取材車両 HK11-026795
入庫日 2005年11月19日
走行距離 99153km
新品のスパークプラグを用意します
作業前のエンジンルーム全景
プラグキャップの上部をつかんで引き抜きます
今回は、ユーザーから定期点検整備を依頼され、スパークプラグの交換が必要になりましたので、作業内容を紹介して行きます。
まず、新品のスパークプラグを用意します。
今回は、ユーザーから標準のグリーンプラグを使用するとの意向を受けましたのでNGK BKR5EY-11を4本用意しました。
作業前のエンジンルーム内全景を見ます。
プラグコードで高電圧電流を供給する見慣れた方式のエンジンです。
プラグコードをエンジン側で引き抜きます。
この時、プラグキャップの上部を手で持ち引き抜く様にします。
プラグコードを持ちながら引き抜くと、プラグコードを断裂させるか、内部で損傷させてしまう可能性が高いですので避けましょう。
また、プラグコードは無理に捻ったり、無理に折り曲げたりすると、内部で損傷させてしまう可能性が高いので、これも避ける様にしましょう。
プラグコードをエンジン側で引き抜く際、カチッとした感じで抜ける事を確認します。
カチッとした感じが無く抜けて来た場合には、プラグターミナルと接続している電極(端子)が疲労、損傷している場合が有りますので、別途プラグコードの点検が必要になって来ます。
また、プラグキャップにエンジンオイルが付着している場合には、エンジンロッカーカバーのシールパッキンが摩耗、損傷している事が考えられますので、別途点検が必要になって来ます。
第1気筒から第4気筒迄、全てのプラグコードをエンジン側から引き抜きます。
全気筒プラグコードを抜きます
スパークプラグを交換します。
一度に全気筒のスパークプラグを外す事は避けて下さい。
まず第1気筒のプラグホール内をエアダスターで異物を取り除きます。
その後、プラグレンチ等を使用し第1気筒のスパークプラグのみを外します。
この時にプラグ穴のネジ部が硬かったり、引っ掛かり等の異常が無い事を確認します。
異常が認められた場合にはタップ等で修正する事が必要です。
そのまま間を置かず、新しいスパークプラグを挿入し、ラチェットハンドル等のハンドル工具を使用しないで、手でネジ部を最後迄締めます。
新しいスパークプラグのターミナル部が別成型の部品で、ねじ込まれているタイプの製品の場合、このターミナルをプライヤー等の工具を用いて締まり具合を確認し、必要で有れば増し締めを行います。
増し締めを行わないでスパークプラグを取り付けた場合には、ターミナル部が緩み、エンジン不調に繋がった事例も報告されています。
スパークプラグを挿入し、手でネジ部を最後迄締め終わりましたら、ラチェットハンドル等のハンドル工具を使用して、スパークプラグを規定トルクで締め付けます。
Φ14mmのスパークプラグネジ部の場合、
規定トルク 25〜30N・m(2.5〜3.0kg・m)
角度締め 新品の場合
約1/2〜2/3回転(180°〜240°)
再使用の場合
約1/12回転(30°)
再使用の場合には、コニカルワッシャーが押し潰されている為、角度締めの数値が下がります。
これで第1気筒のスパークプラグの交換が終わりました。
引き続き、同じ様に作業を行い第2気筒から第4気筒迄のスパークプラグを交換します。
今回は、取り外したスパークプラグと別途用意しました新品のスパークプラグを並べて比較しました。
プラス電極の摩耗により、着火性が若干悪くなっている様で、少しくすぶり気味に思います。
エアダスターでプラグホール内の異物を取り除きます
プラグキャップの亀裂、損傷、リーク痕、プラグターミナルと接続している電極(端子)の変形、焼損等を目視により点検します。
目視で異常が認められた場合には、テスター等で良否の点検を行い、必要で有れば交換します。
ハンドル工具を使用しないでネジ部を最後迄締めます
ハンドル工具を使用して規定トルクで締め付けます
取り外したスパークプラグ(左)と新品(右)
作業が完了しました
最後にプラグコードを元通りに取り付けて作業は完了となります。
この時、プラグコードの捻れ、絡み、引っ掛かり等無い様に注意する事も大切です。
スパークプラグを取り外す際、エアダスター等で異物を取り除かないで行った場合、異物がシリンダー内部に入り込み、エンジン運転時に傷をつけてしまう事が有りますので注意が必要です。
また異物がプラグ穴のネジ部に付着してしまい、新しいスパークプラグを装着する時にはネジを締め込んで行くだけですので締め付けられても、このスパークプラグを取り外す際にはネジを逆に回す事となる為、異物等が噛み込んでしまい、スパークパラグを取り外す際にネジ部を大きく損傷させてしまう事例も報告されています。
プラグ穴のネジ部を損傷させてしまった場合には、最悪の場合、シリンダーヘッドの交換等、大掛かりな修理が必要な場合も考えられますので、十分に注意しながら作業を実施して下さい。