取材車両 AK12-075866
入庫日 2005年09月16日
走行距離 36684km
エンジン冷却水を交換する方法としては、色々な方法が有りますが、今回は おしるこちゃん が日常の業務でも行っている方法を紹介させていただきます。
まず、車両に乗り込みイグニッションスイッチをONにしてから(車種によってはエンジンを始動してから)エアコンコントロールパネルの温度調整ボリュームを一番高い温度に設定します。
これにより車両のヒーターバルブが全開となります。
ここで車両から降り、エンジンフードを開けエンジンルームの前に立ちます。
ヒーターバルブを全開にします
エンジンルームを車両前部から・・・
ラジエーターキャップを開けます
ラジエーター下部のドレーンプラグ
ラジエータードレーンプラグを外しました
外したラジエータードレーンプラグとパッキン
エンジン冷却系統内部に圧力が掛かっている場合が有る為、ラジエーターキャップを外し圧力を逃します。
エンジン冷却水温が高い場合等は高い圧力が掛かっており、一気に噴出した熱湯により火傷を負う可能性が有りますので、特に注意が必要です。
圧力が逃げましたら、ここで一旦ラジエーターキャップを取り付けます。
次に車両の下部よりラジエータードレーンプラグをプラスドライバーにより取り外します。
ラジエーターキャップを取り付けてラジエータードレーンプラグを取り外した場合、水の表面張力作用によりエンジン冷却水はほとんど出て来る事はなく、腕周りが濡れなくて済みます。
取り外したラジエータードレーンプラグ、ラジエーター本体のラジエータードレーンプラグ取り付け部に異常が無い事を点検します。
ラジエータードレーンプラグのパッキンは取り外した場合には新品に交換する事を推奨いたします。
ここで再びラジエーターキャップを外します。
外したラジエーターキャップも目視で点検し、異常が認められる場合にはラジエーターキャップテスター等で点検し、必要であれば交換します。
ラジエータードレーン部から勢い良くエンジン冷却水が出て来ます。
エンジン冷却水の廃液は全量回収の上、専門の回収業者に引き渡さなければならない様に公害対策の面からも指導されておりますので、ユーザー自らがこの作業を行う場合には特に注意が必要です。
次に車両のカウルトップパネル付近に取り付けられているヒーターホースを1本外します。
外したヒーターホースと上水道に接続したホースを特殊工具(ホームセンターで水道用品・ホース等の陳列棚に並べられて売られています)で接続します。
水道の蛇口をゆっくりと開き、ヒーターホースを外したヒーターパイプから水がヒーターパイプの容量の1/2から2/3位の勢いで出る様に蛇口の開き具合を調整します。
ヒーターパイプからエンジン冷却水が全て出て、透明な水道水が出て来る様になれば、ヒーターパイプを指で押さえ水がヒーターパイプから出ない様にします。
暫くすると、ラジエータネック部(ラジエーターキャップ取り付け部)からエンジン冷却水が出て来て、透明な水道水が出て来ます。
これでラジエーター内部とエンジン冷却系統、ヒーターコア等の洗浄が終わりました。
ラジエータードレーン部から水が出なくなりましたら、ラジエータードレーンプラグをパッキンと共に取り付けます。
外したヒーターホースも確実に元通りに取り付けます。
次にラジエーターサブタンクを取り外し、内部を洗浄します。
一緒に外側も綺麗にしておくと、MINレベル、MAXレベルが見易くなります。
綺麗になったラジエーターサブタンクを元通りに取り付けます。
カウルトップパネルのヒーターホース取り付け部
特殊工具(・・・?)
この様に接続します
接続部の拡大写真
ラジエーターサブタンクを取り外します
綺麗になりました
新しい冷却水を補充します
冷却水が毀れた所は水道水で綺麗に流します
取り外した部品が確実に元通り取り付け出来ましたら新しいエンジンクーラント(LLC等)を補充します。
今回作業しました車両はK12型車で、使用されている原動機CR10DE、CR12DE、CR14DE、3機共にエンジン冷却水全容量は4.9ℓですので、標準濃度のエンジンクーラント(30%)にするには、エンジンクーラントを1.47ℓ使用し、残りは水道水を補充します。
ラジエーターネック部より新しいエンジンクーラントを補充します。
不足分は水道水を補充します。
ラジエーターサブタンク内には、予め標準濃度のクーラントを用意しMAXレベル迄補充します。
ラジエーターキャップを取り付けエンジンを始動します。
エンジン冷却水温が十分に暖まる迄待ちます。
この間に取り外した部位からエンジン冷却水の漏れ等の異常が無いかを点検します。
エンジン冷却水温が十分に暖まりましたら、エンジンを2000rpm~2500rpm位でレーシングし車内においてヒーターが十分に効いている事。
また水のジャブジャブ流れる音がしない事を確認します。
ヒーターの効きが悪い場合や、水のジャブジャブ流れる音がする場合には、ヒーターコア内部等にエアの混入が考えられますので、エンジンを3000rpm~4000rpm位に数度レーシングし、ヒーターが十分に効き、水のジャブジャブ流れる音がなくなる様にします。
最後に時間が有ればエンジン冷却水が有る程度冷えてから、時間が無い場合にはエンジン冷却水が高温高圧となっている為、十分に注意してラジエーターキャップを開け、エンジン冷却水が不足している場合には水道水を補充します。
また、ラジエーターサブタンク内部のエンジン冷却水の量も確認し、不足している場合には標準濃度のエンジンクーラントを補充します。
エンジン冷却水のクーラント濃度は使用する環境により大幅に変わりますので、環境・用途によりユーザー各自により設定して下さい。
今回、エンジン冷却水交換の作業を実行するに当たり、日産自動車が純正部品と並行販売していますPIT WORKブランドのロングライフクーラント(LLC)を使用させていただきました。
今回もPIT WORKブランド製品にお世話になりました
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