取材車両 S15-500990
入庫日 2007年09月21日
走行距離 77734km
東名パワード PONCAM
今回は、ユーザーに嗜好によりカムシャフトを東名パワード製 PONCAMに交換する事になりました。
早速、東名パワードより製品を取り寄せします。
到着次第、梱包されている内容を確認しましたが、簡単な取り付け説明書が同梱されていましたが、今回の作業には、日産自動車が発行している整備要領書を準備し、作業を行った方がよさそうです。
S15型車 エンジンルーム全景
ストラットタワーバーを取り外します
ストラットタワーバーが外れました
現車のエンジンルームを確認します。
エンジンルーム内に、フロントストラットタワーバーが取り付けられていますので、まずこのフロントストラットタワーバーを取り外します。
フロントストラットタワーバーを取り付けていましたナットは、後の作業で車両をリフトアップする可能性がありますので、フロントストラットタワーに取り付け、面一となるまで手で締め込んでおく事を推奨いたします。
ナットを面一となるまで手で締め付けておきます
フロントストラットタワーバーが外れたエンジンルーム
エアクリーナー&インテークパイプを取り外します
ブローバイホースを外します
ブローバイホースが外れました
ホースバンドを緩めて、インテークエアホースを外します
インテークパイプ取り付けボルトを外します
エアフローメーターのカプラーを外します
エアフローメーターのカプラーが外れました
エアクリーナー取り付けナットを外します
エアクリーナー&インテークパイプが外れました
エアクリーナー&インテークパイプが外れたエンジンルーム
スロットルチャンバー入り口に・・・
テーピングして異物が侵入するのを防ぎます
ブローバイホースを外します
クランプを外し、ブローバイホースを外します
クランプからブローバイホースを外します
このクランプからもブローバイホースを外します
ブローバイホースが外れました
エアクリーナー、エアインテークチューブ、エアインテークホースを一体で取り外します。
エアインテークチューブに接続されているブローバイホース、エアバイパスホースを外します。
スロットルチャンバーに接続されている側のエアインテークホースのホースバンドを緩めます。
エアインテークチューブとラジエーターシュラウドを固定しているボルトを取り外します。
エアフローメーターに接続されているカプラーを取り外し、クランプも外しておきます。
エアクリーナーをボディーに固定しているナットを取り外します。
エアクリーナー、エアインテークパイプを少し持ち上げる様にしながら、エアインテークホースをスロットルチャンバーから外し、エアクリーナー、エアインテークパイプ、エアインテークホースを一体で取り外します。
エアインテークホースが外れたスロットルチャンバー入り口側には、テーピングする等で塵、異物等がスロットルチャンバー内からインテークマニホールド内等へ侵入する事を防ぎます。
ロッカーカバーに接続されている3本のブローバイホースを取り外します。
先程エアインテークパイプに接続されているブローバイホースを、エアインテークパイプ側で取り外しておりますが、このブローバイホースのロッカーカバー側も取り外し、完全に外れた状態でエンジンルームから取り出しておきます。
この時、当該ブローバイホースは3ケ所のクリップでロッカーカバーで固定されていますので、このクリップを損傷させない様に注意しながらブローバイホースを取り外す必要があります。
取り外したブローバイホース
ロッカーカバー リヤ右側に取り付けられている・・・
ブローバイホースも外しておきます
ブローバイホースも外しておきます
P.C.V.バルブに接続された・・・
エアインテークパイプとロッカーカバーに接続されたブローバイホースが外れましたら、ロッカーカバーに接続されている他の2本のブローバイホースを外します。
ロッカーカバーのリヤ右側、ロッカーカバーのリヤ左側に取り付けられているP.C.V.バルブに接続されているブローバイホースです。
この2本のブローバイホースは、ロッカーカバー側のみの取り付けを外しておくだけとしておきます。
プラグコードを外します
アースコードを取り外します(日産純正部品等には付属しません)
プラグホールよりプラグコードを引き抜きます
プラグコードが外れました
ロッカーカバー右側のブローバイホースブラケットを外します
ロッカーカバーフロント側のブローバイホースブラケットも外します
取り外したブローバイホースブラケット等
プラグコードを取り外します。
当該車両には、”NOLOGY Hot Wires”が取り付けられている為、日産純正部品等には付属していないアースコードを取り外す必要がありました。
プラグキャップの頂部を持ち、プラグホールからプラグコードを引き抜きます。 この時に、プラグコードを持ち引き抜くとプラグコードが断線する可能性がありますので、必ずプラグキャップの頂部を持ち引き抜く様にします。
ロッカーカバーに取り付けられているブローバイホースブラケット3個を取り外します。
ロッカーカバーを取り外す準備が整いました
ロッカーカバー取り付けボルト&シールワッシャーを取り外します
対角線上にロッカーカバー取り付けボルトを緩めて行きます
取り外したボルト&シーリングワッシャー
ロッカーカバー取り付けボルト&シールワッシャーが外れました
取り外したロッカーカバー
ロッカーカバーが外れたエンジン頂部
カムシャフトの全体像が見えています
ロッカーカバーを取り外します。
対角線上にロッカーカバー取り付けボルトを緩め取り外します。
この時、ロッカカバー中央の取り付けボルトのみ1本が、他のボルトと比較し全長が長い事を目視により確認しておき、取り付ける際には取り付け場所が解る様にしておく必要があります。
ロッカーカバー取り付けボルトを取り外しましたら、ロッカーカバーとロッカーカバー取り付けボルトの間に挿入される様に取り付けられているシーリングワッシャーを取り外します。
ロッカーカバーを持ち上げる様にしながら取り外します。
固着して外れない場合には、プラスチックハンマー等でロッカーカバーに衝撃を与えたり、あるいはスクレッパー、マイナスドライバー等をロッカーカバーとシリンダーヘッドの間に挿入しながらロッカーカバーを取り外しますが、この時にはロッカーカバー、シリンダーヘッド等に傷をつけたり、損傷等を起こさない様に充分な注意を払う事が大切です。
ロッカーカバーを取り外した際には、ロッカーカバーパッキン、プラグホールパッキン、シールワッシャーは新品に交換する事が推奨されますので、今回の作業でも新品の日産純正部品を予め用意し、交換する事にいたしました。
クランクプーリーの第1気筒圧縮上死点を合わせます
カムシャフトの第1気筒圧縮上死点も合わせます
タイミングチェーンに合いマークを付けます
Exh.カムシャフトとディストリビューターの噛み合わせを確認しておきます
ディストリビューターのコネクターを外します
ディストリビューターキャップを外します
ディストリビューターキャップとプラグコードをセットで取り外しました
ディストリビューターのローターの向きを確認しておきます
ローターの指し示す方向に合いマークを付けます
ディストリビューターを取り外します
ディストリビューターが外れました
ディストリビューターが外れたCyl.ヘッドの取り付け部
クランクシャフト取り付けボルトにレンチを掛け、エンジン回転方向にクランクプーリーを回転させ、クランクプーリーで第1気筒の圧縮上死点を合わせます。
クランクプーリーに刻まれたインジケーターサインの内、左側から2番目の黄色くペイントされたインジケーターサインが上死点を現しています。
この状態でカムシャフトの第1気筒の圧縮上死点を確認し、画像の位置にインジケーターマークが来ている事を確認します。
画像の様な位置にカムシャフトのインジケーターマークが来ていない場合には、クランクプーリーを更に1回転させ、画像の位置にインジケーターマークが来る様にします。
第1気筒の圧縮上死点が出ましたら、ドライブチェーン、カムスプロケット等をブレーキ&パーツクリーナー等で洗浄し、汚れを落とし脱脂しておきます。
カムスプロケットに記されたインジケーターマークの位置に来ているタイミングチェーンのコマにペイント等を施し、カムスプロケットとタイミングチェーンに合わせマークを施し、取り外し後に再度取り付ける際、元の合わせ位置が明確に解る様にしておきます。
エキゾースト側カムシャフトとディストリビューターのドライブシャフトの噛み合せ、取り付け具合を目視にて確認しておきます。
ディストリビューターに接続されていますコネクターを外します。
ディストリビューターキャップを、プラグコードを取り付けたままの状態でディストリビューターから取り外します。
第1気筒が圧縮上死点の時、ディストリビューターのローターの向きを目視にて確認し、この向きが明確に解る様にペイントする等で合いマークを付けておきます。
ディストリビューターを取り付けている8m/m(頭部12m/m)のボルト 2本を取り外します。
ディストリビューターを、シリンダーヘッドから取り外します。
取り外したディストリビューターは、ディストリビューターキャップを取り付ける等を行って、ディストリビューター内部に異物、塵等が入らない様に注意する事が必要です。
In.カムシャフトスプロケットのフロント側にあるカバーを外します
In.カムシャフトフロントカバーが外れました
取り外したIn.カムシャフトフロントカバー
In.カムシャフトフロントカバーを取り外した取り付け部
In.カムシャフトスプロケット取り付けナットを緩める準備が出来ました
In.カムシャフトスプロケット取り付けボルトを緩めます
タイミングテンショナーを取り外します
取り付けボルトを外します
取り外したタイミングテンショナー
タイミングテンショナーを取り外した取り付け部
インテーク側カムシャフト、エキゾースト側カムシャフト共にフロント側に取り付けられているタイミングスプロケットの取り付けボルトを緩めて行きます。
インテーク側カムシャフトのフロント側には、インテークカムシャフトフロントカバーが取り付けられていますので、まずこのインテークカムシャフトフロントカバーを取り外します。
インテーク側カムシャフト、エキゾースト側カムシャフト共に、タイミングスプロケットの直ぐリヤ側に設けられているカムシャフトの六角部にスパナを掛けカムシャフトが回ってしまわない様に固定し、カムシャフトスプロケット取り付けボルトをレンチを用いて緩めます。
インテーク側カムシャフト、エキゾースト側カムシャフト両方のスプロケット取り付けボリトが、手で緩める事が出来るまで緩みましたら、タイミングテンショナーを取り外して行きます。
タイミングテンショナー取り付けナットを外し、少し衝撃等を与えますと、飛び出す様に外れて来ます。
この時に、タイミングテンショナーが結構な勢いで飛び出して来る場合もあり、当該部品の損傷、作業者の傷害等に対して、充分な構えが必要となって来ます。
手で押さえながらタイミングテンショナーを取り外す様にすると、上記の様な傷害等は起こず、タイミングテンショナー安全に取り外す事が出来ます。
タイミングスプロケット取り付けボルトを取り外し・・・
タイミングスプロケットとカムシャフトを分離しました
タイミングスプロケット、チェーンが脱落しない様にしておきます
対角線状にIn.カムシャフトBkt.を緩めて行きます
In.カムシャフトが外れました
In.カムシャフトが外れたCyl.ヘッドの取り付け部
上側:取り外したカムシャフト 下側:新品
Bkt.とオイルチューブを組み替えました
Bkt.とオイルチューブを組み替えました
上側:取り外したカムシャフト 下側:新品
Exh.カムシャフトが外れました
Exh.カムシャフトが外れたCyl.ヘッドの取り付け部
対角線状にExh.カムシャフトBkt.を緩めて行きます
PONCAMに交換しました
タイミングスプロケットとカムシャフトを結合させます
ロッカーアームがずれていない事を確認します
Bkt.とCyl.ヘッドの間には、約5m/mの隙間を作っておきます
インテーク側カムシャフト、エキゾースト側カムシャフト共にタイミングスプロケット取り付けボルトを完全に緩め、外します。
ただし、タイミングスプロケット取り付けボルトはタイミングスプロケット内に残留させ、完全に抜き取ってしまわない様にしておきます。
タイミングチェーンを取り付けたままタイミングスプロケットをフロント側へずらす様に外します。
タイミングチェーン、タイミングスプロケット、タイミングスプロケット取り付けボルトが脱落しない様に、またクランクスプロケットからタイミングチェーンが外れてしまわない様にタイミングスプロケットの現状での位置を確保しておきます。
特に指示されている訳ではありませんが、インテーク側からカムシャフトの交換作業を行いました。
カムシャフトブラケット取り付けボルトを、外側から対角線状に緩め、取り外します。
この時には、1本のボルトに対し、一気に完全に緩め取り外すのではなく、規定トルクの半分の締め付け具合となる様に順に全数緩め、その後 順に全数のボルトを完全に緩め取り外す様にします。
インテーク側カムシャフトをカムシャフトブラケット、オイルチューブと一体でシリンダーヘッドから取り外します。
新品のカムシャフトの取り付け準備に取り掛かります。
新品のカムシャフトが、取り外したカムシャフトと比較し、当該エンジンに取り付けが可能な製品である事を確認しておきます。
新品のカムシャフトには、腐食防止の目的で腐食防止剤が塗布されていますので、この腐食防止剤をブレーキ&パーツクリーナー等で完全に除去しておきます。
新品のカムシャフトのカムシャフトブラケット支持部、ベースサークル&カム山等の摺動部に、当該エンジンに使用しておりエンジンオイルを薄く塗布しておきます。
取り外したカムシャフトに取り付けられているカムシャフトブラケット、オイルチューブを、新品のカムシャフトに組み付けます。
カムシャフトブラケット、オイルチューブを組み付けた新品のカムシャフトをシリンダーヘッドに取り付けます。
この時に、ロッカーアームの凸部がバルブ頭頂部のシムの凹部に確実に嵌まり込んでおり、位置等にずれが無い事を確認しておきます。
カムシャフトブラケット取り付けボルトを、手で締め込んでおきます。
続いてエキゾースト側側からカムシャフトの交換作業を行います。
カムシャフトブラケット取り付けボルトを、外側から対角線状に緩め、取り外します。
この時にも、1本のボルトに対し、一気に完全に緩め取り外すのではなく、規定トルクの半分の締め付け具合となる様に順に全数緩め、その後 順に全数のボルトを完全に緩め取り外す様にします。
エキゾースト側カムシャフトをカムシャフトブラケット、オイルチューブと一体でシリンダーヘッドから取り外します。
新品のカムシャフトの取り付け準備に取り掛かります。
新品のカムシャフトが、取り外したカムシャフトと比較し、当該エンジンに取り付けが可能な製品である事を確認しておきます。
新品のカムシャフトには、腐食防止の目的で腐食防止剤が塗布されていますので、この腐食防止剤をブレーキ&パーツクリーナー等で完全に除去しておきます。
新品のカムシャフトのカムシャフトブラケット支持部、ベースサークル&カム山等の摺動部に、当該エンジンに使用しておりエンジンオイルを薄く塗布しておきます。
取り外したカムシャフトに取り付けられているカムシャフトブラケット、オイルチューブを、新品のカムシャフトに組み付けます。
カムシャフトブラケット、オイルチューブを組み付けた新品のカムシャフトをシリンダーヘッドに取り付けます。
この時に、ロッカーアームの凸部がバルブ頭頂部のシムの凹部に確実に嵌まり込んでおり、位置等にずれが無い事を確認しておきます。
カムシャフトブラケット取り付けボルトを、手で締め込んでおきます。
インテーク側カムシャフト、エキゾースト側カムシャフトの交換が出来ました。
これから分解した部分の組み付け作業に取り掛かります。
ロッカーアームの取り付けられている状態を再度確認しておきます。
ロッカーアームのバルブ作用側では、ロッカーアームの凸部がバルブ頭頂部のシムの凹部に確実に嵌まり込んでいるか・・・。
ロッカーアームのハイドロリックバルブリフター支点側では、ロッカーアームの凹部がハイドロリックバルブリフターの頭頂部凸部に確実に嵌まり込んでいるか・・・。
ロッカーアームのカムシャフトに設けられているベースサークル&カム山の摺動部では、ロッカーアームの摺動部とカムシャフトに設けられているベースサークル&カム山の位置に接触しているか・・・。
タイミングチェーン取り付け概念図
カムスプロケッ脱着時 合わせマーク位置
シリンダーブロック側を第1気筒 圧縮上死点に合わせた状態で、カムシャフトを適当な位置(回転方向)で取り付け、カムシャフトブラケットで完全に固定した場合、ピストン頭頂部、インテークバルブ、エキゾーストバルブ、バルブガイド等が損傷等する場合があります。
当該車両の場合、第1気筒、第4気筒のシリンダー内を摺動するピストンが上死点位置にあります。
この状態で適当な位置(回転方向)でカムシャフトを取り付け固定する為にブラケットを締め付けると、第1気筒、第4気筒のインテークバルブ、エキゾーストバルブがカムシャフトに設けられているカム山に押され、最大量まで押し出せれてしまう事があります。
この場合には、シリンダーブロック側のピストンの頭頂部と、インテーキバルブ、エキゾーストバルブの傘部が接触し、このままの状態で更に締め込んで固定するとインテークバルブ、エキゾーストバルブのステムが変形、あるいは更にシリンダヘッドに取り付けられているバルブステムガイドに歪が生じる等を起こしてしまします。
この様な状態となってしまった場合には、インテークバルブ、エキゾーストバルブの傘部のシート当たり部が、シリンダーヘッドに取り付けられているバルブシートに未着出来ず、圧縮圧力が逃げてしまう為にエンジンが始動出来ない、アイドリング不調、運転時の出力不足等の事態が発生してしまいます。
この様な事態となった場合には、シリンダーヘッドをシリンダーブロックから取り外し、インテークバルブ、エキゾーストバルブの交換、バスブステムガイドの交換等が必要になる場合があります。
また、ピストン頭頂部の傷が大きい場合には、シリンダーブロック部分のオーバーホールを行い、ピストン、メタル、コネクティングロッド等を交換する必要がある場合もあります。
この様な事態とならない為に、シリンダーブロック側を第1気筒 圧縮上死点とした状態でカムシャフトを取り付けカムシャフトブラケットで固定する場合には、カムシャフトブラケットとシリンダーヘッドの間にゆとりを持たせたクリアランスを確保し、インテーク側カムシャフト、エキゾースト側カムシャフト共にタイミングスプロケットを仮付けし、タイミングスプロケットとタイミングチェーンに付けました合いマークを確実に合わせた状態とします。
シリンダーブロック側のクランクプーリーのインジケーターマークが第1気筒 圧縮上死点に合っており、インテークカムシャフトスプロケット、エキゾーストカムシャフトスプロケットの合いマークもタイミングチェーンの合いマークに合い、左図の様な位置関係でシリンダーブロック側、シリンダーヘッド側共に確実に第1気筒が圧縮上死点に合っている事を確認します。
この第1気筒が圧縮上死点が出ている状態を確認後、カムシャフトをシリンダーヘッドに取り付ける為のカムシャフトブラケットをツールを使用し、中央部のカムシャフトブラケットから外側のカムシャフトブラケットに向かって、少しずつ均等に締め付けて行きます。
一気に中央部のカムシャフトブラケットのみを締め込んだ場合や、外側のカムシャフトブラケットから締め込んで行った場合には、カムシャフトに無理な力が作用し、最悪の場合にはカムシャフトが折損等してしまう場合があります。
この様な事態となってしまわない為にも、カムシャフトブラケットとシリンダーヘッドの隙間は少しずつ均等に縮め、中央部のカムシャフトブラケットから外側のカムシャフトブラケットに向かって締めて行きます。
カムシャフトブラケットとシリンダーヘッドとの間の隙間が無くなりましたら、カムシャフトブラケットを、やはり中央部から外側に向かって、規定トルクの約50%で締め付け、更に同じ順番で規定トルクで締め付ける様にします。
些細なミスも、エンジンに大きなダメージを与えてしまう可能性がありますので、充分に注意しながら作業を進める必要がある事を念頭に置き、作業を行う事を推奨いたします。
カムシャフトブラケット締め付け順序
インテーク側カムシャフト、エキゾースト側カムシャフト共に、カムシャフトを回す様にしながらタイミングスプロケットとの合わせ位置となるノックピンの位置を合わせます。
このカムシャフトに取り付けられているノックピンを、タイミングスプロケットに設けられているノックピン挿入穴に挿入しながらカムシャフトのフロント側前端部にタイミングスプロケットを取り付けます。
タイミングスプロケットとタイミングチェーンに付けております合いマークが合致している事を確認しておきます。
タイミングスプロケット取り付けボルトを手で締め込み、ツールを使用し仮締めをしておきます。
カムシャフトBkt.を規定トルクで本締めしました
タイミングテンショナーを・・・
スリーブを押し縮めストッパーを掛けます
スリーブの押し縮め方法 解説図
ガスケット、パッキンを新品の部品に交換します
用意した新品のガスケット、パッキン
チェーンテンショナーを取り付けました
ストッパーが外れスリーブが伸びた事を確認します
クランクシャフトを2回転させます
再度、第1気筒が圧縮上死点となった事を確認します
In.側カムシャフトフロントカバーの取り付け準備をします
古いガスケットを取り除きます
用意したPITWORK フルードガスケット
タイミングチェーンテンショナーの取り付け準備を行います。
タイミングチェーンテンショナーは、取り外した時点ではスリーブが出切ってしまっている為、再びエンジンに取り付ける場合には、スリーブを押し縮め、フックを掛けて、スリーブが押し縮められた状態を保ちながらエンジンに取り付ける必要があります。
タイミングチェーンテンショナー脱着時には、タイミングチェーンテンショナー取り付け部のガスケット、パッキンを新品の部品に交換する事を推奨いたします。
タイミングチェーンテンショナーをエンジンに取り付けましたら、タイミングチェーンテンショナーのストッパーが外れ、スリーブがタイミングチェーンガイドを押している事を確認しておきます。
この状態まで組み付ける事が出来ましたら、クランクプーリー取り付けボルトにレンチを掛け、エンジンを回転方向に2回転、すなわち カムシャフトが1回転させます。
クランクシャフトのインジケーターが第1気筒圧縮上死点にある時、インテークカムシャフトスプロケット、エキゾーストカムシャフトスプロケットも第1気筒が圧縮上死点となっている事を確認しておきます。
その後、タイミングチェーンの張り具合を点検し、規定値通りの張りが保たれている事を確認します。
クランクプーリー取り付けボルトにレンチを掛け、エンジンを回転方向に回転させる時には、各気筒での圧縮行程作用による重さを除き、引っ掛かり、異常な重さ等が無い事を確認しておく事も大切です。
インテーク側カムシャフトのフロントカバーを取り付けます。
インテーク側カムシャフトのフロントカバー、及びシリンダーヘッドのインテーク側カムシャフトのフロントカバー取り付け部に付着している古いフルードパッキンを取り除き清掃します。
用意したフルードパッキンを、インテーク側カムシャフトのフロントカバーのシリンダーヘッドの取り付け面に塗布し、インテーク側カムシャフトのフロントカバーを、シリンダーヘッドのインテーク側カムシャフトのフロントカバーを取り付けます。
ディストリビューターを取り付けます
取り付けボルト 2本を仮付けします
ドライブギヤが噛み合う前の挿入位置
ドライブギヤが噛み合った後の挿入位置
ディストリビューターを取り付けます。
ディストリビューターのシリンダーヘッド取り付け部にもパッキンが取り付けられています。
このパッキンは、ディストリビューター脱着時には新品の部品に交換する事を推奨いたします。
第1気筒を圧縮上死点の位置にし、ディストリビューターをシリンダーヘッド取り付け部に挿入して行きます。
この時には、ディストリビューターのドライブギヤの合いマークが、ディストリビューターの合いマークA(左図)に合っている状態で挿入します。
ディストリビューターヲシリンダーヘッドの取り付け部の奥まで挿入した時、ディストリビューターのドライブギヤの合いマークが、ディストリビューターの合いマークB(左図)に合った事を確認します。
更に、ディストリビューター取り外し前に付けた合いマークに位置と、ディストリビューターのローターのヘッド部の方向が合っている事を確認しておきます。
ディストリビューター取り付けボルト 2本を取り付け、仮締めしておきます。
シリンダーヘッドのサーキュラープラグ取り付け部を清掃します
リヤ側にも2箇所あります
サーキュラープラグ取り付け部が綺麗に清掃出来ました
ロッカーカバーを取り付ける準備をします
シロンダーヘッドに設けられているサーキュラープラグ取り付け部 3箇所に残っている古いフルードパッキンを取り除き、綺麗に清掃しておきます。
この時には、古いフルードパッキンがシリンダーヘッド内部に落ちない様に充分に注意しながら作業を行う必要があります。
新品のロッカーカバーパッキン、プラグホールパッキン
ロッカーカバーに新品のパッキン類を取り付けました
フロント側のサーキュラープラグ
リヤ側のサーキュラープラグ
フルードパッキン塗布の概要図
ロッカーカバーの内側をブレーキ&パーツクリーナー等で清掃します。
特にロッカーカバーパッキン、プラグホールパッキン取り付け部はブレーキ&パーツクリーナー等で清掃し、更に脱脂しておく事を推奨いたします。
ロッカーカバーに、予め用意しておりました新品のロッカーカバーパッキン、プラグホールパッキンを取り付けます。
ロッカーカバーのパッキン取り付け溝部にロッカーカバーパッキン、プラグホールパッキンを確実に挿入し、ロッカーカバーをエンジンに取り付ける際、脱落しない様にしておきます。
シリンダーヘッドのサーキュラープラグ取り付け部 3 箇所に、左図の様にフルードパッキンを塗布します。
ロッカーカバーに取り付けたロッカーカバーパッキン、プラグホールパッキンがずれたり脱落しない様に注意しながら、ロッカーカバーをシリンダーヘッドに取り付けます。
この時、同時にロッカーカバーパッキンに設けられたサーキュラープラグ 3箇所が、シリンダーヘッドのサーキュラープラグ取り付け部 3箇所に確実に嵌め込まれている事を確認します。
ロッカーカバーを取り付けました
サーキュラープラグが確実に嵌まり込んでいる事を確認します
シールパッキンも新品に交換します
シールパッキン、取り付けボルトを締め付けました
車両フロント側から見ます
シールワッシャーも新品の部品に交換する事が推奨される事から、予め用意しておりました新品のシールワッシャーを取り付けました。
ロッカーカバー取り付けボルトを挿入し、中央部から外側へ向かって対角線状に締め付けます。
ブローバイホースBkt.を取り付けます
ブローバイホースBkt.を取り付けます
ディストリビューターキャップ、プラグコードを取り付けました
ディストリビューターにコネクターを接続しました
ブローバイホースを取り付けました
ブローバイホースブラケットを取り付けます。
ディストリビューターキャップ、プラグコードを取り付け、ディストリビューターにコネクターを接続します。
ブローバイホースを取り付けます。
異物等を侵入させない為に取り付けたテーピングを外します
エアクリーナー&インテークパイプ等を取り付けました
ストラットタワーバーを取り付け組み付け作業は完了です
タイミングライトを使用し、点火時期を調整します
異物等がスロットルチャンバー内からインテークマニホールド内等へ侵入する事を防ぐ為に取り付けたテーピングを取り外します。
一体で取り外しましたエアクリーナー、エアインテークパイプ、エアインテークホースを取り付けます。
ストラットタワーバーを取り付けます。
以上で、組み付け作業は完了となりますが、再度 部品の取り付け具合、取り付けボルト、ナットの締まり具合等を確認しておきます。
全ての組み付け作業、及び確認作業が完了しましたら、エンジンを始動します。
エンジン始動後、異音等が発生しておらず、運転状況が良好な状態である事を確認します。
エンジン暖機後、アイドリング回転数が規定値となりましたら、タイミングライトを使用し点火時期を点検、調整します。
当該車両の点火時期の基準値はB.T.D.C. 15°。
今回は、使用しました”東名パワード”の”PONCAM”の特性も考慮し、点火時期をB.T.D.C. 16°に調整しています。
点火時期の点検調整が終わりましたら、ディストリビューター取り付けボルト 2 本を締め付けます。
ディストリビューター取り付けボルトを締め付け後、点火時期が少し狂う事があります。
この事から、ディストリビューター取り付けボルトを締め付け後、再度 点火時期の点検を行う事をう様にします。
今回の作業は、比較的簡単に行える作業であり、道路運送車両法により定められている分解整備に該当しない整備である事から、国土交通省地方運輸局の認証を受けていない工場等で作業を行う事が可能です。
しかし、些細なミスでも重大なロラブル、傷害等に繋がる恐れがある事も事実です。
走行中にエンジンがストールしてしまうと、ブレーキの効きが悪くなったり、パワーステアリング装置が利かなくなる等、車両運行上で大きな問題が発生してしまいます。
まt、前述しておりますが、最悪の場合にはエンジン本体が大きく壊れてしまう事態になる場合等もあります。
この様な事から、充分な経験を有する者が作業を行う事を推奨いたします。
”東名パワード製 PONCAM”テストデータ
シャシダイナモ ダイノメーター6000を使用し、新車装着時に取り付けられているカムシャフト(日産純正部品)と、東名パワード ポンカムを取り付けた場合の最高出力、最大トルクの違いを計測する事にいたしました。
ダイノメーター6000で計測中
(1)新車装着時に取り付けられているカムシャフトを使用時
測定日時
2007年09月12日 077553km
外気温 31℃
4速
3速
(2)東名パワード PONCAM 使用時
測定日時
2007年10月03日 077995km
外気温 24℃
4速
3速
余白