取材車両 S15-500990
入庫日 2008年09月15日
走行距離 88245km
クラッチの遊びを調整するスクリュー(ボルト)、このソクリューの周り止めの役割を担うロックナット、このスクリューが取り付けられているクラッチペダルブラケット等に損傷、変形等は一切ありませんでしたので、これらの部品は交換せず、クラッチの遊びを調整する作業のみを行う事にしました。
ロックナットが緩んでいる状態のままアジャストスクリューを回し、クラッチペダルの遊びを調整します。
クラッチペダルの遊び
@クラッチペダルを手で抵抗を感じるまで押し、遊びの量が規定の範囲内にあるかをスケールなどにより点検する。
ペダル遊び(mm) : 9〜16
クラッチが滑る・・・、そんな症状が現れたり、直ったりする。
そんな事は無いでしょう・・・、と思いながら車両を預かり点検する事になりました。
エンジンを始動し、パーキングブレーキを作動させます。
ギヤを6速(5速)にシフトし、エンジンをレーシングしながらクラッチペダルを徐々に離して行きます。
車両が発進しようとし、クラッチペダルを完全に離すとエンジンがストールしました。
簡易点検の結果、クラッチ本体に滑りは発生していない様です。
クラッチ作動部の点検を行います。
エンジンルーム内のクラッチマスターシリンダー上部に取り付けられているリザーバータンクの油面は規定レベル(Min.とMax.の間)にあります。
これらの状態を確認した後、試運転を慣行しました。
暫く走行していると、突然クラッチが滑ります・・・。
エンジン回転数、ギヤの種類、車速等に関係なく、滑る時は滑る・・・、滑らない時は急激な加減速等しても滑らない・・・。
不思議です。
滅多に無い事例ですが、クラッチペダルの遊びを調整するスクリュー(ボルト)が、ロックナットの緩み等の原因により、クラッチペダルの遊び量を増減させてしまう事があります。
今回の故障の原因も、点検の結果、当該箇所に取り付けられているロックナットに緩みが発生し、クラッチペダルの遊びを調整しているスクリュー(ボルト)が締め込まれたり(クラッチの遊びが無くなる)、緩んだり(クラッチの遊びが増える)する事が原因となっていました。
他の車種に比較して、走行中に発生する車体の振動が多い車両ですが、このロックナットが緩んでいるとは、非常に珍しい事例に遭遇しました。
クラッチペダルの遊びが調整出来ましたら、クラッチが切れた時の、クラッチペダルと床板との隙き間を点検します。
クラッチペダルの遊びが適切な値となりましたら、アジャストスクリューが回転しない様にレンチを掛け、ロックナットを締め付け固定します。
ロックナットを締め付け、アジャストスクリューが固定出来ましたら、再度クラッチペダルの遊びが適切な値のままである事を確認しておきます。
クラッチが切れた時の床板とのすき間
@エンジンを始動し、アイドリング状態にする。
Aパーキングブレーキを作動させる。
Bブレーキペダルを踏む。
Cクラッチペダルをいっぱいに踏み込み、ギヤを1速へシフトする。
Dクラッチペダルを徐々に離していき、クラッチがつながる直前のペダルと床板とのすき間が規定値にあるかをスケールなどなどにより点検する。
切れた時のペダル高さ(mm) : 95以上
ロックナットを締め付け固定します
クラッチの遊び (整備要領書より)
クラッチペダル分解図 (整備要領書より)
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運転席 ペダル配置
クラッチの遊びが調整出来ました
アジャストスクリューを回転させ、遊びを調整します
クラッチが切れた時の床板とのすき間 (整備要領書より)
アジャストスクリュー&ロックナット
クラッチペダル