取材車両 S14-104992
入庫日 2006年04月06日
走行距離 65208km
S14型車エンジンルーム全景
エンジン補機ベルトに亀裂が・・・!
新品の補機ベルトを用意しました
パワステベルトのアジャスターが見えています
パワステポンプの裏側からアジャスターを見ています
パワステポンプの支点となる取り付けボルト
まず、補機ベルトの内で一番外側に取り付けられているパワステポンプベルトを取り外します。
この作業は、エンジンルーム上部より行います。
パワステポンプ下側にベルトアジャスターが取り付けられていますので、まずベルトアジャスターのロックナットを緩めます。
続いてアジャスターボルトを一杯迄緩めます。
アジャスターボルトを緩め過ぎると、アジャスターボルトが抜けてしまい、元通りに取り付けるのは困難な場合が有りますので、後幾らアジャストボルトを緩められるのか?確認しながら作業を進める必要があります。
支点となるロックボルトを緩めます
ベルトアジャスターのロックナットを緩めます
ベルトアジャスターボルトを緩めます
パワステポンプの支点となる取り付けボルトを緩めます。
パワステポンププーリーに空いている穴からソケットレンチを挿入し緩めます。
以上の作業終了後にパワステベルトを手で引っ張れば、パワステポンプが支点となる取り付けボルトを基準に動き、パワステベルトが緩みますので取り外す事が可能となります。
なお、ベルトアジャスターロックナットは対角12m/m、ベルトアジャスターボルトは対角12m/m、支点となるロックボルトは対角14m/mとなっています。
エアコンコンプレッサーベルトのアジャスターボルトが見えています
アジャスターボルトを一杯まで緩めます
ファンベルトのアジャスターボルトが見えています
アジャスターボルトを緩めます
引き続きエンジンルーム上部から、エアコンコンプレッサーベルトのアジャスターボルトを一杯まで緩めておきます。
同じく、ファンベルトのベルトアジャスター ロックナットを緩め、アジャスターボルトを一杯まで緩めておきます。
なお、エアコンコンプレッサーベルトのアジャスターボルトの対角は14m/m、ファンベルトのアジャスターロックナット及びアジャスターボルトの対角は12m/mとなっています。
また、パワステベルトのアジャスターボルトと同じ様に、アジャスターボルトを緩め過ぎてしまうとアジャスターボルトが抜けてしまう事になりますので、目視等でアジャストボルトの緩める限度値が後幾ら残っているかを確認しながら慎重に行う必要があります。
抜けてしまった場合には、元通りに取り付ける事は出来ますが、手が入り難く目視がし難い場所となりますので作業は難しくなる可能性があります。
ここ迄の作業が終了しましたら、車両をリフトアップします。
リフトアップ後、エンジンアンダーカバーを取り外します。
これよりエンジン下側からの作業を行います。
車両をリフトアップします
エンジンアンダーカバーが外れました
下側からの作業を行います
エアコンコンプレッサーアジャストプーリーのロックナットを緩めます
オルタネーターの支点となるロックナットを緩めます
エアコンコンプレッサーベルトアジャストプーリーのロックナットを緩めます。
エアコンコンプレッサーベルトを手で引っ張る事により、エアコンコンプレッサーベルトが緩み、取り外す事が出来ます。
続いてオlタネーターの支点となる取り付けボルトを締め付けている取り付けナットを緩めます。
ファンベルトを手で引っ張る事により、ファンベルトが緩み、取り外す事が出来ます。
取り外した古いベルト
新品のベルト
交換が終了しました(エンジンルーム上部から)
予め取り寄せしておいた新品の補機ベルトのサイズが、取り外した古い補機ベルトのサイズと同一なのが確認出来ましたら、取り外した逆の順序で取り付けて行きます。
ベルトの張り具合の調整は整備要領書に記載されていますが、今一つ解り難いです。
張り具合が弱ければ、エンジン運転時・・・、特にアクセルON時にスリップを起こし、大きなスリップ音を発生します。
また張り具合が強過ぎると、オルタネーター、エアコンコンプレッサー、テンショナープーリー、パワステポンプ等の軸受けベアリングが損傷してしまう恐れが有ります。
簡単に言葉で言ってしまえば、エンジンをスロットル全開にした時にベルトがスリップしない範囲で出来るだけ張り具合が弱い事が望ましいと言えます。
ただ、現在エンジン補機ベルトに使用されていますVリブドベルト(ポリVベルト)は、ドライブ及びドリブンプーリーと駆動ベルトの間の密着度合いを高めて伝達効率を上げる為に張り具合がかなり強目となっています。
プーリー間のスパン中央を指で押しても、ベルトの張り具合を確認すると言うよりは、指で押しても一切遊びが無くパンパンに突っ張った状態となっているかを確認する様な感じさえ覚えてしまいます。
前述しましたが、整備要領書に記載されていますベルトの張り具合を示す数値では、プーリー間のスパン中央で測定した場合でも、ベルトの遊びがほとんど無くパンパンに突っ張った状態で正規の状態とされています。
これはベルト張力計を用いて、ベルトの張り具合を正確に測定しながら行った結果であって、思い込みによる過度の強さであってはなりません。
この為、ベルト張力計が手元に無い場合には、エンジンをスロットル全開にした時にベルトがスリップしない出来るだけ張り具合が弱い位置で調整する事が大切になって来ます。
しかし、整備要領書に記載されている正規のベルト張り具合では、本当にこれ位張っても大丈夫なの?って位強く張ります事も重ねて申し述べておきます。
かなり強くベルトの張り具合を調整しますが、エンジン補機に使用されていますベアリングを労わる様な配慮を行う事が大切なのかも知れません・・・。
また、新品のベルトを取り付けた場合、エンジンの運転状態に慣れた頃にベルトは一定量伸びてしまいます。
これを踏まえて、エンジン補機ベルトを新品に交換後 約500km走行後には再度 ベルトの張り具合を点検する必要が有ります。
音波式ベルト張力計
整備要領書に掲載されています正規のエンジン補ベルトの張り具合を測定する計測器として、アルティア橋本から音波式ベルト張力計が発売されています。
自動車整備業界でも、この様な計測器を使用しながらエンジン補機ベルトの張り具合を確認する事はほとんどありません。
ほとんどの場合には、自動車整備士感覚によってエンジン補機ベルトの張り具合は確認されていますが、あやふやな感覚では無く、理論に乗っ取った感覚で確認する事を推奨いたします。
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