取材車両 RHNB14-701486
入庫日 2007年12月09日
走行距離 62918km
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RHNB14型車 エンジンルーム全景
エンジンクーラントが漏れた形跡が・・・
エンジンクーラントが漏れた形跡が、こちら側にも・・・
エンジンルーム付近から異臭がすると言う”NISSAN RASHEEN (RHNB14型車)”が入庫して来ました。
車両に近付くと、確かに何かが焼けた様な異臭が・・・。
エンジン冷却水が漏れている様です。
早速、エンジンフードを開け、エンジンルーム内を点検する事になりました。
エンジンルーム内を点検すると、ラジエーター上部から・・・、ラジエーターアッパータンクとラジエーターコアの接合部付近からエンジンクーラントが漏れているのが確認出来ました。
リフトアップし、車両の下側から点検します
エンジンクーラントが飛び散って付着しています
エンジンアンダーカバーを取り外します
取り外したエンジンアンダーカバー
エンジンアンダーカバーが外れたエンジン下部
車両をリフトアップし、車両の下側からラジエータークーラントの漏れを点検します。
エンジンクーラントが飛び散り、至る所に付着しています。
エンジンアンダーカバーを取り外し、エンジンクーラントが漏れている箇所の特定を行います。
エンジン下部にも多くのエンジンクーラントが付着していますが、どうやらエンジンルーム上部側から点検した時に確認したラジエーター上部から・・・、ラジエーターアッパータンクとラジエーターコアの接合部付近からエンジンクーラントが漏れていると特定しました。
ラジエーターキャップを外し、圧力を抜きます
ラジエーター下部にあるドレーンプラグ
#2プラスドライバーを使用し、ドレーンプラグを取り外します
取り外したドレーンプラグ&パッキン
エンジンクーラントを抜き取ります
エンジンクーラントがラジエーターアッパータンクとラジエーターコアの接合部付近から漏れている為、エンジン冷却系統内には圧力は掛かっていないものと思われますが、念の為にエンジンクーラントの噴出等に注意しながらラジエーターキャップを取り外し、エンジン冷却系統内に圧力が掛かっていない事を確認し、圧力が掛かっている場合にはこの圧力を抜いておきます。
エンジン冷却系統内の圧力が抜けているのが確認出来ましたら、再びラジエーターキャップを取り付けます。
ラジエーター下部に取り付けられているラジエータードレーンプラグを#2プラスドライバーを使用しドレーンパッキンと共に取り外します。
ラジエーターキャップが取り付けられている為、ラジエータードレーンプラグを取り外しても、ラジエーターのラジエータードレーンプラグ取り付け穴からはラジエータークーラントは少しずつしか抜けて来ませんが、ラジエーターキャップを外すと、このラジエーターのラジエータードレーンプラグ取り付け穴からエンジンクーラントが勢いよく出て来ます。
この状態のまま暫く放置し、ラジエーターのラジエータードレーンプラグ取り付け穴からエンジンクーラントが全量抜け出るのを待ちます。
ラジエータークーラントには、エチレングリコール等の有害物質が含まれますので、環境保全の観点からも必ず全量を回収し適切な処理を行う様にします。
ラジエーターキャップを外しました
ATFクーラーホースを外します
クランプの爪を、をプライヤー等で挟み・・・
移動させておきます
ATFクーラーホースが外れました
もう一方のATFクーラーホースも外します
もう一方のATFクーラーホースも外れました
ラジエーターロアホースを外します
ホースバンドを締め付けているボルトを緩め・・・
ラジエーターロアホースが外れました
ラジエーターアッパーホースを外します
ラジエーターアッパーホースが外れました
取り外したラジエーターアッパーホース
車両をリフトアップしたままの状態で、オートマチックトランスミッション(オートマチックトランスファー)を作動させるATF(Automatic Transmission
Fruid)を冷却する為にラジエーターロアタンクに内蔵されている、ATFクーラーに接続されているATFクーラーホース 2本を、ラジエーターロアタンク側のクランプをプライヤー等を使用し、位置を移動させてから外しておきます。
この時にはATFが出て来ますので、外したATFクーラーホースのラジエーターロアタンク接続部、及びラジエーターロアタンクのATFクーラーホース接続部に、ATFが垂れ出て来ない様に目盲栓等を施しておく必要があります。
ラジエーターロアホースを、ラジエーターロアタンク側のクランプを締め付けているボルトを緩め、外します。
ラジエーターロアホースは、エンジン側に取り付けられている側は取り付けられたままの状態としておきます。
リフトを降ろし、これからの作業は車両のエンジンルーム上側から行います。
ラジエーターアッパーホースを、エンジン側、ラジエーターアッパーホース側 両方のクランプを締め付けているボルトを緩め、完全に取り外します。
エンジン側のメイン電動ファンに接続されている・・・
コネクターを外します
コネクターを外します
コンデンサー側のサブ電動ファンに接続されている・・・
サクションホースを・・・
クランプを移動し、外します
ラジエーターアッパータンクに設けられている、ラジエーターネック部に接続されているサクションホースを、クランプをプライヤー等で挟み、緩めながら移動させてから外します。
ラジエーターに取り付けられているエンジン側のメイン電動ファン、コンデンサー側のサブ電動ファンにそれぞれ接続されているコネクターを外します。
コンデンサー側のサブ電動ファンのシュラウド下部に設けられているクランプに嵌め込まれているATFクーラーホースを外しておきます。
クランプに嵌め込まれているATFクーラーホースを・・・
外しておきます
ラジエーター上部を固定しているアッパーマウントを取り外します
6mm(頭部 8mm)のナットを取り外します
アッパーマウントが車体から外れました
エアコン低圧配管にせ接続されているクランプを外しました
取り外したアッパーマウントとボルト、ナット
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エアコン高圧配管、低圧配管を結んでいるクランプを外します
ラジエーターアッパーマウントを車体に固定している6mm(頭部対角 8mm)のナット 2個を取り外します。
エンジンルームに対向して左側(助手席側)のラジエーターアッパーマウントには、エアコン低圧配管がクランプを介して取り付けられていますので、このクランプをラジエーターアッパーマウントに固定している6mm(頭部対角 8mm)のボルト1本を取り外しておきます。
ラジエーターを車両に対し、少しリヤ側に倒す様にすると、ラジエーターアッパーマウントの頂部が見えて来ますので、ラジエーターアッパーマウントの上側に持ち上げる様にスライドさせラジエーターアッパータンクから取り外します。
エアコン高圧配管とエアコン低圧配管を結んでいるクランプを外しておきます。
エアコン低圧配管をかわしながら・・・
ラジエーターを取り外しました
ロアタンク上部には漏れたクーラントが溜まっていた形跡が・・・
ロアマウントが車体側に残っている事を確認します
ラジエーターには2個の電動ファンが取り付けられたままです
エンジン側メイン電動ファンの取り付けボルト 2本を取り外します
コンゼンサー側サブ電動ファンの取り付けボルト 2本を取り外します
2個の電動ファンの下側の取り付けは、差し込まれているだけです
2個の電動ファンを取り外したラジエーター
取り外した電動ファン(右側がメイン)
エアコン低圧配管を、変形等させない様に注意しながら少し手でかわしながら、ラジエーターを上側へ持ち上げ、エンジンルームから取り出します。
エンジン側のメイン電動ファン、コンデンサー側のサブ電動ファンが取り付けられているままの状態でラジエーターを車両から取り外しました。
これから、ラジエーターに取り付けられているエンジン側のメイン電動ファン、コンデンサー側のサブ電動ファンを取り外します。
エンジン側のメイン電動ファン、コンデンサー側のサブ電動ファン共にラジエーターアッパータンクに頭部対角が10mmの鉄板ビスで取り付けられています。
それぞれこの頭部対角が10mmの鉄板ビスを取り外し、電動ファンをラジエーターに対して上側(ラジエーターアッパータンク側)にスライドさせ、エンジン側のメイン電動ファン、コンデンサー側のサブ電動ファン共にラジエーターロアタンクに設けられている電動ファン取り付けブラケット部に挿入されている突起部を、ラジエーターロアタンクに設けられている電動ファン取り付けブラケット部から抜きます。
ラジエーターから、電動ファンの取り外しが完了しました。
ラジエーターロアホースを取り外します
エンジン側に取り付けたままとなっているラジエーターロアホース
ラジエーターロアホースが外れました
取り外したラジエーターロアホース
ラジエーターホース取り付け部に付着した異物
異物を綺麗に取り除きました
車体に残っているラジエーターロアマウントを外します
ラジエーターロアマウントを目視等により点検します
ラジエーターロアマウントを車体に取り付けました
修理を終えたラジエーター(エンジン側)
修理を終えたラジエーター(コンデンサー側)
コンデンサー側には隙間テープを貼り付けておきます
クーラントが漏れる原因となったアッパータンク
割れています
エンジン側に取り付けられているラジエーターロアホースを取り外します。 ラジエーターアッパーホース、ラジエーターロアホースが取り付けられているエンジンのウォータージャケットチューブには、異物がこびり付いています。
この異物をスクレーパー、耐水ペーパー、バフ等で綺麗に取り除いておきます。
車体に嵌め込まれているラジエーターロアマウントを一旦取り外し、目視等で変形、損傷等が無い事を確認します。 変形、損傷等があれば、新品の部品を手配し交換します。
取り外したラジエーターロアマウントを車体に取り付けます。
今回は、クーラントが漏れる原因となったラジエーターは、ラジエーター修理業者に依頼し、補修を行っていただきました。
クーラントが漏れる直接の原因となったラジエーターアッパータンクは割れており、新品の部品に交換していただいています。
ラジエーター内部、ATFクーラー内部を洗浄。 ラジエータコア部の異物も洗浄し、綺麗にしていただきました。
ラジエーターのコンデンサー取り付け側の両サイドには、冷却効率を高める為に隙間テープを貼り付け仕上げています。
ラジエーターに電動ファンを取り付けます
電動ファン下側の突起をロアタンクのBkt.に挿入します
電動ファン上側を鉄板ビスでアッパータンクに取り付けます
ラジエーターに電動ファンを取り付けました
ロアタンク下側の突起を・・・
車両に取り付けているラジエーターロアマウントに挿入します
左右2箇所共に挿入します
車両にラジエーターが納まりました
アッパータンクのアッパーマウント取り付け部が見えています
アッパーマウントをウッパータンクに取り付けました
左右2箇所共に取り付けます
車体にアッパーマウントをボルトで固定します
アッパーマウントが車両に固定出来ました
エアコン低圧配管Bkt.をアッパーマウントに取り付けます
エアコン高圧配管、低圧配管をクランプで結合させます
メイン電動ファンにコネクターを接続します
サブ電動ファンにコネクターを接続します
アッパータンクネック部に・・・
サクションホースを接続します
ラジエーターにエンジン側のメイン電動ファン、コンデンサー側のサブ電動ファンを、取り外した逆の順序により取り付けます。
この時には、電動ファンのシュラウドが、ラジエーターコアに直接干渉していない事を確認しておく必要があります。
電動ファンの取り付けが終わったラジエーターを車両に挿入します。
車両に取り付けられているラジエーターロアマウントに、ラジエーターロアタンク下側の突起を、左右均等に奥まで挿入します。
ラジエーターアッパータンクにラジエーターアッパーマウントを取り付けます。
ラジエーターアッパーマウントを、車体にボルトで固定します。
コンデンサー側のサブ電動ファン上部のラジエーターアッパーマウントに、エアコン低圧配管取り付けブラケットをボルトで固定します。
エアコン高圧配管、低圧配管をクランプで平行となる様に固定します。
エンジン側のメイン電動ファン、コンデンサー側のサブ電動ファン共にコネクターを接続します。
この時には、コネクター内部に挿入されている防水ラバーが脱落、変形、損傷等指定無い事を予め確認しておく事が必要です。
ラジエーターアッパータンクのネック部に設けられているサクションホース取り付け部にサクションホースを接続し、ホースクランプで固定しておきます。
ホース内部に劣化が見受けられます
ラジエーターアッパーホ−ス (左:取り外した物古、右:新品)
ラジエーターロアホ−ス (左:取り外した物、右:新品)
ラジエーターアッパーホースを取り付けました
ラジエーターロアホースを取り付けました (エンジン側)
ラジエーターロアホースを取り付けました (ラジエーター側)
ATFクーラーホースを取り付けます (運転席側)
電動ファンシュラウド下部に設けられているクランプに・・・
ATFクーラーホース(運転席側)を嵌め込みます
ATFクーラーホースを取り付けます (助手席側)
ラジエータードレーンプラグP/K (左:取り外した物、右:新品)
ドレーンプラグに新品のP/Kを取り付けます
ラジエーターロアタンクのドレーンプラグ取り付け部に・・・
ドレーンプラグを取り付けます
サーモスタットケース上部に設けられたエア抜き用プラグ
30%濃度のクーラントを注入します
ラジエーターキャップを締めました
エンジンアンダーカバーを取り付けました
アンダーカバーとサイドカバー結合部のクリップが脱落していました
日産純正部品でクリップを用意し・・・
クリップが脱落している箇所に・・・
クリップを取り付け結合させました
取り外しておりましたラジエーターアッパーホース、ラジエーターロアホースは、内部にクラックが入る等の劣化が見受けられましたので、新品と交換する事にしました。
手配した新品の部品が、取り外した部品と同様の形状である事を確認します。
ホースバンドに腐食、変形等がある場合には、ホースバンドも交換する必要があります。
今回の作業では、ホースバンドは再使用しています。
ラジエーターアッパーホース、ラジエーターロアホースをそせぞれラジエーターアッパータンク、ラジエーターロアタンクに取り付けます。
ホースバンドを少し大袈裟に緩めておき、ホースバンドに通しておきます。
ラジエーターアッパーホース、ラジエーターロアホースのエンジン側挿入部、ラジエーター側挿入部にワセリン等を薄く塗布し、エンジン側ラジエーターホース取り付け部、ラジエーターアッパータンク、ラジエーターロアタンクのラジエーターホース取り付け部の、突起が設けてあるストッパー部まで挿入します。
ホースバンドを締め付け、ラジエーターホースを締め付け固定します。
ラジエーターロアタンクに設けられているATFクーラーの、ATF In側、Out側チューブにATFクーラーホースを接続します。
ATFクーラーホースは再使用する為、ホースバンド取り付け部にはホースバンドが取り付けられていた跡が付いています。
このホースバンドの跡と一致させず、少しだけずらした位置にホースバンドを取り付けました。
エンジン側(運転席側)のATFクーラーホースは、エンジン側のメイン電動ファン下側に設けられているクランプに確実に挿入し固定します。
ラジエーターロアタンクに取り付ける、ラジエータードレーンプラグに取り付けられているパッキンを新品に交換します。
このパッキンにも少し量ののワセリン等を塗布しておきます。
ラジエータードレーンプラグをラジエーターロアタンクのドレーンプラグ取り付け部に、No.2 プラスドライバーを使用し取り付けます。
今回の作業で取り外したラジエーターアッパーホース、ラジエーターロアホース、ヒーターホース、及びその他のホース接続部等からクーラントが漏れていない事を確認します。
今回の作業で取り外したATFクーラーホース接続部等からATFが漏れていない事を確認します。
エンジンアンダーカバーを取り付けます。
エンジンアンダーカバーとエンジンサイドカバーを結合させているクリップが、今回の作業を行う前から脱落していましたので、日産純正部品で用意し取り付けました。
今回の作業では、ラジエーターの修理をラジエーター修理業者に委託しリビルトラジエーターにしていただきました。
新品のラジエーターを使用する事を選択した場合にも、作業手順はほぼ同様です。
今回の作業では、車両に使用されておりますエンジンのウォータージャケットを形成するウォ−ターホースの内、ラジエーターアッパーホース、ラジエーターロアホースのみを交換しておりますが、必要に応じて他のヒーターホース、バイパスホース等も交換する事を推奨いたします。
クーラントが漏れていましたラジエーターを修理し、ラジエーターアッパーホース、ラジエーターロアホースを交換する事によって、交換していないウォーターホース等から新たなクーラント漏れが発生する事が予想されます。
この為にも、今回の様な作業終了後には、念の為に新たなクーラント漏れが発生していないかを適宜 点検し確認するとこが必要です。
ラジエーターロアタンクに設けられておりますATFクーラーは、必要に応じて洗浄しておく事を推奨いたします。
ATFクーラーホースは、劣化、内部に損傷等がある場合には、新品に交換する事を推奨いたします。
エンジンの暖機が完了すると、ラジエーターに取り付けられているエンジン側のメイン電動ファンが正常に回転する事を確認します。
エアコン作動時(エアコンコンプレッサー作動時)に、ラジエーターに取り付けられているコンデンサー側のサブ電動ファンが正常に回転する事を確認します。
作業終了後に試運転を行い、ウォータージャケット内でもエア噛みが発生し易いヒーターコア内部にも充分にクーラントが流れ込む様にします。
ヒーターをMax.Hot.で作動させ、エンジン回転数を2500rpm以上に上昇させた時、ジャブジャブと水の流れる音が発生する様ならば、ヒーター内部でエア噛みを起こしていますので、クーラントが冷えた後、もしくは熱湯に注意しながらラジエーターキャップを開け、必要ならばエンジンのサーモスタットケースに設けられているエア抜き用プラグを取り外し、ラジエーターアッパータンクのネック部から30%濃度のクーラントを注入します。
ラジエーターキャップを取り付け、再度ヒーター内のエアを完全に抜く様に試運転、エンジンをレーシングします。
ラジエーターサブタンク内のクーラントレベルが下がっている様であれば、Max.レベルまで30%濃度のクーラントを注入します。
試運転実施後、取り外したラジエーターアッパーホース、ラジエーターロアホース、ヒーターホース等からクーラントが漏れていない事を再確認します。
同じく、取り外したATFクーラーホース等からATFが漏れていない事を再確認します。
上記のクーラントATFの漏れの再確認は、必要であればエンジンアンダーカバー等を取り外し行います。
最後に、今回作業を行った際に取り外したボルト、ナット、及びホース、ホースバンド等が確実に組み付けられている事も再確認しておく事が必要です。
比較的簡単に行える作業ですが、熱くなったエンジン、クーラントで火傷等の負傷を負う可能性がありまので、充分に注意しながら作業を行う必要があります。
クーラント(L.L.C.)、ATF内には有害物質が含まれています。
垂れ流したり、溢したりすると地球環境の為にも悪影響となる場合があります。
従って適切な処分が出来る施設等の持ち込み、適切な処理を行う様に務める必要があります。