エンジン補機ベルト交換

取材車両 Z33-423479
入庫日   2010年08月12日
走行距離 69980kmkm

エンジン補機ベルトの交換作業、張り具合点検・調整作業が終了しました。

今回の作業で緩めた部位等を中心に、元通りに組み付けられているか、確実にボルト、ナット等が締め付けられているかを再確認します。

エンジンアンダーカバーを取り付けます。

エアコンコンプレッサーベルト

アイドラープーリーアジャストボルト

  図中 D

アイドラープーリーロックナット

  図中C

  締め付けトルク・・・34.8N・m(3.5kg・m)

新たに用意したエンジン補機ベルトは・・・、

オルタネーター・パワステポンプベルト

PIT WORK

ポリVベルト 6PK1175 (品番:AY140-61175)


エアコンコンプレッサーベルト

PIT WORK

ポリVベルト 4PK945 (品番:AY14N-4094E)

です。

『NISSAN FAIRLADY Z(Z33型車)』の入庫です。

別件の整備依頼での入庫でしたが、各部位を点検した結果、エンジン補機ベルト(オルタネーター・パワーステアリングポンプベルト、エアコンコンプレッサーベルト)にヒビ割れが発生している事が判明しました。

この項では、エンジン補機ベルト(オルタネーター・パワーステアリングポンプベルト、エアコンコンプレッサーベルト)の交換作業を紹介して行きます。

以上で、エンジン補機ベルトの交換作業が完了となります。

エンジンアンダーカバーを取り付けます

エンジン補機ベルトを新品部品に交換した場合には、各プーリーに設けられた溝とのなじみが不十分なので”新品時”の値に調整する事とします。

使用過程中のエンジン補機ベルトが”張り直し限度”の値を超えた場合は、”調整時”の値に調整する事とします。

エンジン補機ベルト取り付け直後の張り具合の点検は、基準値に調整した後、各プーリー間張力のバラツキをなくす為に、クランクシャフトを2回転以上回して再度測定し、基準値に調整する事とします。

エンジン補機ベルト取り付け時には、各プーリー溝に確実に嵌っている事を確認する事が必要です。

エンジン補機ベルト、各プーリーに、エンジンオイル、エンジン冷却水等の油脂類が付着しないように注意する事が必要です。

エンジン補機ベルトを、強く捻ったり折り曲げたりしない事が大切です。

アイドラープーリーのアジャストボルト部には、薄くグリースが塗布されている為、このグリースがエンジン補機ベルト、各プーリーに付着させない様に注意する事が必要です。

エンジン補機ベルトの張力が弱い場合には、エンジン運転時等に、当該エンジン補機ベルトとプーリー間にスリップが生じ、ベルト鳴きの原因となる事があります。

エンジン補機ベルトの張力が強い場合には、エンジン運転中等に、当該エンジン補機ベルトが取り付けられているオルタネーター、パワステポンプ、エアコンコンプレッサー、アイドラー等に使用されておりますベアリングに無理な力が作用し、このベアリングが損傷したり、異音の発生する原因となる事があります。

アイドラープーリーのロックナットの締め付けが規定トルク以下の場合には、当該ロックナットが緩み、最悪の場合には当該ロックナットが外れアイドラープーリーが外れる等の状態となり、エンジン補機ベルトが外れてしまう原因となる可能性があります。

この様な事態となってしまった場合には、エンジン補機類が正常に作動しなくなり、最悪の場合にはエンジンがストールしたり、エンジンに重大なダメージを与えてしまう結果となる可能性があります。

また、パワステベルトが車両走行中に外れた場合には、操舵装置の油圧が発生しなくなり、過大な操舵力が車両の運転者に要求され、最悪の場合には重大な事故に繋がる可能性があります。

エンジン補機ベルトが各プーリーに設けられている溝に確実に嵌り込んでいない場合には、当該エンジン補機ベルトが早期に損傷してしまう可能性があります。

また、エンジン運転時等に当該エンジン補機ベルトが外れてしまう結果となる可能性もあります。



部位 オルタネーター・
パワステポンプベルト@
オルタネーター・
パワステポンプベルトA
エアコンコンプレッサーベルトB
ベルト仕様 Vリブドベルト(6山) Vリブドベルト(6山) Vリブドベルト(4山)
張力周波数[Hz]
(張力計を使用した時)
ベルト新品時
257 - 269 334 - 351 175 - 188
張力周波数[Hz]
(張力計を使用した時)
ベルト調整時
240 - 253
312 - 329 151 - 166
音波式張力計を使用する場合について・・・、

音波式張力計(特殊工具)を用いて図▼の位置で行う。

その他の事項につきましては、張力計を使用する場合についての項目と同様です。
ベルト取り付け直後の張り点検は、基準値に調整後、プーリー間張力のバラツキをなくすため、クランクシャフトを2回転以上回して再度測定し、基準値に調整すること。

張り調整後の点検は、アイドラープーリーのロックナットを手で締め込み、ガタがない状態で張りの測定を行うこと。
張力計を使用する場合において・・・、

点検はエンジン冷機状態、又はエンジン停止後約30分以上経過してから行う。

張力計(特殊工具)を用いて図▼の位置で行う。

▼の位置での測定が困難な場合は、最寄りの適当な位置で測定してもよい。

たわみ量で測定する場合も、図▼の位置に98.1N(10kg)の力を加えて行う。

エンジン補機ベルトは、計測器等を使用せずに作業者の手の感覚で張り具合を点検・調整する事が一般的に行われています。

今回は、当該車両を例に計測器等を使用した張り具合の点検・調整方法を紹介します。

オルタネーター・パワステポンプベルト

アイドラープーリーアジャストボルト

  図中 B

アイドラープーリーロックナット

  図中A

  締め付けトルク・・・34.8N・m(3.5kg・m)

オルタネーター・パワステポンプベルトをクランクプーリー、パワステポンププーリー、アイドラープーリー 2個に掛け、クランクプーリー、パワステポンププーリー、アイドラープーリー(ベルト調整機能が無く、プーリーに溝が設けられた上側のアイドラープーリー)の溝に確実に噛み合わせます。

アイドラープーリーのアジャストボルトを締め付け、オルタネーター・パワステポンプベルトの張り具合を調整します。

アイドラープーリーのロックナットを締め付けます。

アイドラープーリーのロックナットを締め付けた後、オルタネーター・パワステポンプベルトの張り具合が規定値通りになる様にします。

エアコンコンプレッサーベルトをクランクプーリー、エアコンコンプレッサープーリー、アイドラープーリーに掛け、クランクプーリー、エアコンコンプレッサープーリーの溝に確実に噛み合わせます。

アイドラープーリーのアジャストボルトを締め付け、エアコンコンプレッサーベルトの張り具合を調整します。

アイドラープーリーのロックナットを締め付けます。

アイドラープーリーのロックナットを締め付けた後、エアコンコンプレッサーベルトの張り具合が規定値通りになる様にします。

2番目に、にエアコンコンプレッサーベルトを取り外す事にします。

エアコンコンプレッサーベルト アイドラープーリーのロックナットを緩めます。

エアコンコンプレッサーベルト アイドラープーリーのアジャスターボルトを緩めて行きます。

エアコンコンプレッサーベルトに張力を持たせる為に、エアコンコンプレッサーベルトを押さえ付ける様に固定されておりましたアイドラープーリーが下側に下がって来て、エアコンコンプレッサーベルトを取り外す事が出来ました。

裏返し折り曲げると、ヒビ割れが際立って目立ちます

取り外した、エアコンコンプレッサーベルト

取り外した、エンジン補機ベルト

オルタネーター・パワステポンプベルト

アイドラープーリーアジャストボルトを緩めます

アイドラープーリーアジャストボルトを緩めます

1番目に、にオルタネーター・パワステポンプベルトを取り外す事にします。

オルタネーター・パワステポンプベルト アイドラープーリーのロックナットを緩めます。

オルタネーター・パワステポンプベルト アイドラープーリーのアジャスターボルトを緩めて行きます。

オルタネーター・パワステポンプベルトに張力を持たせる為に、オルタネーター・パワステポンプベルトを押さえ付ける様に固定されておりましたアイドラープーリーが下側に下がって来て、オルタネーター・パワステポンプベルトを取り外す事が出来ました。

エンジン補機ベルトは、フロント側よりオルタネーター・パワステポンプベルト、続いてエアコンコンプレッサーベルトの順に取り付けられています。

車両下側より、エンジン補機ベルトを見ます

エンジン補機ベルト(オルタネーター・パワーステアリングポンプベルト、エアコンコンプレッサーベルト)の交換作業を開始します。

車両をリフトアップし、エンジンアンダーカバーを取り外します。

エンジン補機ベルト(オルタネーター・パワーステアリングポンプベルト、エアコンコンプレッサーベルト)は、エンジンルーム上側より目視にて点検しました。

エンジンアンダーカバーを取り付けました

部位 オルタネーター・パワステポンプベルト エアコンコンプレッサーベルト
ベルト仕様 Vリブドベルト(6山) Vリブドベルト(4山)
補機ベルト張力[N(kg)]
(張力計を使用した時)
ベルト新品時
838 ‐ 926(85.5 ‐ 94.5) 470 ‐ 559(48 ‐ 57)
補機ベルト張力[N(kg)]
(張力計を使用した時)
ベルト調整時
730 ‐ 818(74.5 ‐ 83.5)
348 ‐ 436(35.5 ‐ 44.5)
補機ベルト張力[N(kg)]
(張力計を使用した時)
張り直し限度
294(30) 196(20)
補機ベルトのたわみ量[mm]
(98.1N(10kg)の力で押した時)
ベルト新品時
3.5 ‐ 4.5
8 ‐ 9
補機ベルトのたわみ量[mm]
(98.1N(10kg)の力で押した時)
ベ調整新品時
4 ‐ 5 9 ‐ 10
補機ベルトのたわみ量[mm]
(98.1N(10kg)の力で押した時)
張り直し限度
7 12
エアコンコンプレッサーベルトを取り付けました
エアコンコンプレッサーベルト

アイドラープーリーロックナットを緩めます

『PIT WORK ポリVベルト 4PK945』

『PIT WORK ポリVベルト 6PK1175』

裏返し折り曲げると、ヒビ割れが際立って目立ちます

取り外した、オルタネーター・パワステポンプベルト

ESMより

『NISSAN FAIRLADY Z(Z33型車)』 エンジンルーム全景

エンジン補機ベルトを交換しました

オルタネーター・パワステポンプベルトを取り付けました

アイドラープーリーアジャストボルトを緩めます

アイドラープーリーロックナットを緩めます

アイドラープーリー

エンジン補機ベルトを目視にて点検します

エンジンアンダーカバーを取り外します

取り外した、エンジンアンダーカバー取り付けボルト等

取り外した、エンジンアンダーカバー

エンジンアンダーカバーを取り外しました