを、更に奥へ押し込んだり、少し緩めたりとしながら、ブレーキマスターシリンダー内部でプライマリーピストンが引っ掛かり等がなく滑る様に動く事を確認しておきます。
ブレーキマスターシリンダー内部でプライマリー&セカンダリーピストンが引っ掛かり等がなく滑る様に動く事が確認出来ましたら、ブレーキマスターシリンダーのプライマリー&セカンダリーピストン挿入部外側に設けられている溝部に、ピストンリテーナーの爪部を引っ掛ける様に取り付けます。
ピストンリテーナーは、手の力だけで取り付ける事が可能です。
ハンマー等で衝撃を与えながらピストンリテーナーを取り付けた場合には、ピストンリテーナー、ブレーキマスターシリンダー、プライマリー&セカンダリーピストン等に損傷、傷等が付く場合がありますので注意が必要です。
以上で、ブレーキマスターシリンダーのオーバーホール、インナーキットの交換作業は終了となります。
最後に、ブレーキマスターシリンダーのプライマリー&セカンダリーピストン挿入部外側の溝部に取り付けられているピストンリテーナーの取り付け状態、更にセカンダリーピストンの動きを制限する様に取り付けられているセカンダリーピストンストッパーボルトの取り付け状態を確認しておきます。
プライマリーピストンの凹部にシリコーングリースを注入します
ブレーキマスターシリンダーを車両に取り付ける際、ブレーキマスターシリンダーに組み込まれているプライマリーピストンの凹部、すなわちマスターバックのプッシュロッドとの当たり部にシリコーングリースを注入しておきます。
マスターバックを取り外します
D席側ダッショパネルロアカバーを取り外します
ブレーキペダルブラケットの取り付け部が見えます
右側の上下2個と・・・
左側の上下2個の取り付けナットを取り外します
スナップピン、クレビスピンを抜き取ります
取り外したナット、スナップピン、クレビスピン
マスターバックバキュームホース取付Bkt.を取り外します
マスターバックからバキュームホースを抜きました
ブレーキパイピングBkt.を取り外します
取り外したボルト
マスターバックが外れました
マスターバック取付部
機能的には問題無いですが、マスターバックにブレーキマスターシリンダーから漏れ出て来たブレーキフルードが垂れ、塗装面を侵しております。
この為に、マスターバックを取り外し、ブレーキフルードの垂れた部位を清掃し、シャシーブラックを塗装し綺麗に仕上げる事にします。
車両の室内側から作業に取り掛かります。
運転席側ダッシュパネルのロアカバーを取り外します。 この運転席側ダッシュパネルのロアカバーを取り外すと、アクセルペダル&ブラケット、ブレーキペダル&ブラケット、ステアリングコラムシャフト等の取り付けを確認する事が出来ます。
ブレーキペダルとブレーキペダルブラケットの取り付け部を確認します。
マスターバックに植え込まれている8m/mのボルトがダッシュパネルに開けられた穴を貫通し、室内側にまで到達しています。
このボルトの、ダッシュパネルを挟んだ室内側にブレーキペダルブラケットが取り付けられており、ナットで締め付けられています。
このナットは、ブレーキペダルの右側が上下2個、左側も上下2個、合計4個取り付けられています。
このナット4個を外す事により、マスターバックとブレーキペダルブラケットを分離する事が出来ました。
続いて、マスターバックのインプット側プッシュロッドとブレーキペダルがクレビスピンで固定されている為、スナップピンを抜いた上で、このクレビスピンを抜き取ります。
この時、クレビスピンのスナップピン取り付け側には樹脂製の脱落防止用クリップが取り付けられていますので、この脱落防止用の樹脂製クリップをラジオペンチ等で縮めるか、あるいはラジオペンチ等で取り外してから、クレビスピンを取り外します。
なお、取り外したクレビスピン、スナップリングは新品に交換する事を推奨いたします。
車両室内側からの作業が終わりましたら、エンジンルーム側からの作業に取り掛かります。
マスターバックに取り付けられているバキュームホースを取り外します。
この時には、マスターバック上部に取り付けられているバキュームホースブラケットをダッシュパネルから取り外しておきます。
更に、マスターバックを取り外すに際し、マスターバック上部に取り付けられているブレーキパイピングが邪魔になってしまう為、このブレーキパイピングブラケットをダッシュパネルから取り外しておきます。
他に、マスターバックを取り外す際に邪魔となるものが周囲にないかを確認し、ストラットタワー等のマスターバックを取り外す際にマスターバックが接触しそうな箇所に保護用テープを張る等し、ボディー、マスターバックに傷等が付かない様にしておきます。
マスターバックのバキュームホース取り付け部、バキュームホースのマスターバック取り付け部にはテープを巻く等で栓をし、異物が入り込まない様に注意する事が必要です。
以上の作業が出来ましたら、マスターバックを取り外します。
取り外したマスターバックを確認すると、ブレーキマスターシリンダー取り付け部下側にはブレーキフルードが垂れた痕跡がくっきりと付いていました。
ブレーキマスターシリンダーのブレーキフルードが、もう少し酷く漏れ出た場合には、マスターバックの塗装面が完全に剥離し、更に塗装が剥離してしまった箇所は錆が発生している場合があります。
エンジンルームのマスターバック取り付け部を確認します。
ブレーキマスターシリンダーからのブレーキフルードの漏れが酷い場合には、マスターバックを伝わって来たブレーキフルードがボディーにまで付着し、ボディーの塗装面も侵している場合もあります。
今回 像には写っていませんが、マスターバックとダッシュパネルの間には、ガスケット(パッキン)が取り付けられています。
このガスケットは、マスターバックを取り外す作業を行った際には新品に交換する事を推奨いたします。
マスキングを施して・・・
シャシーブラックで塗装します
綺麗に塗装出来たマスターバック
ダッシュパネルとの間に挟むガスケットを交換します
ガスケットを挟みマスターバックを取り付けます
マスターバック取り付けナットを仮付けします
新品のクレビスピン(左側)&スナップピン(右側)
マスターバックのインプッタ側プッシュロッドを・・・
ブレーキペダルにクレビスピンで取り付けます
マスターバック取り付けナットを本締めします
マスターバックバキュームホース等を取り付けます
ブレーキマスターシリンダーを取り付けます
取り付けナットを左右均等に締め付けます
ブレーキパイプを手で奥まで締め付けます
ブレーキパイプレンチを使用しブレーキパイプを本締めします
ブレーキマスターシリンダーの取り付けが出来ました
ブレーキフルードレベルセンサーのコネクターを接続します
ブレーキブリーダーでブレーキフルードを供給しながら・・・
ブレーキドレーナーを使用しエア抜きを行います
ヒューズボックスのカバーを外します
ヒューズボックスが見えます
CONSALT-Uを接続しABSポンプを強制駆動させます
マスターバックに付着したブレーキフルードを完全に取り除きます。
この時に使用したブレーキフルードが付着したウェス等は、他に使用しない様に注意する必要があります。
ブレーキフルードが付着したウェス等を、誤って塗装面等に接触させた場合、この塗装面等を侵す可能性があります。
マスターシリンダーの品番等が記載されたシール部はマスキングして文字が消えてしまわないようにしておきます。
他にもブレーキマスターシリンダー取り付け部、バキュームホース接続部パイプ等にマスキングを施しておきます。
マスターバック全体に軽く足付けをし、塗装する部分の塵、異物を取り除き脱脂しておきます。
シャシーブラックを用意し、マスターバックの表面を塗装します。
今回も、PITWORKブランドのシャシーブラックを用意し、使用しました。
塗装面が完全に乾きましたらマスキングを剥がします。
マスターバックとダッシュパネルの間に挟むガスケットを新品に交換しておきます。
ボディー、ブレーキパイプ等に傷等を付けたり変形させない様に注意しながらマスターバックを取り付けます。
室内側からマスターバック取り付けナットを軽く掛け、マスターバックのインプット側プッシュロッドのクレビスピン挿入穴を、をブレーキペダルのクレビスピン挿入穴に合わせます。
新品のクレビスピン、スナップピンを用意し、クレビスピンには予め二硫化モリブデングリース等を薄く塗布しておきます。
この穴を貫通させる様にクレビスピンを挿入し、スナップピンも取り付けます
マスターバック取り付けナットを本締めします。
ブレーキペダルを作動させ、引っ掛かり等がなく確実に作動出来る事を確認しておきます。
また、ブレーキペダル作動時に異音が発生しない事も確認しておきます。
運転席側ダッシュパネルのロアカバーを取り付けます。
エンジンルーム側からの作業に移ります。
マスターバックを取り外す際に外しておりました、マスターバック上部に取り付けられているブレーキパイピングブラケットをダッシュパネルへ取り付けます。
マスターバックに接続されるバキュームホースのブラケットもダッシュパネルへ取り付けておきます。
バキュームホースをマスターバックに接続し、ホースバンドを取り付けます。
ブレーキマスターシリンダーを取り付けます。
ブレーキパイプ等を変形させない様に注意しながらマスターバックに取り付けます。
取り付けナットを左右均等に締め付け、本締めします。
左右均等に締め付けない場合には、ブレーキマスターシリンダー、マスターバックの接続部が変形、損傷等してしまう可能性があります。
ブレーキパイプをマスターシリンダーに接続します。
フレアナットをマスターシリンダーの奥まで手で締め込み、この時に引っ掛かり等が無く軽く締め込める事を確認しておきます。
ブレーキパイプレンチを使用し、フレアナットを本締めします。
ブレーキフルードリザーバータンクに取り付けられているブレーキフルードレベルセンサーにコネクターを接続します。
ブレーキマスターシリンダーリザーバータンクにブレーキフルードを入れます。
ブレーキフルードを注入したブレーキブリーダーをブレーキマスターシリンダーリザーバータンクの取り付けます。
通常と同じ要領でブレーキマスターシリンダー、ブレーキパイプ、ディスクキャリパー内等のブレーキ配管内に混入したエアを抜きます。
当該車両の場合、ブレーキ配管はクロス配管となっている為、左後輪、右前輪、右後輪、左前輪の順にエア抜きを行います。
今回は通常のエア抜き作業だけで、ブレーキ配管内のエアは抜けました。
ここで、一旦 ブレーキブリーダー、ブレーキドレーナーを取り外します。
ブレーキペダルの遊び、ブレーキペダルを踏み込んだ時の床板との隙間が規定値となっている事を確認します。
ブレーキペダルを踏み込んだままエンジンを始動させ、エンジンによりマスターバックにバキュームが供給された時、ブレーキペダルが奥へと入る事を確認します。
エンジンを掛けたままブレーキペダルを踏み込み、ブレーキフルードが漏れ出て来ない事を確認します。
今回の作業では、念の為にNISSAN CONSALT-Uを接続し、ABS本体内に組み込まれているポンプを強制駆動させ、ABS本体内にエアが混入していない事を確認しました。
この時には、再びブレーキブリーダー、ブレーキドレーナーを取り付け、エア抜きを行っています。
このエア抜き作業では、エアは抜けて来ず、ABS本体内にはエアが混入していない事が判明しました。
ブレーキブリーダー、ブレーキドレーナーを取り外し、ブレーキマスターシリンダーリザーバータンク内のブレーキフルードレベルを、分解前のレベルに合わせておきます。
最後に、今回の作業を行う際に取り外した部品が元通りに復元され、取り付けボルト、ナット等が確実に締め付けられている事を確認しておきます。
今回の作業は、道路運送車両法で定める重要保安部品に該当します。
国土交通省 各地方運輸局長が認める認証工場で作業を行い、整備主任者が中間検査、完成検査を実施しなければならないとされています。
完成検査実施時には、ブレーキテスター等を使用し、制動力が保安基準に適合しているか、またブレーキに引きずり等が無い事を確認する事を推奨いたします。
制動装置の整備を実施する場合、充分な知識と経験を有する者が行う様にします。
知識、経験が不足している者が作業を実施した場合、作業の些細なミス等が発生すると、制動時に確実な制動力が得られなくなる可能性があるばかりではなく、制動不良により重大な事故を誘発する可能性があります。
完成検査を実施しない、あるいはブレーキテスターを使用しないで完成検査を行った場合には、ブレーキの片効きが発生している場合があり、特にウェット路面でも制動時にハンドルのブレ等で影響が出る可能性があります。
軍手等を使用しブレーキマスターシリンダーのインナーキットを交換した場合には、軍手に付着しています糸くず等がピストンカップ等に付着し、ブレーキマスターシリンダーとピストン、カップの間に挟まり、ブレーキフルードが漏れる原因となります。
当該作業で使用するウェスは、全てペーパーウェス等とし、布製ウェスは糸くずがカップ等に付着する可能性がある為、使用する事は避ける事を推奨いたします。
ブレーキマスターシリンダー内部を洗浄する場合には、鉱物系の洗浄油は使用しないで下さい。
カップ等のゴム部品を早期に疲労させ、ブレーキフルードが漏れる原因となります。
ブレーキマスターシリンダーのカップを組み付ける時に使用するグリースは、カップグリース、シリコングリース等のみを使用する様にします。
鉱物油系のグリースを使用すると、カップ等のゴム部品を早期に疲労させ、ブレーキフルードが漏れる原因となります。
ブレーキフルードは非常に吸湿性が高いフルードです。
特に取り扱いには注意し、吸湿させない様にする事が大切です。
ブレーキフルードは、塗装面を犯す性質の物質が含有しています。
ボディー等の塗装面には付着しない様、注意する事が必要です。
経験の薄い者が、興味本位で制動装置の整備を実施する事は、事故を招く恐れが高い確率である事から、自粛していただく様にお願いいたします。