オルタネーター交換

取材車両 W30-208684
入庫日   2009年08月31日
走行距離 158204km

車両をリフトアップし、車両下側で取り外しておりました部品を取り付けて行きます。

エンジンアンダーカバー リヤ側を取り付けます。

車両をリフトダウンし、エンジンルームの上側からの作業を行います。

ハーネスブラケットをオルタネーターリヤケース エンド部に、取り付けボルト2本で取り付けます。

この時、ハーネス等が捩れたり被覆等が損傷等しないように注意する事が必要です。

オルタネーターリヤケース サイド側に設けられたL・S端子接続部に、L・S端子カプラーを挿入し、固定爪で固定します。

この時、L・Sカプラーの固定爪を損傷してしまわない様に注意する事が必要です。

「ヘッドラートを点灯し、高速道路(自動車専用道路)を走行していると、左右同時にヘッドライトが一瞬 急に明るくなったかと思ったら、次の瞬間にはヘッドランプが消灯してしまった。  どうやらヘッドライト球が切れてしまったようだ。」

このような整備依頼が寄せられ、入庫していただきました。

早速、現車を確認する事にします。

ヘッドライト ディマー球は、ユーザーが訴えられている通に球切れの状態となっていました。

エンジンを始動し、バッテリー端子電圧を測定してみる事にします。

サーキットテスターを使用し、バッテリーターミナル間の電圧を測定・・・、

エンジンをアイドリング状態から徐々に回転数を上げて行くと、17.0Vを越える電圧が発生していました。

オルタネーターのボルテージレギュレーターが故障し、通常は約14.0Vの一定電圧を発電しているオルタネーターが、過大な電圧を車両に供給している状態となっている事が判明しました。

ヘッドライトの球が、左右同時に一瞬 急に明るく光り出し、次の瞬間にはヘッドライト球が球切れとなった原因は、オルタネーターにあったようです。

ヘッドライトの球以外に、車両の各部位に影響が出ていないかを点検・確認する必要がありそうです。

まず、現状で故障が確認されているオルタネーターを交換する事になりました。



これより、オルタネーターの交換作業に取り掛かります。
車両のフロントフードを開け、バッテリー マイナス端子を外します。
まず、

以上で、全ての作業は完了となりますが、分解した部位の再点検を確実に行う事にします。

オルタネーターの作動が正常となったのを確認した後、再度取り付け具合・締め付け具合、オルタネーターベルトの張り具合等を再確認します。

これより、ドライバーズシート周辺の取り外しておりました部品を取り付けて行きます。

ドライバーズシート アンダーパネルを取り付けます。

ドライバーズシート周辺のカーペットを敷きます。

ドライバーズシートを取り付けます。

ドライバーズシートのスライドが確実に行える様に調整し、固定します。

ドライバーズシート アンダーパネルを取り付けました

ドライバーズシート周辺の組み付けを開始します

エンジンアンダーカバー リヤ側を取り付けます

バッテリーを新品に交換しました。

エンジンを始動し、バッテリー端子間電圧(オルタネーター発生電圧)をサーキットテスターを使用し確認します。

アイドリングから高回転域までレーシングしても、約14.0Vを示しています。

これで正常な状態に戻った訳ですね。

オルタネーターの交換、配線の接続等が終了しました。

当該車両に取り付けられておりますバッテリーをサーキットテスターを使用し点検した結果、端子間電圧が10.5Vとなっていました。

バッテリーテスターで点検した結果でも、要交換が示されていました。

この結果を受け、別途バッテリーを用意し、交換する事になりました。

クランクプーリー、オルタネータープーリーに、オルタネーターを取り付けます。

クランププーリーの溝、オルタネーターの溝、オルタネーターベルトの溝がそれぞれ確実に嵌まり込んでいる事を確認し、オルタネーターベルトの張り具合を規定値となるようにアジャスターボルトを回しながら調整します。

オルタネーターベルトの張り具合が規定値となりましたら、オルタネーターベルト アジャスターボルトのロックナットを締め付け、オルタネーターベルト アジャスターボルトを固定します。

オルタネーターの支点側固定ボルトも締め付けます。

以上で、オルタネーター本体の取り付け作業は終了です。

車両下側より、オルタネーターのB端子を接続します。

B端子ハーネスを取り付けナットで締め付け、保護用ゴムカバーを被せます。

B端子ハーネスをオルタネーターのB端子に接続する際、取り付けナットを規定値以上の大きなトルクで締め付けた場合には、オルタネーターのB端子をオルタネーターケースから絶縁するように取り付けられている樹脂製の碍子を破損・損傷等してしまう可能性があります。

B端子を取り付けます

B端子を取り付け、保護カバーを被せました

エンジンルーム上側からの作業を開始します

ハーネスBkt.を固定しました

ハーネスBkt.を固定します

L・S端子カプラーを差し込み固定しました

L・S端子カプラーを差し込み固定します

新品のバッテリーも用意しました

バッテリーを交換しました

バッテリーも一緒に交換する事になりました

取り外した時と逆の手順で、新品のオルタネーターを車両に取り付けて行きます。

エンジンルーム内の他の部品等を損傷等させないように注意しながらオルタネーターをエンジンルーム内の取り付け部位へと挿入します。

オルタネーターベルト アジャスターのアジャスターボルト、オルタネーター 支点側固定ボルトを挿入し、オルタネーターの仮取り付けを行います。

この時、オルタネーターベルト アジャスターのアジャスターナットの向きに注意しながらオルタネーターベルト アジャスターのアジャスターボルトを挿入する事が必要です。

取り外したオルタネーターと、用意しました新品のオルタネーターを並べて比較し、互換性を確認します。

取り外したオルタネーターが日立製作所製(日産純正部品番号 23100-6C900)、新品のオルタネーターは三菱電機製(日産純正部品番号 23100-5C010)でした。

両製品共にNISSAN LARGO(W30型)には装着が可能で、互換性がある事も確認が出来ました。

オルタネーターを手で支えながら、オルタネーターベルト アジャスターロックボルト、オルタネーター 支点側固定ボルトを取り外します。

エンジンルーム内の他の部品等を損傷等させないように注意しながら、オルタネーターをエンジンルームから取り出します。

オルタネーター本体を取り外します

取り外した日立製作所製オルタネーター

取り外した日立製作所製オルタネーター

新品の三菱電機製オルタネーター

新品の三菱電機製オルタネーター

取り外した物(左側 ) : 新品(新品)

エンジンアンダーカバー リヤ側が外れました。

オルタネーターベルト アジャスターロックボルトを緩め、オルタネーターベルト アジャスターを緩めます。

この時、オルタネーターベルト アジャスターのアジャスターボルトを緩め過ぎ、アジャスターボルトがアジャスターナットから外れてしまわない様に注意する事が必要です。

オルタネーター 支点側固定ボルトを緩め、オルタネーターをエンジンのシリンダーブロック側へと移動させます。

オルタネーターベルトが緩み、オルタネーターのプーリーよりオルタネーターベルトが外れました。

オルタネーター ベルトアジャスター、支点側固定ボルトを緩め、オルタネーターベルトの取り外しを行います。

この作業は、車両下側より行った方が確実で迅速に行える事から、車両をリフトアップし車両の下側より作業を行いました。

車両をリフトアップし、エンジンアンダーカバーのリヤ側を取り外します。

(エンジンアンダーカバー フロント側は、この作業では取り外す必要はありません。)

エンジンアンダーカバー リヤ側が外れました

取り外したボルト

支点側固定ボルトを緩めます

アジャスターロックナットを緩め、アジャスターを緩めます

オルタネーター リヤケース エンド部に取り付けられているハーネスブラケットを、取り付け様5mm(頭部8mm)ボルトを2本取り外した後、取り外します。

この時、ハーネス等を無闇に引っ張り、被覆等を損傷等させないように注意する事が必要です。

オルタネーターに接続している配線等を取り外します。

オルタネーター リヤケース サイド側に挿入されているL・S端子カプラーを、カプラーの固定爪を損傷等してしまわないように注意しながら取り外します。

オルタネーター リヤケース エンド部に取り付けられているB端子を、取り付け用の6mmナット(頭部10mm)を取り外した後、取り外します。

この時、B端子に被せられている保護用ゴムキャップを損傷等させないように注意をする事が必要です。

リヤケースに取り付けられているハーネスBkt.を取り外します

運転席ドアを開け、ドライバーズシートを取り外します。

ドライバーズシート付近のカーペットを捲り、ドライバーシートアンダーパネルを取り外します。

ドライバーズシートアンダーパネルを取り外すと、エンジンルーム上側よりオルタネーターの取り付けを確認する事が出来ました。

取り外したドライバーズシートアンダーパネル

ドライバーズシートアンダーパネルが外れました

W30型車 フロントフード内部 全体像

ベルトを調整し、オルタネーター本体を固定しました

オルタネーターベルトと取り付けました

アジャスターは車両下側より緩める事にします

取り外したエンジンアンダーカバー リヤ側

エンジンアンダーカバー リヤ側を取り外します

オルタネーターベルトの取り外しを行います

L・S端子カプラーが外れました

L・S端子カプラーを取り外します

ドライバーズシートを取り外します

取り外したドライバーズシート

ドライバーズシートアンダーパネルを取り外します

オルタネーターのボルテージレギュレーターが故障した原因は、今回の場合にはバッテリーが原因と考えられます。

車両が高速走行時・・・、

エンジンも回転数が高めの状態において、バッテリー内部で瞬間的な絶縁状態が発生し、バッテリーターミナルを取り外したのと同様の状態となったようです。

この為に、オルタネーターで発生した電流が行き場所が無くなり、急激にバッテリー端子間電圧(オルタネーター発生電圧)が上昇・・・、

同時にオルタネーターに内蔵されておりますボルテージレギュレーターが故障したものと思われます。



オルタネーターの交換作業は、エンジンが冷機時に作業を行うようにします。

エンジンが熱い状態の時に作業を行うと、作業者が火傷等の障害を負う可能性があります。

オルタネーターベルトは、他の補機ベルトと共にヒビ割れ・損傷等を確認しておく様にします。

バッテリー端子を接続したままの状態でオルタネーター B端子を取り外し・取り付けした場合、誤ってB端子、工具等が車体等のボディーアース部位に接触すると、ショートし車両の部品等を損傷させてしまう可能性があります。

バッテリー端子は、取り外す際にはマイナス側から・・・、

取り付ける場合には、プラス側から行うようにします。 (マイナスボディーアース車に限る。)

今回の作業では、ドライバーズシート周辺の部品を取り外し、エンジンルームを上側より確認しながら作業を行いましたが、必ずしもこの必要はありません。

車両の下側より、全ての作業は可能となっています。

当該車両の場合には、使用年数・総走行距離等より判断し、オルタネーター L・S端子カプラーの固定爪が損傷する事が十分に予測出来た事から、ドライバーズシート周辺の部品を取り外し、エンジンルームを上側より見ながら、オルタネーター L・S端子カプラーを取り外しました。

オルタネーター L・S端子カプラーの固定爪が損傷すると、カプラーの接続が固定出来ず、オルタネーターのL・S端子カプラー接続部とL・S端子カプラーとが外れ、オルタネーターの発生電圧に悪影響を及ぼす事となります。

この場合には、L・S端子カプラーのカプラー部品、もしくはL・S端子カプラーが接続しているメインハーネスをアッセンブリーで交換する必要が生じる事があります。

簡単な作業ですが、作業を誤ると走行中にエンジンがストールしてしまうような故障にも繋がる事が予想され、最悪の場合にはステアリング操舵不良、ブレーキ制動不良等の故障も併発し、死傷を含む重大な事故を起こす可能性がある事も念頭に入れ、作業を行う事を推奨致します。


フロアカーペットを敷きました

ドライバーズシートを取り付けました

エンジンアンダーカバー リヤ側を取り付けました

サキットテスターでバッテリー端子間電圧を測定します

オルタネーターが外れました

用意した新品のオルタネーターを仮取り付けしました

オルタネーターベルトが外れました

オルタネーターベルトが緩みました

オルタネーターに接続されている配線等を取り外します

取り外したナット

B端子を取り外しました

ハーネスBkt.を取り外しました

取り外したボルト

ドライバーズシートが外れました

取り外したボルト

オルタネーターを確認出来ます

取り外したボルト

取り外しておきます

バッテリー マイナスターミナルを緩め・・・