エンジンストール

取材車両 GCZ32-510631
入庫日   2010年09月11日
走行距離 117864km

エンジン点火系統とタコメーターの作動が同時に停止している場合、EGIリレーの作動に異常がある事が考えられます。

EGIリレーの作動状態を確認する事にしました。

ユーザーより整備の依頼を受け、”NISSAN FAIRLADY Z (GCZ32型車)”が入庫して来ました。

ユーザーの整備依頼に該当しないエンジンストールが発生し、急遽修理する事となりました。

イグニッションスイッチを”ON”の状態から”START”の状態としスタターモーターを作動させます。

フューエルインジェクターが作動し、点火系統が作動していなかった影響により、スパークプラグが少々かぶり気味だったようで、クランキング時間が少し長めでしたがエンジンが始動致しました。

この時、コンビネーションメーターのタコメーターの指針が、スターターモーターにより駆動させられるエンジンの回転数に応じて少し動いていました。

用意しました新品のEGIリレーを、ヒューズ&リレーボックス内のEGIリレーホルダーに取り付けます。

以上の結果により、改めて新品のEGIリレーを用意しました。

日産純正部品

1Mリレー (部品番号:25230-C9965)

EGIリレー

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EGIリレーを取り外しましたら、EGIリレーホルダー側の端子に電源電圧が掛かっている事を点検します。

イグニッションスイッチを”ON”にします。

EGIリレーの電磁コイル側端子(1番端子、2番端子)と接続されるリレーホルダーの端子のいずれか一方側の端子に電源電圧が掛かっている事を点検し確認します。

EGIリレーの接点側端子(3番端子、5番端子)と接続されるリレーホルダーの端子のいずれか一方側の端子に電源電圧が掛かっている事を点検し確認します。

点検の結果、電磁コイル側端子、接点側端子共に、電源電圧が掛かっている事が確認出来ました。

続いて、EGIリレーを単体で点検します。

EGIリレーの電磁コイル側端子(1番端子、2番端子)間の抵抗値を測定します。

測定の結果、抵抗値はほぼ0Ωである事が判明しました。

この結果は、正常値です。

EGIリレーの接点側端子(3番端子、5番端子)間の抵抗値を測定します。

測定の結果、抵抗値は無限大Ωである事が判明しました。

この結果は、正常値です。

続いて、EGIリレーの電磁コイル側端子の1番端子(もしくは、2番端子)に電源電圧プラス側を接続し、2番端子(もしくは、1番端子)に電源電圧マイナス側を接続し、EGIリレーの電磁コイル側を作動させた状態とします。

この状態の時に、 EGIリレーの接点側端子(3番端子、5番端子)間の抵抗値を測定します。

測定の結果、抵抗値は無限大Ωである事が判明しました。

この結果は異常値で、正常値はほぼ0Ωとなるはずです。

この点検結果を受け、EGIコイルは、電磁コイル端子を通電しリレーが作動しても、接点側端子がオープン状態のままで通電していない事が判明致しました。

EGIリレーを取り外します。

EGIリレーは、リレーホルダーに挿入され、EGIリレーの樹脂爪により固定されています。

EGIリレーの樹脂爪を押し縮め、リレーホルダーより引き抜く様にして取り外します。

EGIリレー 樹脂爪を押し縮めます

EGIリレー 樹脂爪を押し縮めます

EGIリレーを取り外しました

EGIリレーを取り外しました

EGIリレーは、エンジンルーム内の左側・・・、

ストラットタワーの前部に取り付けられている、ヒューズ&リレーボックス内に取り付けられています。

ヒューズ&リレーボックスカバー

ヒューズ&リレーボックスカバー

取り外した、ヒューズ&リレーボックスカバー

カバーを取り外します

イグニッションスイッチを”ON”にすると、コンビネーションメーター内の警告等は正常に作動(点灯)しています。

イグニッションスイッチを”START”にすると、スターターモーターは規定回転数を保ちながら作動しています。

スターターモーターが正常に作動しているのにも関わらず、エンジンは初爆も無く、全く始動する気配がありません。

当該車両の場合、パワートランジスターの故障によるエンジンストールが多く見受けられる様ですが、今回の症状では少し故障原因が異なる様です。

これより具体的に故障探求を実施致します。

イグニッションスイッチを”ON”の状態から”START”の状態としスタターモーターを作動させた時、コンビネーションメーターのタコメーターの指針が、スターターモーターにより駆動させられるエンジンの回転数に応じて少し動くのが一般的な状態です。

今回の症状では、イグニッションスイッチを”ON”の状態から”START”の状態としスタターモーターを作動させた時でも、、コンビネーションメーターのタコメーターの指針が全く動かず、スターターモーターにより駆動させられるエンジンの回転数に同調していない事が判明致しました。

今回発生しましたエンジンストールの原因は、EGIリレーの故障が原因でした。

複合的な故障原因も考えられる事から、エンジン始動後に他の部位の点検・診断も行っております。

リレーが故障する原因として、過大電流が流れる事による接点の焼損があります。

過大電流がリレーに流れる事により接点が焼損しリレーが故障した場合には、当該リレーを新品の部品に交換した後、再び当該リレーが故障する原因となる可能性があります。

この為、過大電流がリレーに流れた主たる要因を取り除く処置(整備)が必要となります。

リレーが故障した場合に、応急的な処置として接点側の端子間をジャンピング結線した場合には、ジャンピング結線に利用したハーネスケーブル、もしくは車両側のハーネスケーブル等に過大電流が流れ発熱し、最悪の場合には車両火災の原因となる可能性があります。


タコメーターの指針が少し動いています

EGIリレーを取り付けました

EGIリレーを取り付けます

改めて用意した、EGIリレー

リレー回路図

EGIリレー

EGIリレー

ヒューズ&リレーボックスカバー

ヒューズ&リレーボックスカバー

”NISSAN FAIRLADY Z (GCZ32型車)” エンジンルーム全景

EGIリレーを取り付けました

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コンビネーションメーター

コンビネーションメーター