触媒交換 (HP10)

取材車両 HP10-316010
入庫日   2007年03月12日
走行距離 165533km

現車に取り付けられている触媒

ホールプラグが外れています

ヒートシールドプレート取り付けボルトが外れています

ユーザーからの依頼は、現在車両に取り付けられている外品メーカーが製造した触媒を取り外し、純正の触媒を取り付けたいというもの。

車両を確認させていただくと、確かに外品メーカーが製造した触媒に交換されています。

加えて、触媒に取り付けられている排気温センサーから伸びるコードに取り付けられているホールプラグが、ボディーから外れたままとなっており、更に触媒上部のヒートシールドプレートを取り付けているボルトが1本脱落している事が判明しました。

中古品の純正部品の触媒を用意していただきました

新品のガスケット 2枚を用意しました

排気温センサーを取り外します

ブレーキパイプレンチ

ルーセンをスプレーし、回します・・・

バイスグリップでも回してみます

バーナーの炎で炙ります

赤熱してきました

真っ赤です

バイスグリップで回します

排気温センサーが外れました

新たに取り付ける純正の触媒は、ユーザーが用意していただいた中古品を使用します。

触媒を交換するに当たり、触媒フロント側、リヤ側のガスケットを交換する必要がある事から、新品のガスケットを用意しました。

ユーザーに用意していただいた中古品の触媒が、当該車両に新車時に装着されているものと同一品かを確認します。

また目視、エアブロー等をして触媒の内部に詰まり、損傷等が無い事も点検しておきます。

触媒の交換作業に入ります。

まずは、触媒に取り付けられている排気温センサーを取り外します。

取り外す工具として、ブレーキパイプレンチを用意しました。

触媒の排気温センサーが挿入されている部分にルーセン等を噴き付け、浸透を待ってからブレーキパイプレンチで排気温センサーの取り付けチューブボルトを緩めて行きます。

・・・、全然、緩みません。

バイスグリップでも試しましたが、全然緩む気配すらありません。

先程 吹き付けましたルーセンを、ブレーキ&パーツクリーナー等で清掃し、油脂類が付着していない状態にします。

ブレーキ&パーツクリーナーも完全に気化し、周囲に気化ガスが残留していない事を確認します。

ガス溶接機を用意し、バーナーの炎で触媒の排気温センサー取り付け部を炙ります。

触媒の排気温センサー取り付け部が赤熱し、真っ赤になるまで過熱します。

バーナーの炎を消し、バイスグリップで排気温センサーを取り付けているチューブボルトを緩めます。

今度は簡単に緩める事が出来ました。

排気温センサーは回らず、取り付けチューブボルトのみが回る場合には、このまま取り付けチューブボルトを回し、排気温センサーを取り外します。

排気温センサーと取り付けチューブボルトが一体となって回ってしまい、排気温センサーから伸びているコードが捻れてくる場合には、一旦 バーナーで加熱した部位が、手で接触出来る位の温度まで下げます。

温度が下がりましたら、触媒の排気温センサー取り付け部に再びルーセン等を噴き付け、排気温センサーをプライヤー等で保持し、取り付けチューブボルトをパイプレンチ等で回し、排気温センサーを取り外します。

触媒リヤ側より取り外します

取り外したボルトとガスケット

リヤ側が外れました

続いてフロント側を取り外します

取り外したボルトとガスケット

取り外した外品メーカーの触媒

触媒本体の取り外し作業に入ります。

まずは、触媒のリヤ側より取り外します。

ボルト&ナットを取り外し、触媒とリヤエキゾーストチューブを分離します。

触媒リヤ側に取り付けられているガスケットを抜き取ります。

排気漏れを起こしていたのでしょうか?

マフラーコーキング剤が多量に塗られていました。

続いて、触媒のフロント側の取り外し作業に入ります。

ボルト&ナットを取り外し、触媒とフロントエキゾーストチューブを分離します。

触媒が外れました。

触媒フロント側に取り付けられているガスケットを抜き取ります。

Fr.tyu-bu

Fr.チューブのリヤフランジ部

リヤチューブのフロントフランジ部

ホールプラグが外れたままとなっています

ホールプラグを正規に取り付けました

欠落していたボルトも取り付けました

排気温センサーから伸びているコードを車内の通す箇所に取り付けられているホールプラグがフロアパネルから外れたままとなっている為、正規な取り付け状態となるように取付を行いました。

また触媒上部のヒートシールドプレートの取り付けボルト 1本が脱落していますので、取り付けボルトを挿入し締め付けておきます。

異物が多く付着しています

ベルトサンダーで大きな異物を取り除き・・・

ワイヤーリューターで仕上げます

綺麗に仕上がりました

Fr.チューブ側も綺麗に仕上げておきます

これから中古品の純正の触媒の取り付け作業に入りますが、その前に・・・。

リヤエキゾーストチューブのフロント側の触媒取り付け部に当たるフランジが、ガスケットかす、マフラーコーキング剤等の異物が多く付着しています。

この異物をベルトサンダーで大まかに清掃し、更にワイヤーリューターで綺麗に仕上げておきます。

またフロントエキゾーストチューブのリヤ側の触媒取り付け部に当たるフランジも、同じ様に清掃し、綺麗に仕上げておきます。

この様に綺麗に仕上げた上で触媒を取り付けないと、新しいガスケットを取り付けた場合にでも排気漏れを起こす可能性があります。

用意した中古品の純正の触媒

ヒートシールドプレートを取り外します

排気温センサーを取り外します

フランジ部等を清掃し綺麗に仕上げておきます

用意した中古品の純正の触媒を取り付けて行きます。

この触媒に取り付けられているヒートシールドプレートを一旦取り外します。

この触媒に取り付けられている排気温センサーを取り外します。

この触媒も取り付け部のフランジを清掃し綺麗に仕上げておく必要があります。

また触媒のフランジの取り付けられているボルトのダイスを通し、反対側のフランジに切られているネジにタップを立てておきます。

Fr.側にガスケットを挿入し取り付けます

Fr.側を仮止めしました

Rr.側の取り付けに入ります

ガスケットとボルトを挿入しました

Rr.側を本締めしました

続いてFr.側も本締めしました

排気温センサーを取り付けます

ヒートシールドプレートを取り付けました

完成です

用意した中古品の純正の触媒の取り付け作業に入ります。

触媒のフロント側に取り付けられているスタッドボルトにガスケットを挿入し、フロントエキゾーストチューブリヤフランジに取り付けます。

平ワッシャー、ナットを取り付け仮締めします。

続いて触媒のリヤ側とリヤエキゾーストチューブフロントフランジにガスケットを挟み、ボルト、平ワッシャーを取り付け仮締めします。

触媒のフロント側に取り付けた2個のナット、リヤ側に取り付けた2個のボルトを均等に締め付けながら、本締めは触媒のリヤ側に取り付けた2個のボルトから行います。

触媒本体の取り付けが終わりましたら、触媒に排気温センサーを取り付けます。

排気温センサーから伸びているコードに捻れ、突っ張り等が無い事を確認しながら、取り付け用チューブボルトを締め付けます。

触媒本体に、先程 一旦 取り外しておりましたヒートシールドプレートを取り付けます。

今回取り外した箇所を再確認し、確実に触媒等が取り付けられている事を確認します。

エンジンを始動し、排気ガスの漏れ、異音の有無等を確認します。

排気ガステスター(CO・HCアナライザー、5ガステスター等)で排気ガスの濃度を測定し、排気ガスが触媒で確実に浄化されている事を確認します。

触媒の交換作業は、取り付けボルト、ナット等がエンジンから排出される排気ガスの熱によって熱せられ、大きく酸化しています。

車両によっては、この取り付けボルト、ナット等が焼き付きを起こしている場合もあり、容易に緩める事が出来ないのが事実です。

ルーセン等を吹き付ければ、比較的容易に緩み出しますが、今回の様にガス溶接機、またはトーチガスの炎を使って赤熱させ緩める方法をよく使用します。

炎を使って作業を行う場合、先に吹き付けたルーセン等が残っていると、引火し燃え出す事があります。

またブレーキ&パーツクリーナー等を使用し、吹き付けたルーセン等を清掃した場合、このブレーキ&パーツクリーナーの成分、及びその気化した残留ガスが残っている場合、炎を近付けた際には引火、爆発を起こす危険性があります。

今回の作業で使用しましたガス溶接機は、専門の免許等の資格が必要です。

触媒、その他 エキゾーストチューブ等の取り付けに不具合があると、排気漏れを起こし、排気ガスが車内に侵入し車内に乗っている人に重大な障害を及ぼす事があります。

また、排気ガスが漏れる事により、同時に排気ガスの熱も逃げる事から、車体に取り付けられている部品を損傷させたり、車両が火災を起こす可能性があります。

触媒は、今回の様に中古品で交換する事も可能ですが、浄化能力が設計通りの性能であるものの使用に限ってください。

また、触媒の容量も、排気ガスの浄化性能に影響する事から、同様の排気量以上の原動機を搭載する車両に使用されている触媒を使用するようにします。

浄化性能の低下した触媒や、当該車両に搭載されている原動機の排気量よりも、小さい排気量を持つ原動機を搭載されている車両に取り付けられている触媒を当該車両に取り付けた場合、道路運送車両法の保安基準に抵触する事から注意が必要です。

地球を取り巻く環境の為にも、浄化能力が確実な触媒を、確実に取り付けておく必要がある事も事実です。